ロシア プーチン政権の破綻は不可避だが時間必要

闘いへ左翼の国際連帯不可欠
イリヤ・ブドライツキス

 以下は、イリヤ・ブドライツキスが、4月2日に開かれたフランスNPAの大統領候補フィリップ・プトゥの選挙集会でおこなった演説である。彼は、最近までモスクワに住んでいた歴史家・政治評論家で、「オープンレフト」や「レフトイースト」の寄稿者。

困難な期間の
持続は不可避


 2月24日、つまりプーチンが戦争を始めた日に、何百万人もの人々の生活が「戦争前」と「戦争後」に分断されることになった。ウクライナの各都市では、何百万人もの人々が空爆の下で苦しんでいる。難民(そのほとんどが女性と子ども)がヨーロッパの都市を埋め尽くしている。そのほとんどが貧しい地方の家庭の若者で、自分たちがどこに、なぜ送られたのか理解できていないロシアの兵士たちが大勢死んでいる。ロシア民衆はますます貧困に陥っている。ロシアの都市では、反戦デモ参加者が投獄されたり、国外退去を余儀なくされたりしている。
 プーチンと彼の犯罪集団が、この悲劇に主な責任があるのは間違いない。この戦争を始めることを決定したのは彼らである。抑圧とぞっとするような排外主義的プロパガンダによって、ロシア社会に無抵抗と服従を強いてきたのも彼らだった。今日、世界のすべての左翼勢力は、戦争の即時停止と、プーチンの命令でおこなわれた戦争犯罪の調査を要求しなければならない。
 いかなる「戦争反対」の表現もロシアの法律で犯罪とみなされる今日でさえ、戦争に抗議するために、人々がロシアの各都市で街頭に立ち続けているのは、このことを要求するためである。そうした人々には、例外なく、投獄、巨額の罰金、大学からの追放、失業といった結果が待っている。少数の者は抗議を続けているが、大半は恐怖で身動きがとれなくなっている。ロシアの社会主義者たちは、ロシアの内外で、反戦運動を続けている。
 プーチン政権の軍事的・政治的破綻は避けられないが、それには時間がかかるだろう。この期間が困難なものとなることは間違いないだろう。多くの人々が投獄や亡命で苦しむだろう。国際的な左翼運動の連帯は、その具体的な支援を含め、今日、われわれがこの闘いを続けるために不可欠なものである。

今回の真の反戦
反資本主義の道


 われわれは、ウクライナの現在の悲劇は、首尾一貫した反資本主義の方向性からのみ理解でき、解決できると確信している。プーチンとその政権は、特異なものでもないし、ロシアの特異な歴史が生み出した時代遅れの産物でもない。これは世界資本主義と帝国主義の当然の帰結である。
 そのイデオロギー、つまり排外主義や労働界への侮蔑、すべてを冷笑的な「利益相反」と見なそうとする願望は、世界中の極右のレトリックに容易に見出すことが可能である。ごく最近まで、プーチンがルペン[フランス極右「国民連合」代表]、ゼムール[フランスの極右政治家]、サルヴィニ[イタリア極右「同盟」書記長]の偶像だったのは偶然ではない。そうした政治家たちは、ウクライナの人々が今日経験している苦しみに直接的に責任がある。そして、極右候補に対する精力的な闘いは、プーチンのウクライナ人に対する戦争に反対する真の闘いの一部なのである。
 しかし、プーチンの政権は排外主義やナショナリズムだけではない。それは露骨な社会的不平等であり、権利を奪われた大多数の労働者に対する一握りの富裕層による権力である。プーチン政権は官僚と億万長者の政権であり、彼らは長年にわたって国の金を吸い上げ、西側の銀行に預け、ヨーロッパの邸宅やヨットに投資してきたのである。そして、この金の犯罪的出所を知りながら見て見ぬふりをしたヨーロッパ各国の資本主義政府もまた、ウクライナ戦争における責任があるのだ。さらに近年まで、フランスのような国々は、今日それによってウクライナの子どもたちが殺されている武器をロシアに売却し続けてきた。これらすべてのことは、システムとしての資本主義の究極的な非人間性や不道徳性を明らかにしている。
 だからこそ、反資本主義・社会主義のプログラムだけが、今日、真に反戦なのである。なぜなら、それは結果ではなく、原因を攻撃するものだからである。将来の戦争を防ぎ、現在ウクライナを血で染めている戦争を止めることができるのは、このようなプログラムのための闘いなのである。だからこそ、フィリップ・プトゥのような候補者は帝国主義戦争に反対する真の闘士なのである。そして、彼の選挙運動にみなさんが参加することは世界の未来のための真の支援となるのだ。
(『フォース・インターナショナル』4月2日)

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