ウクライナ 労働者は内部の脅威とも戦闘中

国際支援がぜひとも必要だ

ハンナ・ペレコーダ

ウクライナ社会
が結束する観点

 15カ月近く、何百万人というウクライナ人はいつでも国のどこでも届く可能性のあるミサイルの脅威下で暮らし続けてきた。
 ロシアは、市民を敵とするテロの意図的かつ体系的な戦略に取りかかってきた。気がつくとロシアの占領下に置かれていた人びとは、強制的な追い立て、殺人、レイプ、さらに拷問の犠牲者になっている。数万人の子どもたちが占領された地域からロシアに移されたと考えられる。そしてその先でかれらの民族的独自性は強制的に消されている。ウクライナの村落や町の解放の度毎に、新たな犯罪が明るみに出、ロシアが強奪するあらゆる地域を待っているものを全世界に示している。
 これこそが、政治的不一致があろうとも、ウクライナ社会のすべてが、領域全体からロシア軍を排除することに成功する場合にはじめてウクライナが生き残ることができる、との観点で結束している理由だ。ロシアの侵攻の民族皆殺し的な意図を前に、ウクライナの市民組織と政治組織は、それらの抵抗で確固としている。

社会的結束崩す
ウクライナ当局


 この戦争は、ウクライナの経済を深刻な不況に押しやっている。戦争のたった1年で、国のGDPは大雑把に30%も落ち込んだ。高水準のインフレは実質所得の下落を意味している。ウクライナ人の60%だけがかれらの職を維持できてきたが、その中でもフルタイムは35%にすぎなかった。多くの人は職を失っただけではなかった。かれらはまた家や親類をも失った。市民の死者は数万人に上り、軍の死者は確実にそれ以上になるに違いない。
 これらの困難な条件にもかかわらず、ウクライナの人びとは受け身の犠牲者であることを拒絶している。普通のウクライナ人の自己組織化能力は、ロシアの帝国主義的侵略に対するこの国の抵抗では鍵になるもののひとつであったが、今も依然そうだ。
 しかしウクライナの当局は、戦争の必要に経済を適応させる代わりに、広大な私有化計画を発進させてきた。政府は戒厳令とデモ制限を利用して、労働法をも解体し、一連の他の不人気な方策を押し通してきた。
 これが今、ウクライナがそれを最も必要としている時にその社会的結合力を掘り崩している。不幸なことだがウクライナの労働者は今、かれらが外国の敵から国を守っている中でさえ、かれらの政府からの攻撃に直面中だ。その中で国家は、住民の消費の必要と安全保障双方を満たすことができていない。

誰に奉仕する
戦後再建か?

 戦後ウクライナは、並外れた任務を前にすることになる。ウクライナは、インフラの大量破壊に対処し、産業を再開させ、大きな人口統計的な危機をうまく処理しなければならないだろう。最後の点では、そのほとんどが女性になる800万人が国を去ったのだ。避難民のかなりの数は、何人かは社会的諸権利と労働条件の悪化を理由に、海外から戻らないかもしれない。
 われわれは、戦後再建がウクライナ経済のオリガルヒや諸企業に利益になる急進的な転形を正当化するために利用されないことを確実にする必要がある。
 それでも当局は、戦後ウクライナ人が故国に戻ることを勇気づけると思われる諸方策を採用することに代えて、外国の投資を引き込むことを目的に、医療ケアの商業化、国家資産の全面的な私有化、さらに公共サービスの切り下げを今求めている。政府は今、新自由主義の教条を名目に、普通のウクライナ人がそのためにかれらの命を捧げている最中の経済的かつ政治的な主権を掘り崩しているのだ。
 これらの過酷な条件の中でもウクライナの労働者は、かれらの社会的権利を攻撃する諸政策に反対して決起を続け、その中で左翼と労組の活動家は組織化に向けたかれらの努力を支援中だ。しかし、あらゆる戦線でかれらの主権のためにヒロイックに戦闘中のこれらの人々は連携する勢力を必要としている。世界の左翼と労働運動は、ウクライナ人がロシアの侵略者からかれらの独立を取り戻すのを、同じく新自由主義的な従属に反対してかれら自身を守るのを助けることができる。
 単なる長続きしない和平や休戦ではなく、あらゆる領域からのロシア占領軍の即時撤退を達成する目的では、ウクライナへの軍事的、財政的、外交的支援が基本になる。

労働者だけが
未来つくれる


 それでもわれわれは再度強調するが、戦後再建が、民衆よりもオリガルヒや諸企業の利益になるウクライナ経済の急進的な転形を正統化するために利用されないことを確実にする必要がある。戦時とその後双方で国民の安全を保証するただひとつの方法は、EU基準や国際基準に合致したまともな労働条件を正規なものにすることだ。ウクライナはさらに、労働者の権利の保護に関する効果的な政策を発展させる必要もある。
 みっつのイニシアチブが今、ウクライナの進歩的な諸組織の声を広範な世界に届けるためにたくさんのことを行っている最中だ。ウクライナと連帯する欧州ネットワーク、米国連帯ネットワーク、そしてウクライナのための被選出左翼が、ウクライナの民衆的抵抗に具体的な支援を提供するために創立された。ウクライナの市民組織や労組やフェミニストとの、またベラルーシとロシアの反戦組織とのそれらのつながりを使って、ふたつのイニシアチブが、国際連帯や基金や援助車両隊の手段によって、ウクライナの抵抗を支援中だ。
 しばしば自身の命を危険にさらして、ウクライナの工場、病院、学校、列車、また事務所の機能を維持しているのは労働者だ。また、今前線で戦闘し、国家の生き残りを確実にしているのも労働者だ。それこそが、労働者だけがかれらの国の未来を決定できる理由だ。われわれは、かれらの声を確実に聞き届けさせなければならない。(「オープンデモクラシー」より)

▼筆者はドネツク生まれでローザンヌ大学の学生。(「インターナショナルビューポイント」2023年5月10日)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社

前の記事

スーダンの夢

次の記事

トルコ 希望の難破