「名誉毀損」と「サイバー名誉毀損」容疑によるウォールデン・ベロー訴追の最終的取り消しを

フィリピン

2022年8月9日 ESSF

 反グローバリゼーション活動家のウォールデン・ベローが8月8日に逮捕された。容疑は、「名誉毀損」および「サイバー名誉毀損」であり、それはフィリピンでは極めて重い刑罰をもたらす容疑だ。連帯と請願に関する諸々の声明に関してはESSFのサイトを参照して欲しい。
 多くの闘いをわれわれと共有したウォールデン・ベローは、8月8日にマニラ―ケソン市で先の容疑で逮捕され、その後保釈で解放された。
 フィリピンでは「名誉毀損」(そしてもっと特定的には「サイバー名誉毀損」)の嫌疑は通常、反対派を沈黙させるために、あるいは単純に仕返しを行うために、権力のある地位にいる人々によって利用される。明らかに今回の例がこれであり、その告発はサラ・ドゥテルテの元協力者であったジェフリー・トゥパスによって行われている。そしてサラ・ドゥテルテ自身は前ダバオ(彼女の門閥の地域的拠点)市長で現副大統領、そして前大統領のロドリゴ・ドゥテルテの娘だ。
 ロドリゴ・ドゥテルテの殺人的な体制(超法規的殺害は数万人の命を奪った)に対する鋭い批判者だったウォールデン・ベローは、自身がこの5月の選挙では副大統領候補だったが、テレビ放映された論争でサラ・ドゥテルテに異議を突きつけた。そして彼女は、彼をいかれた政治家であると、またサイバー名誉毀損屋であると責め、ダバオ市の「好ましくない人物」(ペルソナ・ノン・グラータ)と言明することで報復した。
 アクバヤン(市民行動党)の元国会議員であるウォールデン・ベローは、彼の反グローバリゼーション運動への関わりで国際的に著名だ。彼はこれまでに、「ライト・ライブリフッド賞」(オルタナティブ・ノーベル賞)、および国際社会学会から「もっとも傑出した社会学者賞」を授与されている。彼の逮捕は、副大統領と政府を攻撃する者すべてに向けられたメッセージにほかならない。つまり、名声であってもそれがあなたを保護することはない、と。
 中傷で起訴されることへの処罰は極めて重い(最高8年の投獄)。フィリピンではこれが刑法であり、他の国の多くの場合のような民法ではないからだ。問題になっていることは、表現の自由、報道の自由、調査の自由、批判の自由という原理的な自由――サイバー犯罪に対する新しい法によってますます挑戦を受けている自由――だ。
 国際的連帯団体であるESSFは、ウォールデン・ベローの起訴に反対して立ち上がり、彼に対する訴追の最終的取り消しを求める。

▼ESSF(国境なき欧州連帯)は国際的連帯団体。そのウェブサイトは、民衆の闘争とその綿密な論争について伝えている。それは、連帯の世界を求めて闘っている人々すべてにとってのツールでありたいと願っている。(「インターナショナルビューポイント」2022年8月13日)

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