米国 中間選挙が近づくにつれ経済が鍵に

ダン・ラボッツ

 議会を誰が支配するかを決めることになる中間選挙が、11月8日に行われる。そして多くの有権者が、すでに期日前投票や不在者投票に票を投じつつある。
 民主党は、バイデン大統領の政権が、学生の債務を軽減するため、気候を守るため、交通、公共企業体、また製造業と建設業を改善するため、いくつもの法案を通過させ、何十億ドルも投じてきた、と力説している。
 他方共和党は、物価上昇と犯罪増加を宣伝し、その責めをバイデンに帰せるため、数百万ドルをつぎ込んでいる。そしてこれまでのところ、それが功を奏している。ニューヨークタイムスとシエナ大学の最新世論調査によれば、有権者の49%は共和党に、45%は民主党に投票するつもりであり、そこには、共和党が女性とラティーノの中でも勢いを得ていることが付随している。民主党の中心的な問題は経済だ。
 3・5%近くという歴史的な低さの失業率、そして雇い入れを継続している雇用主という形で、いくつかの点で米国経済は強力だ。とはいえ、ほとんどが男のおよそ200万人の労働者が、コヴィッドが減少した後も職場に戻っていないということも真実だ。雇用が強力だったとはいえ、8・2%というインフレ率は労働者の購買力を掘り崩してきた。食品、燃料、そして住宅の高まり続ける費用は、中産階級と労働者階級の双方に今影響を与えている。それに応じて労働者の組織化が進行中だ。
 最新ギャラップ世論調査は、今日の米国人68%は労働組合を認めている、と語っている。これは1965年以後では最高の数字であり、諸労組に新たな回復力を与えている。労組は、ここ20年でのいつよりも多くの代表権承認選挙に勝利した。そして、2021年に労組員総数が依然減少し続けていたとはいえ、諸労組に4万人以上の労働者をもたらした。
 二つの最も見える組織化運動――スターバックスとアマゾン――は続いている。企業所有のスターバックス店舗250の労働者6500人以上が労組の組織化に票を投じた。総数で約35万人の労働者を抱える1万5444のスターバックス店舗があるとはいえ、上記の成果は印象的なものだ。しかしながら、アマゾンの運動は今月、ニューヨーク州アルバニーの事業所で2対1という愕然とする敗北を喫した。
 労組の組織化には、ファストフード労働者、スターバックス従業員、看護士と他の公衆衛生労働者、学校の教員、大学の教育助手、また他の多くの中でのストライキ上昇も伴われていた。
 公私部門の事務所労働者の中では、ストライキが多くあるわけではないとしても、事務所内での仕事に戻ることをめぐって経営者と労働者間ににらみ合いがある。2年におよぶズームを介した家での労働を経て、多くの労働者は職場に戻ることに抵抗し続け、業務の混合手配――週毎の事務所内2日、そして家での数日――、あるいは単純にに家からの労働、を要求している。
 コヴィッドは労働者階級に長く続く影響を及ぼした。米国内の労働年齢の1600万人にのぼる人びとは、長期のコヴィッドで苦しめられ、そのうち200万人から400万人は失業している。全国のコヴィッド感染は当座上昇してはいないが、今も毎日350人が死亡している。
 しかし、公衆衛生の当局者たちは、米国人の1480万人しか最新のブースター接種を受けていず、残りが脆弱なまま残されている、と懸念している。次いでまた、この冬のあり得るコヴィッドの大波を引き起こそうとしている新しい変異株も存在している。しかし、コヴィッドにかかった人々を助ける多くの連邦の計画はすでに終わっている。
 国がコヴィッドの最後の波から回復している中で、社会運動は、女性運動を例外として極めて活性化したというわけではない。この春と夏を通じて、次第に困難になる経済情勢にもかかわらず、あるいはそれが理由で、黒人とラティーノの運動から聞こえてくるものはほとんどなかった。
 一方、ローをひっくり返し、連邦として保護された妊娠中絶の権利を終わりにした最高裁決定は、性と生殖の権利を守る活動に、あらゆる人種にわたる女性の新たな世代を引き込んだ。そのエネルギーの多くは、共和党が妊娠中絶を全国規模で非合法化することを阻止するために、中間選挙へと向けられている。
 残念だが、労働者の活動における高まりと、妊娠中絶をめぐる新たな闘いは、まだ政治に影響を与えるに十分な大きさではない。(「インターナショナルビューポイント」2022年10月31日)

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社