イラン 内部から抜本的変革の呼びかけ

底辺からの急進的民主主義確立を
ババク・キア

深い危機の中で
反乱はなお続く

 反乱が6ヵ月目に入る中、イランは今さらに深い経済的で社会的な危機に投げ込まれようとしている。それでも体制と対決する闘いは続いている。
 イラン通貨の下落は際限がないように見える。生活の悪化に反対する住民の決起は増大中だ。反乱を支持する政治ストライキは当面まだ限定されたままだとしても、賃金遅配(時には4ヵ月にもなる)の支払を求めるストライキ、あるいは労働条件を強く非難したり賃上げを求めるストライキは毎日のことだ。
 同時に、抑圧もこれまでと同じ猛烈さで続いている。たとえば2月22日、体制は、2018年に警官を殺害したとして起訴された29歳のクルド人活動家、アラシュ・アーマディの処刑を公表した。デモ参加者や抗議活動参加者に対する重罪宣告が下され続けている。
 これを前にして、反体制抗議行動は多様な、華々しさは少ないとしても永続的な形態をとっている。シスタン―バルチスタン、そして特にザヘダンの地域では毎金曜日の大衆的デモ、大都市の労働者階級の住宅街における夜ごとのスローガン、クルディスタンでの街頭行動、アジテーションは止んでいない。

反革命組織化
は国外からも


 上記を背景に右翼と君主派の反政府派が、西側諸政権の助けを受けて国外から「女性、いのち、自由」の運動の方向をそらそうと今挑んでいる。ジョージタウン大学(米国)が先頃、最後のシャーの息子であるレザ・パーレヴィを含んで、このブルジョア反政府派、権威主義者の反政府派、さらに反動的な反政府派と共にひとつの会議を組織した。
 レザ・パーレヴィはまた、2月17―19日に開催されたミュンヘン安全保障会議(1963年から毎年開催:訳者)で発言するためにも招待された。エマニュエル・マクロンは先の会議と平行して、トランプの友人であるマシフ・アリネジャド(イラン系米国人ジャーナリスト:訳者)と共に彼自身の会合を企てた。レザ・パーレヴィはさらに、2月20日にフランス上院で発言するために招かれた。
 レザ・パーレヴィはどのときにも、彼の父親とイラン君主制の犯罪を全く非難しなかった。他方彼は決まって躊躇なく「将来の移行期の治安を確保するためには、イスラム革命防衛隊メンバーとバスィージ(前記部隊傘下の民兵ネットワーク)に依拠することが必要になるだろう」と語っている。それらの者は、44年の間抗議行動参加者と政治犯を拷問し、レイプし、殺し続けてきた同じ者たちなのだ。

自立した諸組織
への連帯構築を

 イスラム共和国と対決している前線の中で、国内の約20になる独立労組と市民社会組織が2月15日に声明と要求に関する重要な政綱を発した(本誌3月20日号7面参照)。これらの組織は、数多くの学生団体や大学団体を介して、また国内の戦闘的な活動家ネットワークを介して、それら自身の立場の中で合流した(訳注)。
 この文書は、民主的要求(死刑や拷問の廃止、組織化の自由……)、フェミニズムの要求、LGBTQI+の要求、環境の要求、社会的、民族的、宗教的マイノリティの要求を結びつけている。
 声明は、体制の高官たちが保有する財産の没収を求め、この44年間と君主制下両者のイラン人が味わった自由の剥奪を厳しく非難している。このマニフェストは中でも、底辺からの急進的な民主主義の確立を求めている。それは、抜本的な社会変革構想のために闘うことの呼びかけだ。
 これらの要求はもちろん、現在の独裁体制とは両立不可能だが、しかしまた、反動的な、自由主義的な、レザ・パーレヴィと彼の仲間の大ペルシャ主義かつ権威主義の構想とも両立不可能だ。その上に君主派のネットワークはこのマニフェストを暴力的に攻撃している。
 イスラム共和国に反対する闘いと急進的な表現を支援することは、反資本主義で革命的な活動家の義務だ。大国およびイラン内の反動諸勢力の帝国主義的諸行動を糾弾することもまた、急進的左翼の義務だ。
 現在の反乱の結果は、宗教的原理主義、権威主義と独裁の諸国家、また帝国主義諸大国に反対して闘争中のあらゆる民衆にとって決定的だ。(2023年3月2日、「ランティカピタリスト」よりIVが英訳)

▼筆者は「イラン労働者と連帯する社会主義者」の活動家で第4インターナショナルのメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2023年3月6日)
(訳注)声明の署名組織は以下
イラン教育者ギルド調整評議会
イラン労働者自由組合
大学学生組織連合学生組合人権擁護センター
ハフト・タペーサトウキビ労働者組合
石油化学契約労働者抗議評議会
イラン教育者会議
ビダルザニ(フェミニストのウェブサイト)
イラン女性の声
アーヴァズ国有鉄鋼グループ自立労働者の声
労働者の権利擁護協会
ケルマンシャー電気・鉄鋼労働者ギルド
労働者組織創出支援調整委員会
退職者組合
イラン退職者評議会
進歩的学生組織
イラン自由思考高校生評議会
アルボルツ州画家組合
イラン労働者組織創出委員会
社会保障行政機関退職者評議会
(2023年2月14日)

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