米国 あのテスラでレイシズムが横行!
黒人労働者が訴訟に立ち上がる
将来のもっと大きな闘いに扉開く
マリク・ミオー
カリフォルニア州公正な雇用と住宅局(DFEH)は2月9日、テスラ株式会社を提訴し、そのカリフォルニア州の工場内に埋め込まれているレイシズムの件でこの企業を告発した。
DFEHの訴訟は、テスラにおけるレイシズムに関する強力な起訴だ。4000人以上の現職と元の黒人従業員に代わって提訴されたこの訴訟は、中傷や脅し、さらに最低レベルの職務への職場隔離を含んで、黒人労働者がレイシズム的虐待を経験し、それが今も継続している、という13の主張を行っている。
歴然とした
レイシズム
DFEHによれば、黒人のテスラ労働者は、より肉体的にきつい仕事を行うよう強要され、昇進を否認され、賃金も低い。黒人労働者は彼らの人種に基づく不当な契約終了のような厳しい規律適用の的であり、組織的な解雇がはびこっている。
「黒人労働者は権利、訴訟、また雇用や継続雇用の条件のような諸々の手続き、あるいは違反時のあらゆる雇用関連給付の受け取り、を差し控えるよう強要されている」、この訴訟はこう述べている。
DFEHは、「テスラ生産の先頭に立つ監督者、管理者が黒人労働者に触れる際、変わることなくnワード(黒人を蔑称するnで始まる言葉を指す:訳者)や他のレイシズム的中傷を使用している」との証拠をもっている。ショックなことにDFEHは「鍵十字、『KKK』、nワード、また他のレイシズム的書き付けが休憩室の壁、休憩室の小部屋、昼食テーブル、さらに工場の機械類にさえ鮮明に描かれている」と見出したのだ。
この訴訟は、近年の記憶ではもっとも広範囲にわたる証拠資料のひとつを提供している。
驚きではないがテスラは、この訴訟は「見当違いだ」、テスラはその工場でのレイシズム的虐待や差別を容認していない、と主張している。世界でもっとも富裕な富豪であるテスラCEOのイーロン・マスク(今ツイッター買収に動いている)は、この企業の労働環境を擁護する。マスクはテスラの労働者に、レイシズム的虐待のことなど「気にするな」と、また「弁明を信じていればいい」と告げた。
しかしDFEHは、テスラはレイシズムや差別を阻止できなかったばかりではなく、レイシズム的差別に関する労働者の苦情を法に則って扱うこともできていない、と語る。黒人労働者は正式な苦情を申し出た後に検閲や報復に直面したのだ。そしてテスラはレイシズムの諸々の紛争に関する記録も保存できなかった。
この企業は、昨年のひとりの黒人エレベーター操作係が届けた事例を含めて、黒人労働者による他の苦情に対抗する「同じ戦術」の使用について告発されていた。ひとつの陪審団は、テスラがレイシズム的嘲りと攻撃的な落書きに見て見ぬふりをしたと認めた上で、その労働者に1億3700万ドルを裁定したのだ。
被解雇労働者生々しく証言
ロスアンジェルス・タイムスに掲載された、テスラで解雇された黒人労働者に対するインタビューが、彼らの諸条件を衝撃的に窺わせるものを与えている。
ひとり親の女性が、黒人労働者は「組み立てラインで頻繁にnワードで呼ばれた」と苦情を申し出た後で解雇された、と語っていた。もうひとりの労働者は、彼女と他の黒人労働者は、仲間の労働者が「プランテーション」と呼ぶ工場の片隅でもっともつらい仕事に振り向けられた、と語った。ひとりの退役軍人は、彼の上司が彼と仲間のふたりの黒人労働者を「猿」と呼んだと苦情を述べた後解雇された。
モニカ・チャトマン――ひとり親の母親――は、週に6日か7日、義務的な12時間シフトで働いた。彼女の説明によると、一時期彼女は、3ヵ月間ぶっ通しで――1日の休みもなく――働いた。彼女は、テスラは「近代の奴隷制」であり「そしてわれわれは樽の中のカニだ」と語った。
数ヵ月が過ぎる中で、チャトマンは新採の労働者を訓練したが、彼女は彼らが彼女を追い越して昇進するのを見た。彼女は「私はのけ者にされた」、そして彼女と他の黒人労働者たちは、冬には「凍えるような寒さ」になった工場の「不快でもっとも居心地の悪い部分」に隔離された、と語った。
イーロン・マスクの明確な責任
チャトマンが言うところでは、マスクが労働者に語りかけるために工場を訪れる際は、ラティーノの同僚は前に残され、他方黒人労働者は後方へと動かされた。
マスクは完全にレイシズムを分かっている。そして彼には、公正に支払い彼の職場を公正に扱うための財力がある。
マスクは、1971年に南アフリカのプレトリアで生まれ、義務的な徴兵を回避するために18歳の時カナダに移った。その後マスクは、スペースXとテスラを含む彼の技術事業を始めるためにシリコンバレ―に移動した。
マスクは、残忍なやり方で白人が支配したアパルト体制下で成長した。しかし、レイシズムや法的な隔離についてはほとんど知らない、というようなふりを装っている。彼はこれまで、アパルトヘイトや隔離を公然と非難したことは一度もない。
マスクは今米国の帰化市民だ。そしてそこは、自らの合法的な人種差別の長い歴史を抱えている。その議会は今年ようやくリンチ行為を非合法にしたが、それは、200回の法案提出にもかかわらず、100年以上採択できずにきた後のことなのだ。
黒人民衆に対するテスラ経営の姿勢は、このシステムと闘っているわれわれのような者たちにとって驚きではない。マスクは、南アと米国両国で支配的な「人種」グループに属している利点すべてを受け取っているのだ。彼はその対価を払っている者たちを気にかけていない。
もっと大きな
意味もつ訴訟
フリーモント自動車工場はかつて、GMに所有されその後同社とトヨタの共同所有だった時期、労組の拠点だった。全米自動車労組(UAW)執行部コーカス(コーカスとは、一定の路線で結合している労組活動家の集団:訳者)がこの組合を動かした。
テスラがこの工場を買収するや、UAWがその組織化に真剣に取り組むことはなかった。こうしてマスクは、レイシズムと反労組の諸行動強要にフリーハンドを得、そしてそれを彼は実行した。
アフリカ系米国人――訴訟の原告――はテスラに対し一連の請求を行ってきた。そこには、損害補償かつ懲罰的な損害賠償請求が含まれている。すなわち、基本給、奨励給、年金給付あるいは一時金を含んだ奪われた賃金や給付に関する、前渡し金、賃金調整、バックペイ、および復職を含むが、それに限られない経済的損害賠償と公正な交替の要求だ。
この訴訟はテスラの黒人の犠牲者たちにとっては重要だ。そしてまた、黒人、先住民、さらに白人の労働者の団結を基礎とした将来の労組の攻勢にも扉を開いている。(「グリーンレフト」より)
▼筆者は退職航空整備士で労組と反レイシストの活動家。「アゲンスト。ザ・カレント」誌の編集顧問でもある。(「インターナショナルビューポイント」2022年4月18日)
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