フランス 議会選に関する声明
われわれは、新自由主義と決裂する左翼の候補のみに投票を呼びかける
2022年5月5日 フランス反資本主義新党(NPA)全国政治評議会
民衆にとって前進の合図となる統一こそ必要
われわれの態度決定の経過
大統領選第1回投票後、人民連合(UP)の下でその候補者のジャン・リュク・メランションが3位となり、他の全左翼候補をはるかに引き離して主要な左翼勢力となった不服従のフランス(LFI)は、共産党(PCF)、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV)、さらに反資本主義新党(NPA)に、6月の議会選に向けて連合を形成することに関する討論を始めよう、と公に提案した。LFIが選択した方法は、円卓の議論というよりも一連の二党間討論だった。
この段階では、社会党(PS)の関与は除外された。マチルド・パノ(LFI議員団長)は、「あらゆる討論からPSが除かれている理由は何か」と聞かれた際、「PSは極めてはっきりしていた。アンヌ・イダルゴ(PS大統領候補でパリ市長)はわれわれと何ごとかを作り上げようとは思っていなかった。われわれは、彼女の攻撃、またフランソワ・オーランドの5年にのぼる任期〔2012―2017年の大統領としての〕に対する明快な評価を引き出すことの拒絶に留意している。キャンペーンの最後の数週間、ジャン・リュク・メランションはナンバーワンの敵になった。その間で彼女は、マリーヌ・ルペンやマクロンに関し何ひとつ語らなかった。それゆえ、今後も討論は全くない。この拒否は決定的だ」と回答した。
それにも関わらずLFIは、4月27日にPSとの討論を開始した。これらの討論の圧力下で、綱領的諸提案は右へと移り、NPAに与えられた場所は一層狭められた。NPAは、可能な合意に達するために挑み続けた。しかしEELV、PCF、そして最後にPSとの非公式な取り決めがまとまった後NPAは、この右への動きは連合への合流を不可能にした、とみなした。こうして5月5日夜、全国政治評議会は以下の声明を採択した。
統一への希求実現が必要だった
大統領選挙結果は、労働者運動と社会運動の全組織、また自由主義とわれわれの権利の破壊を拒絶する左翼に、街頭でのまた投票所での行動の統一をもたらす責任を与えている。NPAが議会選に向けた人民連合との共同立候補を討論する用意ができていたのは、これを基礎にしている。実際われわれは、極右とファシストの危険の高まりを前に、また反社会的かつ権威主義的な攻撃を組織するマクロンと彼の取り巻きの新たな5年の権限と対決するために、国民議会内の根底的な変化を支持する左翼の多数――あるいは少なくとも可能な限り多数のメンバー選出――を欲している。
それゆえわれわれは、統一の推力は社会運動と諸闘争に対し前向きの合図となり、被抑圧層と被搾取層に自信を取り戻させるだろう、と確信している。あらゆる手段によって抵抗を組織し新たな権利を勝ち取るという展望が、われわれを団結させるに違いない。
したがってわれわれは、ひとつの合意に達しようとUPと会議をもった。その綱領についてわれわれは、共同でひとつの文書を書き上げ、その文書は、新自由主義諸政策と決裂する必要、特にオーランドとマクロンの労働法を撤回し、移民を歓迎し、最低賃金を引き上げ、全員のための60歳退職制を導入し、貧困を根絶する必要、を再確認した。
これらの諸方策は、NPAの反資本主義綱領の全体を表すものではない。しかしそれでもそれは、連合の基礎を作るには十分であり、また連合が万が一多数派を確保する場合、首相としてジャン・リュク・メランションを抱えるような条件から帰結する政権によるそれらの実行を、われわれの独立性を放棄することなく支える上でさえ十分だ。
しかしながら、他の諸政党との討論が進むにつれ、連合の政治的均衡は徐々に変化し、その強みであった新自由主義との決裂は弱まっている。
こうして、提供された選挙区の点では極めて有利なEELVとの間で達した合意は、NPAとUPにより共有された綱領のいくつかの点で、たとえばEUと決裂する必要に関して後退した。
その上、統一協定内で労働者階級の居住区諸団体が占める場の縮小は、反社会的で治安志向、またレイシズム的でイスラム排撃的な諸政策の全面的な作用に苦しんでいる人々に与える正しい合図ではない。
それでも、あらゆることにもかかわらず、統一に向かうこの推力に参加することは、われわれにとって重要なことと思われた。
統一の内容も目的も曖昧に
しかしながら、UPがPSとの間で5月4日午前に達した合意は、ひとつ以上の方向で問題になる。何よりもまず、それがいくつかの基本的な提案で後退しているからだ。すなわち、もはや「即時」とはなくなると思われる最低賃金の引き上げ、その法的枠組みが曖昧になった新自由主義のEUとの決裂だ。また、EELVおよびPCFとの間の合意にある「全員のための60歳退職制」は「60歳で退職する権利」となり果てている。そしてそれは、われわれが知っているように、かなりの年金減額になるだろう。
この論理の中でPSは、70の選挙区(内30では勝利の可能性がある)を与えられている。そしてそれは、さまざまな諸勢力間の比例配分というUPの当初提案よりはるかに多い。
PS候補者に新自由主義との決裂を代表していないEELVの多数の候補者を加えれば、多くの場合に労働者階級の利益に反して統治してきた、またかなりの数の都市や地域を今管理しているこの左翼の標識は、意味ありげなものになる。
われわれにとってこのすべては臨界点となる。すなわち、「新人民連合・環境・社会」(NUPES)は、UPの政治的連続性を意味していない、あるいは意味しているにしてもそれは非常に曖昧、かつ矛盾したやり方で、ということだ。他方大統領選の時UPは、結果的に、ジャン・リュク・メランションを情勢の根底的な転換に向けた希望を代表する者にしたのだった。
闘う民衆の代表に声を与えよう
われわれは、左翼の活動家たちが「議会内にフィリップ・プトゥーを見る」ことを期待していたことを知っている。しかし彼らは、UPがどの時点でも、彼が選出される可能性があると思われる選挙区、あるいはジロンド県(彼の地元)で候補者になり得ると思われる選挙区さえ提案しなかった、ということを知らなければならない。
UPが提案したのは5つの選挙区――さまざまな諸勢力間の比例代表とはかけ離れて――にすぎず、そのどこでも候補者が選出される可能性はなく、あるいはそのどこにもわれわれは根付きと言えるものをもっていない。こうしてPSは、大統領選挙におけるその比重の3倍以上の選挙区を与えられ、他方NPAは、3分の1を提供されただけだった。見事な印だ!
事実上UPは、NUPESにNPAが参加するのを好んだと思われるが、しかしそれもその内部での実のある政治的存在感の可能性がない形で、というものだった。
したがってわれわれは残念な思いで、UPはNPAとの合意を反故にしてシステムの管理者である諸勢力と合意に達するのを選択したと、そしてNPAはそうであってもはじめからUPの提案に好意的に対応し、合意への到達という希望をもって最後まで討論を追求した、と確認したい。
われわれは、UP、PCF、EELVとの合意には達することができただろう。しかし、PSを含むような合意を、またわれわれに行われた提案を基礎にしては批准できない。したがってNPAは、NUPESの協定に署名するつもりはない。
NPAは、5月14日に行われる全国政治評議会で国会選挙へのわれわれの参加を組織するつもりだ。いずれにしろわれわれは、NUPESの左翼候補者への投票と支持を、力を込めることを含め呼び掛けるだろう。またわれわれは、彼らへの対立候補は立てないつもりだ。
他の選挙区では、NPAは、社会自由主義との連続性を体現するNUPESの看板を付けた候補者に対決し、条件が許すところで、たとえ相手が統一候補者だとしても、職場からの、労働者階級居住区からの、また闘う左翼を代表し、制度と社会自由主義からは独立した、代わりの候補者に声を与えることを追求するだろう。(「インターナショナルビューポイント」2022年5月6日)
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