ポーランド 女性の権利を 大衆的抗議再び
“もうひとりの命も奪わせない”
原理主義者の強硬姿勢は不変
ヤン・マレウスキー
2021年11月6―8日、ポーランドの70以上の市や町で数万人が抗議に結集、昨年そうしたと同じに女性の選択権を要求した。医師たちが「胎児の心臓の鼓動が止まる」のを待つ中で、プスツィナ(ポーランド南部の町)でひとりの妊婦が病院で亡くなったことを受けた行動だった。
最高裁決定が
女性の命奪う
9月21日、破水したことでイザベラは病院に向かった。医師たちは羊膜液がないことを認め、以前に観察した胎児の先天的な奇形を確認、そして彼女の入院および……待機を決定した。11月3日にTVNチャンネルで公開された彼女と彼女の母親間で交わされたSMS(ショートメッセージサービス)は恐ろしいものだ。
「胎児の体重は485グラム。当座は反中絶法のために私はベッドにいなければならない。そして彼らにできることは何もない。彼らは、彼が死ぬのを、あるいは何か〔流産〕が始まるのを待つつもりだ。そしてそうでなければ、私は敗血症のショックを予想している」、入院の朝、イザベラは彼女の母親にこう書いた。
そして彼女は、彼らが人工的に出産させるためのことを彼女に何かしたかどうかを尋ねられて、「彼らはできない。彼らは自然に始まるのを待つしかない。あるいはそうでなければ、心臓の鼓動が止まるのを待つしか」と返答した。その晩の母親へのテキストメッセージでは「熱が原因で震えていたため彼らは私に点滴を施した。私は39・9℃」「悲劇だ。私の命は危険だ。それでも私は待たなければならない」と。
9月22日午前7時39分、イザベラは敗血症ショックで死亡したと宣告された。
10月29日にこのスキャンダルを公表した遺族の弁護士のホランタ・ブズィンスカはあるインタビューで「その医療過誤は『憲法裁判所がとった決定と分けては考えられない』」と説明した。その決定は2020年10月に、ポーランドでの中絶の機会を一層制限していたのだ。説明は「イザベラさんおよび同じ状況にある他のすべての女性は、医師たちが法的な制限なしに彼らの自由になる、現在の医学的知見に沿ったもっと多くの処置方法をもてていたならば、もっと安全になっていたと思われる。今日……医師たちは、犯罪になる可能性を恐れて、そうした処置の採用を控えている可能性がある」と続いている。
原理主義者一味
なお抗議に敵対
イザベルの死が知られるようになると、似たような悲劇が遺族たちによって公表されてきた。「われわれが生き延びないだろうと前もって分かる場合、子宮内の胎児の死を待つことは、今や病院での普通の行為だ。私はそれを自分自身で経験した」、ひとりのジャーナリストはこう書いた。
昨年人口3600万人のこの国で100万人以上が決起した、女性の権利を求める決起が再開した。「もうひとりも!」「私が考える、私が感じる、私が決める!」「中絶はいのちだ!」、これがデモに決起した人々の唱和だ。
原理主義右翼の政府は、何も起きていなかったかのように行動すると決めた。国営ラジオ番組編成の新しいトップは「人は死ぬ、それが生物学だ。……不幸なことだが、女性は時に出産の中で死んでいる」とあえて語った。
「人々は中でも、女性ストライキの指導者たちが好んでいるように自らが操作されるのを許さないだろう。これらの課題は、政治や憲法裁判所の決定とは何の関係もない」、彼女の担当記者は、こう語ってこの抗議行動について論評した。
そしてポーランド議会は、カソリック原理主義者によって提出されたひとつの法案の検討を継続する、と決定した。その法案は、人間を懐胎の瞬間からの存在と定義し、こうして妊娠中絶を殺人とし、女性および彼女たちを助けた者双方に対し、5―25年の懲役刑判決、あるいは終身刑までもの判決によって処罰できることにしている。しかも先の助力には、医学的妊娠回避のためにピルを提供することまで含められている。(2021年11月9日)
▼筆者はフランス反資本主義新党(NPA)メンバーで「インプレコール」誌編集者かつ第4インターナショナル・ビューローの1員。(「インターナショナルビューポイント」2021年11月号)
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