キューバ 2021年7月11日のデモ参加者の裁判に関する声明
労働者を弾圧する国家は
社会主義とはいえない!
2022年1月25日 コミュニスタス
「すべての国家は抑圧的である」とレーニンは『国家と革命』で断言した。これについて、われわれは根本的なことを付け加えなければならない。つまり、国家の政治的性格が、国家がどの階級を抑圧するかを決定する。共産主義への移行期間には、社会主義国家はブルジョアジーと反革命を抑圧する。したがって、経済的要求をおこなって抗議行動をするという理由で労働者階級を抑圧する国家は、社会主義とはほど遠い国家である。
社会の末端
からの抵抗
2021年7月の日々は、キューバの歴史的転機となった政治的危機をもたらした。社会末端から現れた飢えた群衆は、全般的な医療・食料・社会・経済的改善を要求して、ますます革命的・社会主義的な考えを演説のためにのみ持っている政治体制と衝突した。人民のように生きなければ、人民のように考えることはできない。「命令による任務」を押し付けることによって経済危機を悪化させた官僚は、その政策の影響をもっとも受けていない社会部門である。
7月の日々、官僚に無視された結果として、何千人もの労働者が街頭で自らの正当な不満を表明した。7月11日の爆発は、帝国主義による封鎖の強化による、この30年間でもっとも深刻なキューバ経済危機の産物だっただけではない。7月の日々はまた、ほとんどの民衆居住地域において、長期にわたって社会的に無視されてきたことによる蓄積された不満の産物でもあった。すなわち、ひどく破損した道路、不安定な公共照明と下水道、経済的に脆弱な部門の精神的ニーズに向けられた乏しい文化政策、深刻な社会経済的格差などである。
キューバの労働者階級は、官僚が耳を傾けないときに何ができるだろうか? 若い知識人が批判するたびに政治的に問題とされ、反革命分子という烙印を押されることすらあるときに、労働組合が労働者階級からの信任を果たそうとせず、労働者階級が権力を持っていないときに、何ができるだろうか? 7月11日は、キューバの労働者階級による必死の行動にほかならなかった。
今年1月25日にキューバ共和国司法長官のウェブサイトに掲載された報告書によると、少なくとも790人が7月11日のデモ中か、何らかの形で抗議行動に関連して拘束された。実際にはデモ参加者のほとんどが逮捕されなかったので、この数字は7月11日のデモがいかに大規模なものであったかを示している。
1959年のキューバ革命の勝利以来、何千人もの市民が(しかもほとんどすべての主要都市において)社会的・経済的改善を求めて街頭で抗議活動をおこなったことはなかった。したがって、世界の他の地域ではよくある光景に見えるかもしれないが、キューバではユニークな政治的事件なのである。7月11日の諸事件を軽視し、抗議行動中とその後に起こったことを無視する左翼は、キューバ労働者階級の現実に気づいていない。抗議行動参加者と連帯する立場に立つ、少なくとも7月11日の抗議行動に大きな関心を寄せている左翼は、労働者階級とともに立つという社会主義者としての責任を果たしている。レオン・トロツキーが、革命を労働者階級と同一視するのではなく、官僚的指導部と同一視することは革命を裏切ることだと言ったことを思い起こそう。
これは「反革命」
の動きではない
同時に、コミュニスタスは、われわれの連帯が、アメリカのために働き、キューバに親帝国主義・反共産主義の資本主義独裁を押し付けようとする人々にまでは及ばないことを明確にする。われわれは、ダニエル・フェレール[キューバ愛国連合の指導者]やその仲間に呼びかけることはしない。また、右翼メディアや帝国主義の代弁者が繰り広げるメディア・キャンペーンに加わることもない。われわれの連帯アピールは、労働者階級のためのものであり、労働者階級を帝国主義の搾取に服従させる制度を押しつけようと共謀する者たちとのものではない。われわれの官僚主義批判は、右翼や反革命と同盟しているのではない。
他方、政府が抗議行動参加者に投げつけた「ルンペン」論は、前述の司法省の報告書に示された同じ数字によれば、逮捕者のうち犯罪歴があるのは21%にすぎないことから、一つずつ根拠を失っている。
逮捕者のうち、115人は16歳から20歳である、そのうち55人は18歳未満だ。検察庁は、16歳から18歳の55人の市民に課された罰則を明らかにしていない。われわれコミュニスタスは、正当防衛のために暴力を振るったのであれば、20歳未満の若者たちが赦免されることを要求する。7月11日に逮捕された人々のうち115人が20歳未満であることは、7月11日の抗議行動における若者の存在感の高さを示している。7月11日のデモで若者が主導的な役割を果たしたことは、キューバの政治危機を物語るものである。
われわれコミュニスタスは、権力からデモ参加者に向けて放たれた弾圧は受け入れがたいものと考える。この弾圧は、明確な政治的動機をもって進行中のさまざまな裁判を通じて今日も続いている。再び7月11日が起こることを弾圧によって回避するために、見せしめとして長期刑が課せられている。議論に訴えることはなくなり、革命的思想を説得のために用いることもない。恐怖が服従させるための論理として用いられている。7月11日の抗議行動に対処するキューバ共産党の戦略は、マルクスのものではなく、マキャヴェリのものである。
権利の行使が犯罪とされることは、キューバ政府が労働者階級からいかに離れているかを示すもう一つの例である。7月11日の諸事件を考えると、共産主義者であるローザ・ルクセンブルクがボルシェビキに警告したときのことばが大きな妥当性を持っている。すなわち、「政府の支持者のためだけの自由,ある一つの党の党員(それが多数であっても)のためだけの自由は決して自由ではない。自由とは常に異論を持つ者の自由である」[訳注:ローザが1918年に書いた手稿『ロシア革命について』からの引用]。
一方、警察官でないのに政府にも守られながらデモ隊を殴っていた市民は、全く不問に付されているか、少なくとも公的な言及はされていない。こうした市民にも法律は適用されるべきである。デモ参加者に不当な暴力を振るった警察官が制裁を受けたかどうかは不明である。
弾圧をやめろ
今こそ自由を
われわれコミュニスタスは、7月11日の抗議行動に加わって、経済的・社会的改善を要求したデモ参加者に対して放たれた弾圧を非難する。われわれは、7月の日々の結果として拘束された多くの人々に下された過大な判決を拒否する。また、20歳未満で、誰の命も奪おうとしなかった者、つまり自衛権を行使しなかった者については恩赦を要求する。われわれはまた、不当な裁判にかけられた人々の釈放を要求する。われわれは、7月11日にかかわる諸事件について、公に明らかにすることを求める。われわれは、街頭での自己表現権が違法とされず、抗議する権利を行使する者を犯罪者扱いし、政治的に攻撃し続けることがないように、デモに関する法律の即時承認を要求する。
反労働者階級の弾圧をやめよ!
自由なき社会主義は、抑圧と検閲である!
帝国主義的封鎖をやめよ!
ブルジョアも、反革命も、復古主義的・資本主義的官僚もいらない!
労働者に権力を!
社会主義と自由を!
共産主義に向けて前進せよ!
2022年1月25日
(『フォース・インターナショナル』2月5日)
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