メキシコ 社会主義的左翼の2組織が統合

ホセ・ルイス・ヘルナンデス・アヤラ

 2023年1月28日、ONPP(人民の力全国組織)とCSR(革命的社会主義者集団)の党員の統一として、メキシコの社会主義的左翼の新たな政治組織が生まれる予定だ。その新しい名称は大会自身により決定される。

克服必要な
分裂の歴史
 メキシコの社会主義的左翼の歴史はこの30年間、むしろ分裂の方が多く、あるいは熱気のこもった統一がほとんどいつも新たな分裂に終わり、それが戦闘性をくじき、断片化を深めることに力を貸すものとなっていた。何らかのいつもとは違う環境が理由で、メキシコの社会主義的左翼と共産主義的左翼の組織すべての活動家や闘士が万が一今回一堂に会するようなことがあったとしても、1億2000万人以上の人口があるこの国でわれわれが1500人を結集することは難しいと思われる。
 これらの統一運動の失敗を説明する共通分母は、諸組織の社会主義的で戦略的な政治的・イデオロギー的首尾一貫性の欠如だった。そして次のようなことが国内的かつ国際的な政治情勢についての考え違いの産物だった。つまり、それらの諸組織と民衆の基盤が参加しないまま、カフェでの指導者同士の談合を通して準備される行動として、行動のための戦略的な政治的合意の欠落、こうして、機能のレーニン主義的な民主的枠組み、諸傾向の権利、多数派合意を支持する規律、こうしたもののの欠如だ。
 これは、指導部の果てしない領袖主義、そして諸組織内部の戦術的違いや二次的な違いに対処する能力の不在と不寛容が原因だが、さらに原因として次のことも強調されなければならない。つまり、メキシコ左翼内部でこの何十年もはびこってきた選挙における日和見主義の巨大な重みだ。

情勢認識の一致
と実践共有から
 われわれの場合は違うことを目標にしている。われわれは、国内政治情勢の特性付けに関する確かな一致から、またわれわれが参加する社会運動内の共有された実践から始めようとしている。われわれは、選挙への参加を頭から否定はしないが、われわれはどちらもそれを活動の中心にはしてこなかった。われわれは、われわれの代表者間だけではなく、草の根で討論を行うことを追求してきた。われわれは、民主主義の、国際主義の、反新自由主義の、エコソーシャリズムの、そしてフェミニズムの特性をもつ革命的なマルクス主義組織の創出に同意しているが、また何よりも、メキシコ民衆の一部であるさまざまな社会部門の中に民衆的な力を作り上げることで合意している。
 われわれの大きな戦略的な政治的合意は戦術的な違いを排除するものではない。しかしわれわれは、レーニン主義的な特徴を備えた革命党の建設は、階級闘争が常にわれわれに提起することになる大きな多様性をもつ諸問題に対し最良の回答を見つける豊かな論争を必要とする、と理解している。そしてその上で、戦術的な違いを互いを尊重する民主的な枠組みの中で解決しようとするだろう。

左翼戦線構築へ
共同した追求
 ONPPとCSRの友好関係樹立の歩みは、OPT(人民と労働者の政治組織)の内部で始まった。そこで両グループは、2012年から一連の合意に達し、後にも社会主義的左翼の諸組織からなる戦線であるMUS(社会主義者統一運動)の形成を続けた。後者は、権力を握った新自由主義ブロックの敗北と2018年7月のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)の鮮やかな勝利を起点とし、同じく電力産業国有化を求める闘い、公的債務返済の監査、また地方や都市の労働者の自立的で民主的な組織を求める闘いの中でのことだった。
 したがってわれわれは、社会的計画やエネルギー主権の回復といった進歩的な改革は支持してきた。しかしわれわれは、正統性のない公的債務の返済継続や労働者階級のさまざまな要求や紛争の解決における無定見なAMLOの政策を批判している。
 3年前の2019年12月におけるMUSの建設はメキシコの社会主義的左翼を結集する道における大きな成功になった、とわれわれは確信している。われわれの新組織は、MUS内部とわれわれがこれまで生み出してきた他の統一戦線的空間内のメンバーであり続けるだけではなく、また決意をもって、メキシコの社会主義的左翼の最大限に幅広い統一を深め達成することを継続するつもりだ。われわれの目標は、この国の方向に影響を与えることができる幅広く強力な大衆的政治組織を形成すること、そして新自由主義を一掃し、社会主義建設への基礎を据える新たな民主的でプロレタリア的な体制を確立することの両者だ。

今何をなすか
を基準に出発
 われわれのイデオロギー的出自にはマルクス主義の多様な源があるが、これは合同への障害にはならない。もっとも重要なことは、戦略的な展望の枠内においてわれわれが今何を行うのかだ。加えて、この合同のタイプは新しいものではない。ポルトガルでは左翼ブロックの形勢が、異なった傾向の3組織による合同の結果として成功した。同じことは、ブラジルでのPSOL(社会主義と自由の党)という形で出現した。フィリピンでは、共産党から分裂した非トロツキストが第4インターナショナルに加わった。もっと多くの例がある。したがってわれわれの確信では、新組織の任務のひとつは、世界的に、また特にラテンアメリカで、革命的な社会主義的左翼の国際主義的運動の押し上げとなるだろう。
 ONPPとCSRの統一は、われわれが遂行する戦闘的で社会的な活動の中でのさまざまな組織的変化を意味するだろう。CSRのメンバー50人強が新組織に加わり、ONPPは100人以上を加えるだろう。ONPPはわれわれも参加する予定の社会組織の戦線として存在しつつけることになるが、新たな政治組織は両組織の合同メンバーから構成されるだろう。

革命的な左翼の
さらなる統合へ
 われわれの新組織はマルクス主義の諸原理を忠実に守るだろう。底辺の者たちの自己組織化に基礎を置くエコソーシャリズム的オルタナティブがない中では、大資本の地獄の仕組みが地球中で支配の糸を張り巡らし続けるだろう。国際主義者としてまた反植民地主義者として、われわれの希望はイランにおけるフェミニストの決起と反独裁の決起から、英国における賃上げを求めるストライキ労働者から、中国における民主主義を求める諸々のデモから、米国内の労組組織化と反レイシズムの闘争から、そしてペルー内の新たな独裁に反対する闘いから活力を得ている。
 第4インターナショナルとの関係ではメンバーであること、および緊密な協力が維持されるだろう。われわれはその会議、論争、活動に参加するつもりだが、個々の帰属は義務的とはならないだろう。そしてわれわれは、世界中すべてから革命的マルクス主義者を結集するインターナショナルの建設の前進を追求するだろう。
 われわれは2023年に、社会主義の展望を守っている者すべてを単一の党に再編する希望を抱いて新たな政治組織の建設を開始する。われわれはシステムを管理する左翼ではない。われわれは、新自由主義のまた強欲な資本主義の克服がなければ、また社会の革命的な変革がなければ、搾取や抑圧や生態系の破壊を止めることはできない、と確信する組織をめざす。われわれは、セクト主義なしに、社会運動の他の潮流と対話と論争を重ねる中でひとつの組織を生み出すことを追求する。われわれは、新たな諸組織の統合と個人の参加に開かれている。われわれは、われわれの統一がそれだけで終わらず、出発点であることを強く願う。この理由から、この構想はかつて以上に適切だ。
 本日われわれは、搾取され抑圧された者たちに有益な党の建設という筋道を刷新しようとしている。(IV向けにプント・デ・ビスタ・インテルナシオナルから英訳)

▼筆者はCSRの戦闘的活動家。(「インターナショナルビューポイント」2023年1月17日)

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