英国 新党で左翼から政治を変える

「トランスフォーム」に合流を

ジョセフ・ヒーリー

労働党への絶望
に応える行動へ

 今まで長い間、英国の、特にイングランドの多くの人々は、政治的な故国をもてずにいた。2019年以後の労働党内の変化は、底深いものにされ、全面的な新自由主義の政党へと形を変え続け、移民、環境、人権に関し、保守党の最悪な政策のいくつかをまね続けてきた。何千人もが絶望の中で党を離れ、他方他の者たちは、左翼に対する魔女狩りによって党から追い出された。そしてそこでは嫌疑が、映画を議論する中で有名な映画監督のケン・ローチと話題を共にしたことになる可能性があるのだ。労働党の外部にいるわれわれの多くは、すでに欧州に存在している多くの戦列と並んで、左翼の新党に対する捨ててはおけない必要がある、と感じた。
 今年早く、「ブレークスルー」と「統一左翼」の部分、また「左翼人民連合」が、そうした政党を建設するために結集し、挑戦すると決定した。われわれは、スターマー化した労働党からひとつの反対派を建設することについて、労働党内外の人びと両者から、十分な話しが生まれてきた、と感じた。
 心中のこの考えに基づき、われわれはふたつの作業グループを起動させた。ひとつはわれわれの核となる原則を扱い、他は規約を扱う。われわれはさらに、運営委員会も設立し、そこにはその後、リバプール・コミュニティ・インデペンデンツが合流した。これは、リバプールの前労働党市議会議員のグループで、かれらの新しい旗印の下に今年5月再選されていた。

具体的な準備
が現に進行中


 核心になる諸原則は合意され、規約は今も討論中だ。われわれは、左翼の立場に立つ一定数の重要な活動家に働きかけ、新党を求めるわれわれの呼びかけの署名者になるようかれらに依頼することを決定した。
 われわれは、これとわれわれの10の原則を用意して、数週間前に先の呼びかけを発表した。そして早くも、5千人近くの人々が登録の申込を終えているが、1日目でほぼ2千人になった。われわれは今、イングランドの、またその後ウェールズの多くの地域でオンライン会合の組織化を進めている。そしてそこでは、活動家たちが新党を議論し、かれら自身の地域でその建設のためにかれらがやりたいと思うことについて決定する予定だ。
 次の数ヵ月を通じてわれわれは、会合や集会でリーフレットを配布し、人びとを新党への登録申込を行うよう励ましているだろう。 この党の船出は、われわれがわれわれの10の原則以上に政策を定式化し、また民主的に規約に合意する起点となるだろう。われわれの指針的原則のひとつは、党は始めから民主的でボトムアップ型となり、われわれの全政策は上から出てくるものにはならないだろう、ということだ。
 われわれが完全にはっきり自覚していることは、われわれはエコソーシャリスト党であるということ、および地球を救い出すことがわれわれが行うすべての中心になるだろう、ということだ。そしてそこには、気候活動家やその運動との密接な協力が含まれるだろう。
 われわれはまた、それらの形態すべてにおける質と交叉性にも心を砕き、レイシズムに反対し障害を抱えて暮らす人々の完全な平等を求める闘いと並んで、女性の権利とトランスの権利への力のこもった取り組みを保持するだろう。われわれはさらに、労働者の権利にも曖昧さのないしっかりした焦点を当てるだろう。そしてこれに関し、労組と緊密に協力することを期待している。何と言っても、われわれの指導的メンバーの多くは現役の労組活動家なのだ。

運動と共に歩む
社会主義の野党


 早くも政党としてのトランスフォームに対し、中道派や左翼の何人かの両者から、次期総選挙の後までわれわれは待機しているべきだと語る形で、いくつかの批判が現れている。われわれは、われわれは今組織化される必要があり、来年の選挙に際し、介入する位置にいて、急進的な有権者に何らかの機会を差し出す必要がある、また未来に向けた基礎を建設する必要がある、と感じている。
 その理由は、現在の労働党では政権についても、英国の人民に、英国の現在の経済的かつ政治的沈滞とは異なるものを全くほとんど提供せず、またこれは不可避的に巨大な幻滅と極右に対するあり得る好機に導くことになる、とわれわれが感じとっているからだ。
 これに対抗するためには、オルタナティブを差し出す本物の社会主義的野党があるべきところにある必要がある。われわれはまた、緑の党のような諸政党がなってしまったとわれわれが感じる、単に選挙にのみ焦点を絞った政党とならないために、進歩的な運動やキャンペーンと並んで活動したいとも思う。

左翼の新党が
今こそ必要だ

 高まる不平等のこの時代に、多くの人々は、特にジェレミー・コービン下の労働党に希望をかけた若者たちは今、生活費危機、高い家賃、また、銀行や大規模事業や保守党が動かしているこの資本主義システムの下ではかれらに何の未来もないという高まる認識によって押し潰されている。かれらは、いつもながらの提案としての労働党の仕事に、実のあるオルタナティブを何も見ていないのだ。
 トランスフォームは、実のある社会主義的なオルタナティブの提案を、またこの資本主義社会によって周辺化された人びとと並んで、若者たちをその綱領と活動の中心に置くことを計画している。党は今年後半に発進させられるだろう。そしてわれわれは、今からその時までに多くの人々が登録し、われわれを助け代わりとなる未来を建設すると期待している。
 文字通り燃えさかっている地球、また貧困と悲惨の深刻化に導いている貪欲の犠牲を前にして、左翼の民主的な政党の建設がこれ以上急を要したことは一度もない。来たれ、そしてわれわれに合流せよ!

▼筆者は、アンティキャピタリスト・レジスタンス(英国左翼の結集体のひとつで、「ソーシャリスト・レジスタンス」もその構成組織のひとつ:訳者)の1員、かつ「もう一つの欧州は可能だ」で全国委員会メンバーでもある。(「インターナショナルビューポイント」2023年8月13日)

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