米国 スターバックスでゲリラ戦
労組と企業の戦闘
ダン・ラボッツ
「労働者組合」
賞賛すべき成果
スターバックス労働者と彼らの組合の「労働者組合」は、何十億ドルもの株式評価額がある喫茶店企業を相手にいわばゲリラ戦を行っている。つまり、諸々の小規模行動、1回に1店舗の狙い撃ち、といったことだ。国中でさらに多くの労働者が組織化に入り、労組認知を追求し、ストライキを決行する中で、スターバックス経営は、店舗閉鎖や従業員解雇によって反攻を続けている。労組のゲリラたちは前進中だが、それでも地域規模あるいは全国規模の階級戦を行うことはできていない。
スターバックスにおける現在の労組組織化の猛運動はおよそ1年前、2021年春に始まった。そしてその年の12月、ニューヨーク州バッファローにある1店舗が、組織化の最初になる労組承認選挙に勝利を収めた。その時以来、さらに数十が生まれ、勢いは成長中だ。
ここまでのところスターバックスの100店舗――ほとんどが10人から20人の従業員――が「労働者組合」加盟に票を投じ、他方14店舗のみが反対に投票した。つまりこの労組は、その選挙の88%に勝利した。他のおよそ120店舗が現在選挙を行っている最中か、投票待機中だ。関係する労働者総数は小さいものの、これは特に、労働者の1・2%しか労組をもっていないレストラン業界では、労組組織化におけるかなりの好転だ。
成長を続ける「労働者組合」に対し、この企業は今報復に出ている。スターバックスは過去数ヵ月にわたって、労組組織化活動に取りかかった20人の従業員を解雇したが、それはいつも公式にはもちろん、会社の規則違反といった他の何らかの理由で行われた。最近スターバックスは、ニューヨーク州イサカで近頃組織されたばかりの店舗のひとつを閉鎖中、と公表した。その店舗では、労働者がストライキを決行していた。「労働者組合」は、約175件の不当労働行為を全米労働関係委員会(NLRB)に提出した。
それでも労働者と当該労組はひるんでいない。米国における最大規模労組のひとつである200万人の組合員を抱えるサービス従業員国際組合(SEIU)は、その傘下労組である「労働者組合」のために、ストライキ労働者の賃金を補填する100万ドルのストライキ基金を創出し終えている。
一方労組組織化は国中に、またほとんど労組がない地域に拡大中だ。たとえばこの労組は近頃、南部でのNLRBの選挙でいくつか勝利を収めた。すなわち、ルイジアナ州ニューオーリンズで、フロリダ州タラハシーで、またコロンビア州とサウスカロライナ州で、だ。労働者の1・7%しか労組で代表されていない、米国で最低の労組組織率の州であるサウスカロライナ州での労組組織化は、相当な達成成果を意味している。
浮上する課題は
総力戦への転換
スターバックスの労組運動は従業員構成を映し出している。つまりそれは、あらゆる人種のほとんどが若い女と男の運動なのだ。女性はスターバックス労働者の70%を構成している。白人は50%、しかしラティーノは27%で黒人は8%であり、ほとんどの労働者は20代と30代だ。
スターバックス労働者は組織化を続けているが、その理由は、労働密度が高すぎるから、賃金が少なすぎるから、条件が必ずしも安全ではないから、そして、この会社が彼らを尊重していないと彼らが感じているからだ。ひとりのスターバックスのバリスタは、平均時給13・50ドルないし年収2万6325ドルを得ているが、それは暮らしを可能にする生計賃金ではないのだ。
スターバックス労働者はNLRB選挙を通す労組認知獲得を追求してきたが、ストライキや短時間ストなど、労働者の自信を作り上げ、労組の戦闘性を高める上で重要な諸行動にも取り組んできた。選挙とストライキ両者は、労組の可視性を高めてきた。こうして他のスターバックス労働者もまた、組織化の可能性を理解する。
ゲリラ的戦術を使っているスターバックス組織化キャンペーンは、途方もない成功を見てきた。この達成成果は賞讃されなければならない。彼らは100の喫茶店を組織し終えた。しかしこの国には1万5400の店舗がある。労働者たちは、地域的にまして全国的に組織するのに十分大きな存在感をまだ打ち立ててはいない。そして全スターバックス労働者に労組を届けるためにはおそらく、地域的なストライキあるいは全国的なストライキも必要になるだろう。それがまさしく、自動車、鉄鋼、交通のような他の産業や公務員で起きたことなのだ。(2022年6月6日)(「インターナショナルビューポイント」2022年6月6日)
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