スーダン 軍部の行きづまり前に
民衆がオルタナティブを対置
ポール・マーシャル
2021年10月25日、アル・ブルハン将軍とへミディティがスーダンの2019年革命から出現した移行政府にクーデターで終止符を打った。その時以来、抑圧にもかかわらず決起が続いてきた。そしてこの闘争の背骨である諸々の抵抗委員会は、草の根の民衆的権力の必要をもたらすひとつの憲章を採択した。
混乱を深める
クーデター派
軍事独裁政権はその孤立に対抗しようと、今オマル・アル・バシルの元独裁政権出身のムスリム過激派に頼ろうと試みている。1989年、アル・バシルは、アル・トゥラビに指導された原理主義者との共謀によって権力を掴んだ。後者は特に厳格なイスラム体制を押しつけ、ジハードを呼び覚ますことによって、南スーダンの民衆に対する戦争の擁護者になった。10年後、アル・バシルはアル・トゥラビを取り除いたが、原理主義者たちを国家機構の中に十分に埋め込み、独裁の確固とした支持者として維持した。彼らは革命の中で放逐されたが、アル・ブルハンはまさに今彼らを復帰させている。
経済情勢は破局的であり、商品とエネルギーの価格は上昇中だ。そして西側からの借り入れは凍結されている。独裁にとっての唯一の解決策は、他の資金の出し手を捜そうと試みることだ。ロシアのウクライナ介入のまさにその日、へミディティは外交的かつ資金的支援を求めようとモスクワに向かう途上にあった。プーチンの頓挫を前提とすれば、スーダンの将軍たちがロシアの資金的支援を頼りにできるかどうかは定かでない。もうひとつの解決策は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦だ。そして両者とも独裁の維持には利益がある。実際、数千人のスーダン人兵士が、イランが後ろ盾のフーシ派と戦うためにヘミディティによってイエメンに送られてきた。軍事独裁政権にとって、外交的、経済的な惨状は、同時に政治的なものでもある。それが、今も弱まる兆しがない民衆の決起を打ち倒そうと、空しく試みているからだ。諸々のデモが、軍事独裁政権退陣を唯一のスローガンに次々に続いている。
草の根に発する
オルタナティブ
軍事独裁政権退陣を求めるこの要求は、国連やアフリカ連合を介して西側により操縦されたさまざま仲介者の設定課題にはまったく一致していない。彼らの解決策は、軍部と文民間の権力分かち合いに基づく以前の状況への回帰、だと思われる。この提案は、この闘いを先導している者たち、主要には諸々の抵抗委員会にとって想像も及ばないものだ。彼らは、この国の主要な都市の居住地区を通じてこの運動を組織化している。そして諸決起の中で指導的な役割を果たし、今政治的論争の中に存在しているのだ。
われわれは以前、討論下にある人民権力の憲章について話したことがある(本紙6月6日号参照)。5月中旬、より大きなハルツーム抵抗委員会がこれを記者会見で説明した。それは、ジェンダー、人種、あるいは宗教に関わらない同権、クーデターに責任を負う者たちに対する法的な処罰を含んだ、軍事政権との全面的な決裂、といった要求を含んでいる。安全保障のレベルでこの憲章は、軍事諸機構の全面的なつくり変え、およびイエメンからの部隊引き上げを支持している。さらに、反貧困の経済回復計画、汚職との戦い、経済活動への軍の関与を停止することも含まれている。最後に、またおそらく前進への大きな一歩だが、この憲章は、権力の源は基層の人々でなければならない、と考えている。
諸抵抗委員会によって提案された政治的解決策は次のようになっている。
連邦的な方法で機能する、革命の生きた諸勢力から構成された立法評議会の形成。地域的に、そして最終的には全国レベルで連邦化される、都市のレベルで連邦化された居住区評議会。連邦的に組織化された、このボトムアップ型立法評議会は、この国の主要な政治機関にならなければならない。その目標は、最大限の権力を中央から地域へ、そして現場レベルへと移すことだ。
人民統制組織化のこの切望は、革命後の交渉に関する近年の経験の結果だ。そこでは、政治階級を有利にする形で諸抵抗委員会が捨てられたのだ。それはまた、民衆運動が軍事政権に反対して、宗教的同胞団体起源のふたつの主要スーダン政党を支持したことがあるという、そのもっと昔の歴史をも反映している。各々の時代にこれらの政党は国を破綻へと導いた。
そのような憲章は、労組の姉妹関係のような具体的連帯行動をやり切るわれわれの努力を倍化するよう、われわれを導かなければならない。そのような連帯に似たものは、スーダン教員委員会のメンバーとの間に諸々のつながりを打ち固め、賃上げに関するストライキの間彼らを支援した英国の全国教育労組だ。(2022年6月17日、「ランティカピタリスト」紙からIVが英訳)(「インターナショナルビューポイント」2022年6月27日)
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