米国 アマゾンでの組織化闘争

草の根からの労組組織化が前進
ダン・ラボッツ

アマゾン資本
との激突続く

 今月早々、ニューヨーク市のスタテン島にあるアマゾンの倉庫の労働者が、投票資格のある労働者およそ8000人の内、2654票対2131票で労組の代表権を獲得した。米国で最初の組織化されたアマゾン職場を作り出したこの選挙は今、全米労働関係委員会(NLRB)で、アマゾンによって異議を申し立てられている。アマゾンは、同委員会が労組をひいきし、労組は労働者に強要した、と主張中だ。
 労働弁護士はこの異議申請には勝ち目がないように見えるというものの、それは、当該労組がこれらの労働者を代表して最初の契約を獲得する過程を遅らせるだろう。
 アラバマ州のベッセマーにあるアマゾンの倉庫で同時に行われたもうひとつのNLRB選挙では、そこでは労組支持の875票に対し、993人の労働者が反対だった(スタテン島とは別の労組が対象)。しかし400票以上に異議を唱えられ、最終集計はまだまったくない。そこでの労組について労働委員会の聴聞会が最終決定に至るまでには数週間あるだろう。
 これらのふたつの選挙は、労組組織化と闘うためにアマゾンはその財力と権力すべてを使うつもりだ、とはっきりさせた。アマゾンは、スタテン島で労働者の「アマゾン労働組合」を阻止するために420万ドルを費やした。同社は何人かの草の根労組オルガナイザーを解雇し、他の者たちを不法侵入として逮捕させ、今その弁護士は選挙をひっくり返そうと骨を折っている。
 同時に労働者たちは、この闘いを他の職場に拡大するつもりだと示唆してきた。スタテン島の闘いの指導者であるクリス・スモールズは、そのほとんどは米国内だが、南ア、インド、カナダ、英国の、アマゾンの他の50職場の人々から接触を受けてきた、と語った。彼は公共ラジオのインタビューの中で次のように語った。
 つまり「われわれは、労働者、労働者階級として、われわれの価値を実感するようになった。われわれが仕事に行かなければ、これらのCEOたちも彼らのカネを稼げない。だから、この国のどこで働いているか、今何をしているかは何の問題でもない、と労働者が実感できるならば、その時あなたは集団的に取引を可能にするグループを作ることができる」と。
 また「それこそが、4月1日にわれわれが目撃したと私が考えていることだ。つまり、われわれは世界とこの経験を共有できた。そして、どのような普通の人々も、もっとも力のある会社や小売企業の鼻を明かすことができる、あるいはどれほど大きいか小さいか問題でなく、何であれそれらの鼻を明かすことができる、と全員に知らせよう」と。

制度依拠の行動
の次が重要課題


 あらゆる種類のメディアは、スモールズや他の活動家とのインタビュー、また彼らの組織化の記事であふれかえった。それらは、労働者が率い、プラント内で他の労働者と交わされた何百もの会話、バス停留所の樽椅子の周りで行われた討論を基礎とした組織化だった。
 他の諸労組が、アマゾンで一度も働いたことのない職業的オルガナイザーに高給を払い、公的な諸関係を頼りにし、労働者には馴染みのない政治家に介入を依頼する中で、スタテン島の経験は完全に労働者自らに基礎を置くものだった。これが、労組はどのように組織化に当たるべきかに関する全国的な会話に火を着けることになった。そうした草の根の活動は、新しい可能性と現存する労組への脅威双方を意味している。後者の組織化は高度に官僚的で、合法主義で、大いに効果を欠いているのだ。
 ニューヨークでのこの勝利はまた他の問題も提起している。スタテン島施設のオルガナイザーたちはこのプラントの労働者に、会社に対する何らかの直接行動をとろうとはまったく訴えなかった。労働者たちは伝えられるところでは同社の嫌でも聞かざるを得ない聴衆にされる諸々の会合を混乱させたとはいえ、作業遅延や作業停止は全くなかった。労働者たちは完全に政府が監督する投票に依拠した。
 スタテン島での勝利を守るために、他のプラントで組織化をするために、またその後労組の契約を獲得するために労働者たちが闘い進めるに応じて、労働運動の歴史は、彼らが成功を見るためには彼らの力を行使する準備を迫られる、と示している。
 労働者が大規模なストライキとして彼らの力を行使する時、その経験は急速に感染性をもつようになり、労働者階級全体に広がる可能性をもつ。これが歴史を通じて起きてきた。つまり1930年代のフランス、米国、メキシコであり、1980年代のポーランド、ブラジル、韓国、南アであり、またアラブの春の中でのチュニジアとエジプト、もっと近くではアルジェリアとスーダンだ。今日米国でそれが起きる可能性はあるのだろうか?(2022年4月10日)(「インターナショナルビューポイント」2022年4月11日)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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