オセアニア フランス領ポリネシアで親独立派勝利

マクロン支持派への鮮明な拒絶
核実験被害救済が最初の課題に

レオン・クレミュー

 4月30日、ポリネシア親独立派のタヴィニ党が領域議会で初めて確かな多数派を獲得した。これは、GDR(共産主義者と海外)―NUPES(新人民連合・環境・社会)の1員である3人の議員によってフランス国民議会内の3議席としてタヴィニの勝利によって昨年印された、この群島内の政治的光景における実体的変化を確証している。
 この勢力はオスカル・テマルを軸に1977年に創立されてから、FLP(ポリネシア解放戦線)、次いでタヴィニ・フイラアティラとして、フランス領ポリネシアとして知られるこの群島の住民30万人を代表して脱植民地と独立を求めて戦ってきた。この闘争は、この国が脱植民地化されるべき領域の国連リストに戻されることに、また何よりも核実験反対の闘いに導いた。

核実験反対の
一貫した闘い


 フランス帝国主義は、フランス領ポリネシアによって、450万平方キロメートルの排他的経済水域(EEZ)を確保している。それは、総表面積1160万平方キロメートルのほぼ40%であり、フランスを米国を上回る最大のEEZ保有国にしている。フランスは常に独立のあらゆる進行を阻止してきた。そして領域への法的な支配(通貨、司法、軍と警察、外交)を維持している。
 核実験に関する限り、フランスは、1966年に革命によってアルジェリア南部での実験の停止を強要され、フランスアルプス、コルシカ、レユニオン、ニューカレドニアを考えた後に、1966年から1996年までに、193回の大気中および地下の爆発をポリネシアに押しつけることを決めた。
 ポリネシアのドゴール派と自治主義右翼が核実験と駐屯部隊経済(本国フランス人1万人とポリネシア人数千人を結集する太平洋実験センターを通じて)の大きな存在を常に支持してきた一方、タヴィニは、2018年にICC(国際刑事裁判所)に人道に反する罪を理由とするフランスに対する告訴を提起することも含んで、常に核実験と闘ってきた。

長年の闘いが
見事な結果に


 1977年のタヴィニ・フイラアティラ―FLP主要創立者のひとりであるテマルは、2004年以来幾度かポリネシアの大統領になったことがあるが、領域議会では親独立派が安定した多数派になったことは1度もない。しかし2023年の選挙は、自治派陣営(エジュアル・フリッチのタプラおよびガストン・フロスのタホエラ)が2018年の77%から今年の38・5%へ落ち込む崩壊となり、一方タヴィニは23・1%から44・3%に増大した。1位のリストにボーナスがあるポリネシアの選挙制度は、タヴィニに57議席中38議席を与え、また執行権力(議会による選出された)を握るポリネシア大統領の地位はモエタイ・ブラザーソンに渡った。
 これらの見事な結果を説明できるものは、独立を求める要求の突如の高揚によってというよりも、マクロンと共和党の現地支持勢力であるフリッチ―フロス体制に対する拒絶にによってであり、そこには、先の体制の悲惨なパンデミック対処、そして何よりも住民の生活条件の深刻な悪化が伴われている。事実としてタヴィニの活動とキャンペーンは、購買力に焦点を絞り、この群島の労働者階級内部における固い基盤を見せつけた。

社会的不平等をインフレが追撃


 2022年に高騰したインフレ以前ですらポリネシア人は、フランスより40%低い平均賃金と40%高い生活費水準によって惨めな経済状況下で暮らしていた。そしてそれは特に、火力発電所を動かすために使われる燃料を含む輸入品の重い負荷が原因だ。この状況は、2022年に対する公式インフレ予測8・5%の下で昨年を通じてただ悪化したが、食糧とエネルギーの費用はもっとはるかに高い。
 平均の値は、労働年齢のふたりにひとりが仕事に就いていないことで、住民の大きな部分の所得を反映していない。貧困率は公式には2019年に21・9%だった。2015年には、貧困ライン以下で暮らす家族の所得は、6人の家計に対し平均で1200ユーロだった。
 ポリネシアの社会制度と税制は、現地法によって管理されている。そこには所得税が全くなく、相続税や富裕税、また法人税は簡単に回避可能であり、そのすべてが社会的再配分に向けた財源を大きく限定し、深刻な社会的不平等を維持させている。2015年にISPF(フランス領ポリネシア統計調査所)が行った最新の「家族財政」調査は、最富裕層10%は最貧困層10%の9倍高い所得を享受しているとして、フランスの2倍不平等な社会を示した。

フランスは
核被害放置


 「核の負債」に関するマクロンの仰々しい宣言にもかかわらず、30年にわたる核実験の諸々の結果は、今なおフランスによって対処されていない。このフランスはむしろ、広大な多数の補償要求を現在妨げている最中であり、放射線の影響を受けた住民とその子孫の比率を軽く扱い、ポリネシア社会保障基金に負わされた重い負荷を考慮できていない。
 2021年この基金は、今後放射線に起因する疾病に関し6億7千万ユーロを費やすことになっている、一方40歳から50歳のポリネシア人女性は世界で最高率の甲状腺ガン罹患率を抱えている、と評価している。この問題は疑いなく、議会内の新多数派が提起する最初のもののひとつになるだろう。
 はっきりしていることは、親独立運動は中期的に(10年から15年)この国を独立の進路に置き続けるつもりだとしても、その政治路線が、フランスをその債務を考慮するよう、また独立に向けた経済的かつ社会的な諸条件を生み出すことになるひとつの過程に基づき前進するよう強制することになるような、パートナーシップを押しつけることになる、ということだ。(2023年6月1日、「ランティカピタリスト」よりIVが英訳)(「インターナショナルビューポイント」2023年6月6月5日)

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