フランス 年金 女性が闘いの中に、前線に!

NPAフェミニスト委員会

 年金改革提案反対の諸決起が1月19日に勢いを付けて発進して以来、女性の諸グループ、共闘団体、市民団体が、この改革が意味するものを説明し、多くの行動形態をとって、諸々の行動日に活発に参加し続けてきた。この改革は特に女性にとっての含みを内包しているのだ。3月8日がさまざまな部門の総力をあげたストライキの出発となる可能性を含んで、3月7日から決起のギアを上げるという労組合同委員会の提案は、計画された決起の中心に、女性の諸組織、労組、さらに諸政党によって幅広く支えられるフェミニスト女性ストライキの必要を提起している。(IV編集部)

女性に対して
不公正な計画
 年金を計算する現行のシステムは、前から女性に対し不利なものだ。つまり、女性と男性間の賃金格差が平均で約20%であるのに、年金格差は40%を超えているのだ! 所得の不平等が広がるこの現象は、多くの女性が抱えている不完全で断続的、さらに時間を要するキャリアに大きく結びついている。女性たちはパートタイム職の80%、および子どもを養育するための育休の多くを占めている。
 政府自体がある報告の中で、最低法定退職年齢の62歳から64歳への後ろ倒しを理由に、男性の平均5カ月に比べ、女性に余分に7カ月働くよう強いることになる、と認めている。
 男性の約10%に比べ、女性のおよそ20%はすでに、年金減額(注1)を避けるために67歳まで働くことを余儀なくされている。満額年金のために必要とされる拠出年数引き上げは、自動的に67歳まで働くことを余儀なくされる人びとの数を増やすだろう。そしてそこには、女性の過半、また臨時職化や不安定職に特に苦しんでいる人びと、つまり移民労働者、人種的に差別されている人びと、LGBTQIsの人々……が含まれる。
 政府は2024年に家族の権利に関して追加的な提案を行う計画をもっている……。最悪のものが恐れられなければならない!
 重労働について言えば、、大きな数になる被雇用者の労働条件と労働時間の健康と期待寿命に及ぼす結果から見たとき、そこへの認識はすでに嘆かわしい状況だが、それは最も女性化された職に対してはさらにと言えるほど評価が低く、考慮も貧弱だ。

反年金改革で
闘う女性たち
 計算方式変更によって悪化させられた不公正は、すでに以前の闘いの中でも、政府の改革への反対を納得させる上では重要な論点だった。2019年の以前の改革(実行されなかった)は、この観点からは特に暴力的だった。フェミニスト諸団体、諸労組、ATTAC、また特にジェンダー委員会は、これらが行き着く先を変わることなく糾弾してきた。「ロージーズ」たちのパフォーマンスは多くの不満の声を表に出した(注2)。
 この主題に関しわれわれは今日再度声を上げることを余儀なくされている。諸々のデモの中では、年金の不平等とそれが通過することになればもたらされる悪化を糾弾するいくつもの表現があふれかえっている。特別なリーフレット、多くの場合「フェミニスト共闘」……と結びついた何よりもフェミニストやLGBTI諸団体として関わる者たちの総会、女性、そしてジェンダーマイノリティが、いくつもの都市で決起するために特別に組織されている。諸々のデモには若者たちを含む女性が特に姿を見せている。
 2月15日にはこの改革構想を糾弾するために、ポリティス(反自由主義やエコロジーを基調とする政治、社会関連週間ニュース誌、ATTACフランス創設主体のひとつ:訳者)主導の下で、幅広い基礎をもつ大衆集会が労組や政治的あるいは社会的左翼から多くのフェミニストを結集するだろう。3月8日が近づく中、女性の権利を求める国際的な闘争日と年金改革反対の決起間のつながりが明白になろうとしている。

フェミニスト
ストライキへ
 全合同労組グループが公表した作業計画は、3月8日のストライキ再開と同7日から国の経済を止めるという見通しを高めている。しかしこれらの日付けはむしろ先延ばしだ。休暇期間を切り抜け決起を維持するためには圧力を保持することが必要になるだろう。
 しかしそれはまた、最も関連する諸部門でストライキを組織する機会にもなる。中でも、清掃部門、個人サービス、ケアホーム、公衆衛生……、これらの部門ではストライキに決起している労働者は十分でない。新型コロナの前線にいる人びと、セギュール(医療関係の協議:訳者)の賃金交渉で忘れられている人びと、そして非常に低賃金、シフトがバラバラ、また間接雇用形態の中で雇用主が何人もいるような人びとは、自らを守るための労組にはほとんど、あるいは全く組織されていないのだ。
 われわれは、ストライキ決行で「ユーザーを見捨てる」という困難があるとしても、この問題は非常に重要だ!と人びとを説得する必要がある。それは、われわれの年金のためばかりではなく、政府の破壊的な政策に終止符を打つためにも、その結果として公共サービスがその本来の場を取り戻し、社会的に有益な職が認められ再評価されるようになるためにも不可欠なことなのだ。
 これらのことは、住民全体に関わり、何よりも被雇用者とユーザー双方の女性に諸々の結果がおよぶ本質的な社会的選択だ。これらの問題すべてが、諸労組、市民団体、フェミニスト政治諸組織によって支援される3月8日の女性ストライキの中心部にある。政府はその改革をもって、労働者階級、特に女性に今攻撃をしかけている。われわれは今、闘争の最前線にいる女性たちと共に不可欠な反攻を組織中だ!

(注1)必要な年数の拠出がないままの、また67歳以前の退職に適用される「減額」。
(注2)ATTACジェンダー委員会は2019年に、有名な「ロージー・ザ・リベッター」ポスター(訳注)に似た、赤いバンダナと共に青いオーバーロールをまとった街頭劇場グループを作り出した。その時以来それらの歌とお決まりの所作は抗議デモにおけるひとつの呼び物になってきた。(「インターナショナルビューポイント」2023年2月14日)
(訳注)第二次世界大戦時に工場労働をになった女性を称えて米国で作成されたポスター類で、ある種の文化的な表象となった。「ロージー・ザ・リベッター」を直訳すれば、ロージーはリベット工、といった意味。

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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