トルコ 左翼が取り組む新しい連携

簡単ではない挑戦が具体的に始動
メティン・フェイヤッツ

 2023年5月14日の選挙はトルコ内左翼にとっての大きな希望を付随させて待ち望まれた。20年以上続いてきたAKP(公正発展党)の抑圧体制が終わるという可能性が、左翼と特にクルド運動に向けて息継ぎの空間を提供すると思われた。そして後者の運動の活動家数千人は投獄されるか亡命中であり、それゆえ主な期待は、この選挙後に開かれるべき部分的な民主化の動きを得ることだった。
 この理由から、最も広い意味で、トルコ内左翼は大統領選で反政府派候補者を支持した。他方議会選では、左翼は「労働と自由連合」の名称の下に別の連合に基づき選挙に参入した。「労働と自由」は、HDP(人民民主主義党、クルド運動を起源とする左翼政党)、TIP(第4インターナショナルのわが同志が活動しているトルコ労働者党)、さらに他の急進左翼4組織で構成されている。

労働と自由連合
での複雑な対応
 労働と自由連合は実際は選挙のずっと前に設立され、その第1の目的は選挙連合ではなく闘争の連合として明確にされたとはいえ、もちろん近づく選挙が連合の全体的政治活動を支配した。
 連合の当初の戦略は、大統領選が終局的には2候補者間で行われ、実際には一種の国民投票になると思われる以上、野党候補者が右翼的になりすぎないことを確実にすることだった。なぜならば、主要な野党である社会自由主義のCHP(共和人民党)とさまざまな右翼連合部分から構成されている「国民連合」の内部論争が、「勝つ可能性もある候補者」の名目で実際に民族主義で国家主義の候補者を押し出すこになっていたからであり、これはクルド運動にとって最後は何も変えないと思われる候補者を意味することになるからだった。
 結局のところ連合は、第2回投票でエルドアンの対立候補として僅かに右翼色の少ない候補者への支持を迫られない目的で、大統領選で自身の候補者を指名する代わりに、国民連合がCHPの現指導者であるクルチダルオールを指名することを条件に第1回投票で国民連合を支持してもかまわない、と表明した。
 かれらの目的は、候補者選定プロセスの中で圧力をつくり出すことだった。この戦略は部分的に機能し、有力な傾向はCHP内部からの右翼の候補者を指名することだったというものの、第1回投票で約10%のクルド運動の支持を勝ち取るという訴えもまたCHPの指名プロセスに影響を与えた。
 しかしもちろんこの場合、社会主義者とクルド運動が大統領選挙で候補者を指名し、自身の宣伝を行うことは不可能だった。しかしながら、議会選挙の場合は情勢は異なっている。労働と自由連合は、長い間議会選に向けた戦略を討論しなければならなかった。そしてこれらの討論はほとんど連合の終わりに導いた。
 トルコは議会での代表獲得に対し7%の最低得票率を課している。そしてその中で、小政党や地域でのみ票を獲ている政党は議会に代表をもつことはできず、これが連合をもっとと言ってよいほど重要にしている。連合内にいる場合連合の総得票すべてが最低得票率計算で集計されることになるからだ。
 労働と自由連合の場合、この状況がふたつの異なった戦術を持ち出した。つまり第1として、自身の党名とリストを保持して連合の名称の下で、連合内の諸政党が選挙に参加すること。第2として、単一の政党名称と単一のリストの下での、連合全構成部分の選挙参加。
 この2戦術間の選択が、連合のふたつの主要構成部分であるTIPとHDP支持者間の激しい論争に導いた。そしてそれは、あらゆる架け橋を時に焼け落ちさせるようなソーシャルメディア上での激しい論争に導いた。

新しい左翼への
「生みの苦しみ」
 その数千人の戦闘的活動家が投獄されているか海外に亡命し、その被選出首長が職務から外され臨時管理者が指名されてきたHDPにとって、その主な期待は、大統領選でエルドアンが敗北するように思えるということ、そして議会選での労働と自由連合の議員数が他の2政党間力関係をひっくり返すだろう、ということだった。また結果として、国会を通して何かを得ようと試みるあらゆる政党が労働と自由連合と交渉せざるを得なくなるだろう、ということでもあった。HDPはこの理由から、自身の名称の下による全政党の選挙参加に代えて、単一リストからの参加によってより多くの議員獲得をめざした。
 連合の2番手の主要構成部分であったTIPは、建設途上にある政党であり、その党員は昨年10倍以上増大し、特にAKP代表者に反対するそのスポークスパーソンたちの急進的な突出のおかげで、反政府派公衆から相当な注目を受けてきた。TIPの場合、この選挙がかれらの最初の選挙になり、それが自身とかれらの綱領を説明し、かれら自身への支持を集める好機になると思われたがゆえに、自身の名称の下で選挙に参入することを選択した。
 いくつもの討論を経て党は、連合としてしかしそれ自身の名称とリストに基づいて選挙に参入すると決定した。他方で他の部分は緑と左翼党の名称の下で選挙に参入した。しかしTIPは、緑と左翼党が選出される上で危険があったいくつかの都市では、独自参入の意志はないと公表し、早くから危険がある可能性のある都市では相互の合意に基づいて撤退した。
 しかし論争の本当の理由は少しばかり遡る。実はトルコでは、多年の間自立した大衆的社会主義政党建設に向けた努力は全くないままに来たのだ。そしてTIPは多年の中で初めて、クルド運動との連携と連帯を壊すことなく、しかし自身の自立した綱領をもって立候補していた。選挙結果としてひとつの社会主義政党が1960年代以来初めて、100万票と1・7%を獲得し(多くの都市で選挙に参入しなかったにもかかわらず)、その党員数を5万人まで伸ばし、大衆的社会主義政党の建設に相当な貢献を行った。
 したがってわれわれはこれらの討論を実際のところ、クルド運動との連帯の中にあり、しかし自らの自立した綱領をもつ新しい社会主義センターの「産みの苦しみ」と呼んでよい。もちろん、この新党が経験するかもしれない揺らぎ、また党が従うことになる政治路線における他の諸問題は、党内における将来の諸闘争の主題になるだろう。

▼筆者はトルコ内の第4インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2023年5月24日)

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