トルコ 昔の方向へのエルドアンの新しい旅

メティン・フェイヤツ

 大統領選における辛「勝」のすぐ後、大統領府はいくつかの政治問題に関する僅かな変更について合図を送った。新たな財務相が、世界的な投資管理会社のメリルリンチでの仕事を後に残して、ロンドンから戻ってきた。そして利率を引き上げた。トルコの新自由主義者はこの間、世界的な金融諸機関からの外国資本を引きつけるために、利率引き上げを求め続けてきた。しかし選挙前は、エルドアンによって低金利政策が強力に守られてきたのだった。
 エルドアンの第2の大きな政策変更は、スウェーデンのNATO加盟に反対する彼の立場に関して起こった。外相で元情報局長官のハカン・フィダンはほんの2、3日前、スウェーデンで「テロリスト諸組織」が自由に活動中、と語り、エルドアンの事実上の連携相手である極右のMHP(民族行動党)指導者も、スウェーデンのNATO加盟は承認できないと告げ続けていた。しかしエルドアンは、僅かな日数の内に迅速な政策変更を行った。
 これは現実には、しばらくの間トルコの外交政策を追っている者の場合、驚きになるはずもなかった。トルコ資本主義は多様で内的につながった危機を通過中だが、エルドアンは、可能なあらゆる手段を利用することで、これらの内的につながった危機を切り抜ける彼の道を操ろうと挑み続けてきた。
 そして世界的な地政学的な混乱が、これらの危機の個々で大いに彼を助けてきた。彼は、トルコの地政学的な位置を利用することで、取引の札として世界のできごとを使う彼の能力に磨きをかけてきた。
 スウェーデンのNATO加盟に関するトルコの立場は、実際には、結果としてさらなる譲歩も交渉できると思われる様な、エルドアンにとっての救命具だったのだ。重要なこととして、スウェーデンは何人かの難民を投獄されることになるトルコへ追い払うことで基本的な人権を躊躇なく無視したことを思い出そう。
 全面的に姿を見せている通貨危機が蓄積中であり、トルコリラがひどく価値を失い続けている中で、みんなが言えることとして、トルコ資本主義には再び西側に顔を向け、国際資本を喜ばせる以外にはマシなチャンスはなかった。
 それでもわれわれは、スウェーデン―トルコ取引の中味を正確には知っていない。しかし近頃、米国人ジャーナリストのセイモア・ハーシュが、バイデン大統領がスウェーデンのNATO加盟に対するトルコの承認の見返りに、110億―130億ドルのIMF貸し付けを約束した、と主張した。
 EU加盟を求めるトルコの努力もまた、先の討論の中で討論話題になった。「トルコ―EU関税同盟を更新し、ビザの自由化を含んでEU加盟プロセスを生き返らせよう、とのトルコの努力をスウェーデンは精力的に支援するだろう」ということが明言された。サプライチェーンが企業本社のより近くに動きつつあり、トルコが安く未組織で十分に訓練された労働力を探し求めている者たちにとって完璧な選択肢である中で、EUとトルコ間の関税連合協定の現代化は、EUとトルコの資本家両者にとって最も望まれた主題となっていた。
 およそ1年前、スウェーデンのNATO加盟に関する議論の中で、トルコ内大企業の組織であるTUSIADは、かれらが練り上げた声明の中で政府に警告を発し、「新たなサプライチェーンは同じ『価値』を共有する諸国へと動きつつあり、世界的なサプライチェーンのこれらの変化からの利益を得るために政府は西側の連合に戻らなければならない」と告げていた。
 当時エルドアンは、この声明に猛烈な怒りで応じた。彼は明らかに、そのように早々と交渉の手の内を見せたくはなかったのだ。今やトルコと西側連合内の資本家双方は、かれらの古い友人たちをクラブにあらためて迎え入れて喜んでいる。もちろん人権を犠牲にしてだが。

▼筆者はトルコ内の第4インターナショナルの1員。(「インターナショナルビューポイント」2023年7月23日)

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