スーダン 将軍たちへの民衆の対抗は政治的側面でも前進始まる
ポール・マーシャル
スーダンでは昨年11月、パン1斤が5スーダンポンドだった。6カ月後スーダンの女性はそれに50ポンド払うことを迫られた! この経済的落ち込みには、アル・ブルハンとヘメデティが率いたクーデターと対決する決起を維持しているデモ参加者への抑圧が平行している。クーデター派の将軍たちは、ロシアとの友好関係樹立を手段に彼らの孤立を破ろうと挑んでいる。
経済的諸問題が民衆の幅広い多数に厳しい打撃を与え続けている。スーダンポンドは闇市場でその価値の4分の1を失い、石油、石鹸、あるいはエネルギーといった基本的な必需品の輸入をさらに費用のかかるものにしている。この国はこの間、農業部門で、小麦やソルガム(モロコシの一種:訳者)の生産でほぼ3分の1の落ち込みを経験した。主な原因は気候関連であり、そこには干ばつ次いで豪雨の継続、特にソルガムの場合は病害、そして最後は汲み上げポンプ向け電力の不足に関係した灌漑の諸問題が付随している。
決起の継続の中
政治的な挑戦も
この経済情勢は明らかに、住民の半数以上が貧困ライン以下で暮らしている国では、最貧困層を苦しめている。それゆえ諸々の闘いが2つの戦線で続いている。反貧困、そしてオマル・アルバシルを打倒した2019年革命から生まれた移行期を終わらせたクーデター派への反対だ。
時間の経過と抑圧にもかかわらず、決起が弱まることはなかった。独裁体制はより多くの逮捕、それもほとんどしばしば標的とされた対象者の家での夜間のそれによって、反対派を黙らせようと試み続けている。人権諸組織は、反対派に対する体系的な拷問を報告している。各々のデモは、実弾の発砲もためらわない治安部隊によって抑圧を受ける。
反独裁闘争の要である諸抵抗委員会は、この戦闘性を支えるそれらの行動と並んで、政治構想を発展させる彼らの仕事を完成させた。国中の草の根レベルで数多くの委員会で討論されたひとつの文書だ。この「人民権力確立のための章典」の目的は、新たな移行を組織することだ。それは、「変革諸勢力」が指名する首相を規定している。それは、移行期の終点でまたある種の憲法制定の役割ももつひとつの議会に基づいて統治することになっている。選挙が行われることになっているとはいえ、かつてのアルバシル体制の諸部分やクーデター派の支持者は参加を認められないだろう。
この文書は、ひとつの提案として提出され、反クーデター派の共通点のない緒部分を、労組、市民団体、あるいはキャンペーングループに関わりなく統一することを狙いとしている。この章典は、クーデター派とのいかなる交渉も除外し、こうして、国連やアフリカ連合の戦略に反対している。そして後者は今、二頭的な、軍―文民共存の移行に復帰させようと模索中なのだ。
クーデター派に
ロシアが助け船
ウクライナに対する侵略によって生み出された新たな情勢が、アル・ブルハンとヘメデティに、彼らの体制の打ち固めにむけロシアカードを切る余地を与えることになった。彼らは2019年の動乱期、サウジアラビアとアラブ首長国連邦のお情けから利益を受けたが、ロシアは彼らに、国際的な場において孤立から脱出することを可能にしている。それは、ウクライナに対する戦争における、湾岸の独裁体制が示している両義的姿勢から好都合にされた情勢だ。
ロシアは、この国におけるその存在を強化し続けている。こうして、ロシアの軍事企業であるワグネルの傭兵が、全面的に不透明な取り引き関係にあるヘメデティとの協力の下で、主に金鉱山に配置されている。その間、さまざまな軍と警察の企業がこの国の主要な経済資源を接収し続けている。ロシアのもうひとつの戦略的な資産は、紅海の利用を可能にするポート・スーダンにおけるロシア海軍基地設置だ。これは、アフリカにおけるロシア連邦の最初の軍事基地になると思われる。
バイデン政権は今、公式にはクーデター反対の圧力として、スーダンの指導者たちに対する経済制裁の脅しをかけ始めている。しかしながら、クーデター後の数ヵ月における米国の事実上の無作為は、この圧力の目的がプーチンとクーデター派間の親密すぎる連携を掘り崩すことにある、ということを暗示している。
ロシアがいようがいまいが、将軍たちは社会運動に敗北を加えることができずにきた。それはまさに、電力価格上昇に抗議するためにエジプトに通じる諸々の道路を封鎖している民衆の現在のデモで示されている。(2022年4月21日)(「インターナショナルビューポイント」2022年4月27日)
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