ポルトガル 左翼ブロック13回大会
人びとの暮らしを羅針盤に
真価問う2年の試練闘いぬき
バスコ・バラタ
政治的決断の
意味明らかに
ポルトガル左翼ブロック(BE)は、その政治構想の首尾一貫性を試練にかけた2年の熱気ある挑戦を経て、13回大会を開催した。
国内的には、無料で公的な国民医療サービス(NHS)の防衛、トロイカの労働法を終わりにすることの防衛、そして住宅投機反対の戦闘が左翼ブロックに、左翼の影響力の痕跡が消えている国家予算案反対に票を投じさせた。
その投票は、右翼の共和国大統領となれ合う社会党(PS)によって、2022年総選挙を前倒しして絶対多数を得る目的に利用された。選挙キャンペーンは、右翼の社会民主党および極右(チェガ)を付随させたリベラル・イニシアチブの過半数を予想した杜撰な世論調査で目立つものにされた。この怖れがひとつの役割を演じ、PSに絶対多数を与えた。
2022年1月30日の選挙で左翼ブロックは敗北し、19議席から5議席に後退したが、党は闘う立場に確固としてとどまったがゆえに見当違いとも言えなかった。1年後、PSが公約した「政治的安定」は政府内の解任の継続、さらに大、中、小規模のスキャンダルに帰着し、議会解散の可能性を日程に載せ、わずか1年前には考えもおよばないものになっている。
不安定さはまた、住宅に対する投機的攻撃、インフレに起因する全般化された貧困化、さらに破綻したNHSを伴った多様な危機を通過中の一国内では、民衆の見解でもある。2021年の予算交渉で闘われ敗北した戦闘は今、将来に向けた可能性としてその本当の意味を表そうとしている。
2022年2月のウクライナに対する侵略もまた、左翼を試験にかけた。今日、ウクライナ民衆との連帯は明白な政策になっているはず、と見えているのかもしれない。現実にはそうではなかった。国際社会の左翼の多くは、両義的なままであり、あるいはモスクワの「特別作戦」と連携まで行った。われわれは、この戦争は複雑――まさにその通り――だ、と告げられている。
NATOはこの間多年の間ロシアに圧力をかけ続けてきた。またキーウが関与したやり過ぎも周知のことだ。しかし人は、複雑さに単純なことを忘れることで対処してはならない。つまり米国への敵対を理由に、プーチンのような体制が帝国主義でないとされ、あるいは反帝国主義になるとされてはならない、ということだ。そして自己決定権の尊重は、サハラであろうが、チモールであろうが、またガザやウクライナであろうが、侵略者を糾弾すること、そして被侵略者を支援することを意味するのだ。
BEの立場はレーニンとローザ・ルクセンブルクの反帝国主義の伝統に従った。つまり、自己決定権は、かれらの指導者や連携相手がどれほど反動的であり得るとしても問題ではなく、民衆に帰属する、ということだ。ブロックは、そのまさに始めからウクライナ民衆との連帯というはっきりした立場をとることによって、活力を与えられた信用度を抱えて浮上した。
暮らしの必要を
保証する闘いへ
これらが決定要因になって、大会で民衆の暮らしの基本的な諸問題についての、また存在に関わるドラマなしに政治的論争を行うことをBEに許した。カタリナ・マルティンスは、彼女の権威を傷つけることなく党の指揮者の地位を離れた。その証拠こそ、指揮者としての彼女の最後の演説で彼女が受けた感情のこもった歓迎だ。そして彼女は、報道によって「より急進的な」人物と称され、その地位を引き継いだマリアナ・モルタグアによって置き換えられた。
経済界のエリートは、議会内でこのシステムを糾弾する点での彼女の役割のゆえに、さらに贅沢な家屋に対する「モルタグア税」(ゲリンゴンカ――注1――時代のPSが承認した唯一の反投機方策)のゆえにも、マリアナを絶対に忘れていない。
世論調査(それは、左翼ブロックに対する支持の変わることのない上昇を指し示している)における以上に、ただ左翼のみがこの国への回答をもっているということを示しているのは街頭だ。近頃の時期は重要な数々のデモを特徴にしてきた。それは、かれらの職業的経歴に対する認知を求めて闘っている教員の闘争から、住宅の権利を求める最大のデモまで、またNHS防衛の極度に重要な諸々のデモや関連諸部門の闘争にいたるまでの行動であり、そこで左翼は街頭に姿を現し、それとは異なり極右は、それらの同じ街頭を占拠すると約束しつつも、議会の壁を離れる決心がつかずにいる。
諸決起からなるこのサイクルの中で、左翼ブロックはこの1月ひとつの違いをつくり出した。その時BEは、共産党のヘゲモニー下にある諸労組が原因のシラケが長期に続いた後、少数派労組が呼びかけた最初の大規模な教員の決起に参加した唯一の議会政党だった。
われわれは、教員の要求を防衛する唯一の政党ではない。しかし、闘いの中での統一を戦略として政府への抵抗を提案する政党がブロックだけだということが明確になったがゆえに、その重要性が明らかになろうとしていた。これはまた、インフレに反対するさまざまなイニシアチブで、住宅への権利を求める運動で、NHS防衛における協力の努力で、またわれわれに責任がある労組の諸闘争でも起きていた。
今こそこれらの闘争を統一し、オルタナティブを築き上げる時だ。われわれは、権力獲得に向け統一しようとする右翼と極右の意図に、またこの危険と闘う必要について気づいている。まさにそれは、権力という右翼の夢を育てているのはPSの絶対多数からの対応が不在であることだ、ということをわれわれが知っているからだ。
われわれの道は異なっている。それは、人びとにとっての良い暮らしに向けた提案を基礎とした希望の道だ。問題は基礎的なそれらが保証される生活だ。住宅、俸給、年金、医療利用、そして教育は贅沢ではない。(2023年6月8日ビエント・スル誌向けにポルトガル語からスペイン語に翻訳され、さらにIV向けに英訳された)
▼筆者は住宅の権利の活動家であり、BEの指導者かつリスボンの市会議員。
(注)ゲリンゴンカは「奇妙な仕掛け」を意味するポルトガル語で、6年間にわたるBE、ポルトガル共産党、そして支配政党であるPS間の協定期間に与えられた名称、それは2021年に終了した。(「インターナショナルビューポイント」2023年6月20日)
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