フランスわれわれの国は今悼み怒っている

差別と暴力への反乱は正当だ

国内諸団体共同声明 

2023年7月5日

 ナンテールにおける一人の警官による至近距離からの銃撃でのナエル射殺は、この何十年にもわたる差別と治安を基本とした公的諸政策の結果をむき出しにしている。この諸政策は、労働者階級住宅街とそこで育った若者たち、特に不安定な諸環境の中で暮らし続け、人種的偏見の的にされている人びとを標的にしているのだ。暴力のエスカレーションは、袋小路であり終わらなければならない。警察の本質的に抑圧的なアプローチ、および軍用兵器使用に関し2017年に導入された法の変更は、人びとが今経験している、また差別とレイシスト的行為の点で苦しんでいるものを悪化させ続けている。

レイシズムと
貧困化の放置


 民衆と警察間の緊張には長い歴史があり、不公正、偏見、暴力、差別、性差別、そして社会の全体に浸透し、今なお根絶されていない体系的なレイシズムで刻まれている。
 当該住宅街の住民は、特に女性は、しばしば公共サービスの不足分をかれら自身で整えざるを得ない。これらの住宅街の、それをはるかに超える特にフランス海外領域における地域全体の、周辺化に大きく力を貸してきたのは、これらのサービス――学校、社会的、文化的施設、スポーツ施設、郵便局、諸々の行政サービス、その他――の後退、およびボランティア組織に対する国家支援の削減だった。
 これらの住宅街の見放しは、貧困化、インフレ、家賃やエネルギー価格の上昇、さらに失業保険改革といった経済的背景によって悪化させられている。社会的不平等は特に、子どもやシングルマザーに影響を与えている。これは、ナンテールにおける悲劇に反応して労働者階級住宅街を揺るがした暴動で確証されている。

警察の暴力化と
差別を糾弾する


 この間の日々の、何十年にもわたる非常諸手段、治安諸法(世界的安全保障法、隔離法、その他)、警察に関する政治の表現に加え、われわれは、迅速裁判導入に向けた政府からの圧力を目撃してきた。一層過酷な判決に基づく体系的な予防拘禁は、受け容れがたい!
 緊急の必要は抑圧ではない。それはただ極右を強化し、諸権利と自由をあらためて後退させることになるだけだ。
 長続きする平和は、政府が当該民衆の要求と状況の緊急性に対応する必要な諸方策をとる場合にだけ可能だ。
 国連は繰り返し、フランス国内の、特に警察部隊内の制度的なレイシズムの問題と治安政策を批判してきた。
 差別は、平等という考えそのものを掘り崩す、そして絶望の種をまく有害な毒だ。極右はそれを、社会を一層分断するために利用している。われわれは、労働者階級住宅街を敵とする内戦の呼びかけ、またこれらの住宅街出身の人びとに対する警察組合による「有害」との描写を糾弾する。
 われわれは、極右の一員のイニシアチブに基づくナエルを殺害した警官を支援する基金設立、また政府がいかなる行動もとっていないこと、こうして火に油を注いでいることを糾弾する。

根本的な転換へ
諸行動に合流を


 あらゆることが再考され、それを基礎にする必要がある。われわれは、新しい足場からはじめ、平等を求めるわれわれの集団的な熱望に燃料を与える歴史、背景、文化、そして特異性を尊重しつつ、何十年にもわたる公共政策の間違いを討論し、そこから学ぶ幅広いフォーラムをつくり出す必要がある。今こそ、労働者階級住宅街に暮らす人々、特に若者たちの要求をよく聞き、それを考慮に入れる絶好の時だ!
 この情勢は政府に、その責任を負い、衝突を終わらせる即刻の解決策を提案するよう命じている。それは以下のようなことだ。
▼法執行官による火器使用に関する規制を緩和している2017年法の廃止。
▼警察、それらの介入技術、またそれらの武器に関する抜本的な改革。
▼IGPN(国家警察総監察官)の、政府と警察の階層制から独立した機関による置き換え。
▼人権擁護官が取りしきる行政機関内部での、若者への差別に専任する部局の創出、および警察部隊内部を含め、レイシズムと闘うための財源強化。

 しかしながら、富の異なった配分がなければ、社会的不平等との闘いがなければ、何ごともなされる可能性がない。気候変動と家賃や料金の上昇で悪化させられた貧困と不安定さとの闘いがなければ、公共サービスや民衆的教育の強化がなければ、何ごともなされる可能性がない。これらは、極右に豊かな土壌を提供している退行的な公共政策の遂行に代えて、政府が取り組んでいなければならない課題なのだ。
 われわれ労働組合、市民団体、共闘組織、委員会、そして政党は公衆のまた個人の自由を守るために決起している。
 当面われわれは人びとに、7月5日から国中で、先の要求を軸に組織されるあらゆる集会や行進に加わるよう訴えて声を上げている。それらの行動は、7月8日にボモン・シュル・ボワーズ(フランス北部の町)で「アダマのための正義と真実委員会」が組織する行進、また7月15日に「警察の暴力に反対する全国共闘」が組織する行進といった事例に続くものになる。
 われわれは、フランス全土での、また海外領域での7月8日の市民行進を訴える。われわれは、これらの行進の事後追求でも共に活動を続けるつもりだ。
※署名団体は以下(具体的名称紹介は一部のみ)
労組は、CGT、FSU、ソリデール、仏全学連、学生労組連合(FSE)など9団体。
市民団体は、アムネスティインターナショナル・フランス、ATTACフランス、DAL(住宅の権利)、コペルニクス協会、LDH(人権同盟)、SOSレイシズム、など29団体。
共闘団体は、黄色のベスト・リヨンと近郊総会、地球の蜂起の諸委員会、アダマのための正義と真実委員会、など39団体。
政治組織は、アンサンブル!、EELV(ヨーロッパ・エコロジー=緑の党)、不服従のフランス、左翼エコソーシャリスト、NPA、フランス労働者共産党、左翼党、など14組織。(「インターナショナルビューポイント」2023年7月5日)

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