米国:共和党極右議員が下院で権力者に
共和党極右議員が米下院である種の権力者に
ダン・ラボッツ
極右が米下院で、100年で初めて自らをひとつの力として確立した。下院内で共和党の僅か10%の1グループが、今や下院を混乱させ麻痺させる力をもっている。暴力的な諸組織や活動家とつながった1集団が最後にそうした力をもったのは、数人のクー・クラックス・クラン・メンバーが下院に議席を占めた20世紀初頭だった。
20人の共和党極右議員が、共和党指導者のケビン・マッカーシー――彼自身完全な反動派――を下院議長として支持することを拒絶し、こうして彼に下院の過半数を与えないことで5日間下院を麻痺させた。下院は、議長不在のため、何も行うことができなかった。すなわち、新議員に議席を与えることも、委員会を設置することも、法案を採択することもできなかったのだ。この袋小路は、15回目の投票に関しマッカーシーが右翼ブロックにさらにいくつか譲歩し、かれらに比例とかけ離れた力を与えた1月6日に終わった。
共和党のマッカーシー反対派は全員極右の実績をもっている。かれらは今日、下院調査委員会が証明したように2021年1月の暴力的な反乱策動を導いた、そのドナルド・トランプ前大統領の立法府突撃隊を形成している。
この20人の内数人は、この反乱の法的側面を支持して下院から関与した。その12人は、トランプの間違った主張を支持し、ジョー・バイデン現大統領が勝者だった2020年大統領選の結果を否認している。15人は、選挙人による2020年の選挙結果を覆す票を投じた。17人はトランプによって承認され、19人は、ウルトラ右翼の「下院フリーダム・コーカス」(それには全共和党議員の約20%が所属)のメンバーだ。2人は白人民族主義者組織の前で演説したことがある。434人の下院議員の内これら20人が今、権力の鍵になるテコを握っている。
過去には他の右翼グループが下院に影響力を及ぼしたことがある。1950年代から今日まで、極右の反共産主義グループであるジョン・バーチ協会が、数千人のメンバーを抱え、共和党に相当な影響力を確保してきた。ジョージア州の米議員、ラリー・マクドナルドは、1983年に前記組織の全国指導者に選出されたが、彼は同年飛行機事故で死亡した。1950年代と同60年代、多くの保守的な共和党指導者はその過激な主張を理由に先の組織を批判した。
米国が下院の暴力的で右翼的な政治家を見た最後は、1920年代から同40年代にかけたクー・クラックス・クランの高潮期だった。1920年代のクランは、反黒人だけではなく、反カソリック、反ユダヤでもあった。そのクランが、黒人民衆に対するリンチを含む暴力的攻撃に関与し、民主党内でも1勢力になった。数人のクランメンバーや同行者が、民主党の上院議員、下院議員、知事部局、また州や地方の公務職として選出された。
11人ほどのクランメンバーが上院に選出され、他方他の5人がクランから支持を受けた。この時期クランはさらに、7人の下院議員、6人の知事も選出した。このクラン政治家のほとんどはディープ・サウス出身だったが、他の者たちは、オクラホマ、コロラド、オレゴン出身の上院議員や知事だった。1960年代を通じてクランメンバーは黒人公民権運動を威嚇し、その議員たちは公民権法を阻止するために努力したが、1964年始めにそれらは敗北した。かれらの何人かは1980年代まで議会メンバーとして残った。
今日の右翼運動は、クランのそれよりももっと大きいとさえ言え、もっと幅広い。われわれは今後あらゆるところで、右翼のこの危険に抵抗しなければならない。(「ニュー・ポリティクス」より)(「インターナショナルビューポイント」2023年1月10日)
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