フランス マクロン敗北、極右の突破闘う左翼が必要で可能だ!

2022年6月19日 反資本主義新党(NPA)

 フランスの国民議会選は、大統領与党が過半数獲得に失敗するという第5共和制史上初めての事態、および極右の大躍進をつくり出し、フランスにおける政治的不安定性の進行を刻み付けた。この選挙に向けた同志たちの闘い、およびこの情勢が求める挑戦課題を伝えるフランスからの3つの報告を以下に紹介する。ひとつは、第2回投票終了直後の取り急ぎの評価であり、結果全体がまだ判明していない段階のもの。もっと深い分析は今後紹介したい。2つ目は第1回投票を受けて第2回投票に向けた闘いの呼び掛け。3つ目は、フランス領ギアナの闘いを伝えるものであり、これも第1回投票を受けたものだ。なお、このギアナでの選挙では、第2回投票で、ウェブサイトの記事によれば、NPAと協力関係にある運動の候補者が当選し、国民議会に議席を確保したようだ。(「かけはし」編集部)

 議会選第2回投票の結果は、現政権の敗北だ。エマニュエル・マクロンは確かに議会内での絶対多数確保にはほど遠く、彼の非正統性、および「間違って選出された大統領」という彼の地位を確証している。
 第1回投票で敗北したジャン=ミシェル・ブランケルに加わる形での、リチャード・フェランから、アメリー・ド・モンチャランを含んだクリストフ・カスタネールまでの、指導的なマクロン派メンバー数人の敗北は、マクロンと彼の同類に対する拒絶を明確に示している(注)。
 国民議会の構成は、単独では統治できない少数「大統領派第1党」という形で、政治的不安定情勢の継続と深刻化を予知している。マクロンは、彼が1期目に推し進めた諸政策、および2回戦中の激しい反NUPES(新人民連合・環境・社会)キャンペーンを前提とすれば、疑いなく彼の右翼に支持を求め、彼の政策をもっと強硬なものにするだろう。
 比例代表制のいかなる形態も未だ含んでいない投票制度を原因とするかなりの投票のねじ曲げ、および非常に高い棄権率に基づいて、民主主義の危機は続き、成長している。棄権は特に若者と労働者諸階級の中で高く、彼らは、ものごとを見せなくするために政府があらゆることをやったキャンペーンには、ほとんど何の興味も覚えなかった。
 NUPESの結果は第1回戦の――そして大統領選の――結果に一致し、左翼における重要かつ前向きの推進力を示している。FI(不服従のフランス)は議員数を5倍以上にし、それは、マクロンと新自由主義政策に対する「左翼からの」重要な拒絶の存在を、またよりまともな社会的公正、環境、民主主義を求める熱望の存在、さらにより良い世界に向けた希望の存在すらも確証している。
 われわれは、NUPESに対するわれわれの批判があろうとも、何百万人という人々がマクロンに対する彼らの怒りを表すために、また議会に社会自由主義と決裂する左翼を代表する大きな数の議員を送り込むために、この機会に飛びついたという事実を歓迎する。
 しかし、極右の結果はわれわれに警戒を義務づけている。国民連合(RN)は80人以上の議員という形で歴史的結果を達成し、いくつかの地域(北部、東部、さらに南東部の)では実体のある存在感、他では突破として、「正常化」(社会的危険視からの脱却:訳者)というその歩みを確証している。
 RNは確かに獲得議員数では左翼より少なくなるだろう。しかし危害をつくり出すその能力は、政治的不安定や民主的かつ社会的な危機をそれが利用しようとする――残念ながら上首尾に――がゆえに、相当に増強されるだろう。ファシストの脅威は今ここにあり、現政権こそが、その政策や諸発言を通して、この危険な現象に対する重い責任を負っている。
 われわれは、今展開しようとしている政治的危機がもっとも反動的な諸勢力を確実に利さないようにするために、可能なことすべてを行わなければならない。それゆえ、権威主義的な新自由主義に反対する今後の戦闘に準備を整えた共闘を作り上げるために、またその永続化のために、何よりも、NUPES候補者の何人かのキャンペーンが生み出した戦闘的な推進力に依拠しつつ、本日から明日の闘いを準備するという挑戦課題がある。その手始めこそ、政治的左翼と社会的左翼全体の闘いとならなければならないわれわれの年金の防衛、そして公共サービスの防衛と復活を求める闘いだ。
 極右の危険が大手をふるおうとしている情勢の中ではまた、抵抗のツール、および政治のレベルを含んだわが社会的陣営のための組織、を構築する差し迫った必要もある。われわれには、住民の広大な多数の利益を、また資本と社会的かつ環境的惨事から解放されたもうひとつの社会という展望を守るための、幅広い政治勢力が必要だ。今こそ、今後の月々でこの闘う左翼を建設する時だ!

(注)フェランは国民議会議長、カスタネールは元内務省、モンチャランは環境移行・領土統合相、ジャン=ミシェル・ブランケルは前国民教育相。この選挙で敗北した現職閣僚は辞任しなければならない。(「インターナショナルビューポイント」2022年6月20日)

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