スーダン

軍事政権相手の休戦は一切ない

ポール・マーシャル

 10月25日、クーデターを通したスーダンの民主的移行の残忍な終わりの1周年を期して、数千人のデモ隊が軍事支配に抗議して街頭に繰り出した。この例外的な決起が軍事独裁政権を掘り崩す中、西側の大使館の諸々と伝統的なスーダンの諸政党は、クーデターの指導者たちと一定の合意に到達しようと試み続けている。
 ブルハン将軍と準軍隊的な「緊急支援軍」(RSF)の頭目で「ヘミディ」として知られるハマダン・ドゴロが、オマル・アル・バシルの独裁を打倒した2019年の革命が生み出した文民政権を打倒してから、1年近い。彼らの主な目的は、金銭と免責を理由に彼らの地位を固めることだ。
 アル・バシルがイスラム原理主義者たちと連携して1989年にクーデターで権力に到達して以来、軍の上層は徐々にこの国の主な企業を引き継いできた。将軍たちは金融機関、農業・食品と建設の諸産業を所有している。ヘミディの場合は、彼の民兵と共に、国の主な金鉱山を強奪した。2019年革命から現れた移行政権は、それらの独占に対抗的な諸方策を講じ始めていた。これが、文民の移行政権を軍が退けた理由のひとつだった。
 権力を失うことはまた、何十年にもおよぶ腐敗と経済的略奪について、しかしまた他の極度に深刻な犯罪についても、彼らが説明責任を負わされる危険がある、ということも意味している。これらには、ダルフールと国の他の州における戦争の中での人道に対する犯罪、さらに政府の刑務所に収監されている抗議行動参加者に対する暗殺と拷問が含まれている。軍事評議会がトップになると思われる文民政権を得るために賭けられたものは、クーデター陰謀者にとって高くなっている。
 ブルハンとヘミディは、いくつかの国の支援から利益を引き出すことができる。それらは、その国境上に据え付けられようとしている民主主義の理念を好んでいないエジプト、反フーチのイエメンにおける彼らの戦争のためにRSF部隊を利用しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、最後にポート・スーダンの戦略的な都市に軍事基地設置を期待しているロシアだ。
 この国の情勢は悪化し続けている。国連の代表は、人口の3分の1近く、あるいは1500万人がある種の食糧危機――50%上昇――の中にいる、と見積もっている。国の子供の半分は飢えで死ぬ可能性もある。
 金鉱山を独占する目的で、この政府はコミュニティ間紛争を利用することも躊躇していない。100人以上の死者を残した西コルドファンとブルー・ナイル地域における近頃の衝突は今、数千人の人々を難民キャンプに加わるよう強要しようとしている。
 革命後に解雇された原理主義者たちは、クーデター以来大挙して国に戻っている。彼らは、行政の上部階層内および公的企業内の地位を占めている。風紀の指令が、特に女性と若者にあらためて押しつけられている。ヴェールを着けていない、あるいは単にズボンをはいているだけの若い少女は逮捕される可能性がある。ひとりの女性が不義を理由に石打刑を宣告されたばかりだ。長髪の、あるいはラスタ・ヘアスタイルの若い男たちは、投獄され髪を刈られる。
 クーデターの1周年の10月25日、軍事独裁反対の巨大なデモが出現した。スローガンは変わっていない。軍への妥協拒否、そして軍は兵舎に戻れとの要求だ。同時に、ブルー・ナイルでの虐殺的なできごとを受けて、犠牲者のための募金が組織され、国の統一を求めレイシズムに反対する諸々のスローガンが取り上げられた。
 見えないところで米国は、サウジアラビアとUAEから助けを受け、軍の提案を基礎に、古い諸政党との合意を引き出そうと試み続けている。すなわち、軍に実権を残す策謀にむけ限定された余地しかもたない文民政権に基づいた、以前の現状への回帰だ。
 それゆえ、真の文民政権を求める要求への忠誠を維持している反対派を組織化することの重要性がある。人民権力憲章に基づく、闘争の背骨である抵抗委員会は、クーデターの陰謀者との妥協的な合意への真の政治的なオルタナティブを提供している。(2022年11月3日、「ランティカピタリスト」より)

▼筆者はIVの通信員で、フランスの第4インターナショナルのメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2022年11月6日)

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