ウクライナ 国際労働組合ネットワーク、現地へ

労働者への援助物資を渡し交流

6カ国の労組員・活動家が参加

 以下は、国際労働組合ネットワークのウクライナ労働者救援輸送隊の活動を伝える報告。労働者、住民など、草の根から自主的に組織されている活動の一端を伝えるものとして紹介する。(「かけはし」編集部)

 国際労働組合連帯・闘争ネットワークは、4月29日(金)に同国、特にリヴィウに到着したウクライナのレジスタンスに対する労働者の援助隊との交流に参加した。
 このイニシアチブは、国際労働組合連帯・闘争ネットワークのメンバーによってもたらされたものです。彼らが到着して以来、ブラジル(CSP Conlutas)、フランス(Solidaires)、イタリア(ADL Cobas)、リトアニア(G1PS)、ポーランド(IP – Inicyatywa Pracownicza)、オーストリア(RCIT)などいくつかの国の労働組合員や活動家、そしてウクライナの抵抗闘士の会合が行われた。 

救援物資の必要
ますます高まる

 輸送されてきた約800kgの救援物資は、現地クリヴィ・リフの組合活動家であり、金属・鉱山独立労組のユーリ・ペトロヴィチ委員長に直接、引き渡された。クリヴィ・リフの社会運動団体による物資配給支援のイニシアチブを受けたこの試みは成功であったと評価されている。
 運ばれた物資の内訳は、クリヴィ・リフ地区の労働者の抵抗組織の助言に沿ったものとなっていて、医薬品、救急用具セット、乾燥食品、乳児用離乳食、そして、バッテリー、発電機など、食品供給、医薬品、電気、暖房の深刻な不足に対処するものが運ばれた。
 クリヴィ市は、国の工業の中心地で、人口は約61万5千人である。現在、ロシア軍から60㎞の距離にある。ペトロビッチ氏によると、3000人以上の組合員が抵抗軍に参加したという。

多くの女性も
とどまる決断


 国際輸送隊を準備する中ですでにこれまで伝えてきたように、多くの女性が国を去ることなく、国にとどまっている。配偶者を見捨てないためであり、残された老人や子どもの世話をするために、多くの女性が国に残ると決断したからである。食料、医薬品、水、エネルギー、ガスの供給が不足する中で、それとは異なる別の形で生き延びる人々もいる。生活を強いられている母親、姉妹、娘たちもいる。そして、このサポートは維持されるだけでなく、ますます強化されなければならない。
 そうであるとすれば、こうした支援は、維持されるだけでなく、よりいっそ強めなければならない。ウクライナ国境国家警備隊の発表によると、現在帰国している民間人は1日あたり約3万人にまで増加している。軍事上の制約があるために、国境を越えるのはほとんど女性や子どもたちである。こうした女性と子供が国内の難民の9割を占めている。
 このような帰国運動があるからこそ、公共機関の発表や支援の動きは今なお拡大し続けているが、われわれは、こうした必要な階級的協力をますます強化する必要がある。
 私たちは輸送隊によってとともに、実際的で具体的な国際主義的連帯を確認し、ほとんど物資がない中でロシアの侵略者に断固として抵抗しているこれらの女性たちや労働者を守るために、今後もキャンペーンを続けていくだろう。

国際主義的連帯
の維持と強化を


 国際労働組合連帯・闘争ネットワークは、車列を構成した国際的な代表団とともにメーデーを祝った。国内では戒厳令が敷かれているため、労働者階級闘争国際デーのデモは非公開で行われた。このイベントが開催された会場は、リヴィウ市の文化宮殿での開催となった。
 50名以上が参加した。その中の19名の外国人は国際連帯の取り組みに応えて参加した人々だった。オーストリア(RCIT)、ブラジル(CSP-Conlutas)、フランス(Solidaires)、イタリア(ADL Cobas)、リトアニア(G1PS)、ポーランド(IP – Inicyatywa Pracownicza)からである。
 そこでは、労働改革、戦争が人々に与える影響と心の問題、ストレスとうつ病、女性の状況、労働者の状況など、いくつかの問題が話し合われた。
 さらに、会議では、クリヴィ市の鉱山労働者がビデオ会議で議論に参加し、この国際的な階級的連帯の表現に対話と感謝をすることができました。
 クリヴィでメーデーを祝い、ウクライナの労働者の抵抗を支援する輸送隊の成功を喜びあった。

クリヴィ・リフ
の戦略的重要性


 国際労働者輸送隊の車列が訪れた町は戦略的な場所とされ、この間ずっとクレムリン軍の部隊に狙われていた。
 重要な鉱山と鉄鋼産業の中心地であり、ヘルソン地方などプーチン軍に奪われた領土に近いという理由だけでなく、この都市を維持することの象徴性と政治的勝利のためである。クリヴィ・リフ市はゼレンスキー氏の故郷であり、クレムリンが望むオデッサ地方へのアクセスも可能だ。
 4月24日、クリヴィ・リフ市軍政トップのオレクサンドル・ビルクル氏は、敵が「われわれの方角に攻勢をかける準備をしている。今後、攻撃的な行動に出る可能性がある」と述べた。
 この3日間で、クリヴィ・リフ市は、ヘルソン地域から5000人以上の住民を各地に避難させた。地元当局によると、合計10万人以上の移民がクリヴィ・リフ市を通過し、5万人が同市に留まっているという。
 国連の公式発表によると、これまでにロシアの侵攻によって540万人のウクライナ人が国を追われ、770万人が国内避難民となっている。(2022年5月3日)

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