ギリシャ 大規模森林火災
レイシストフェイク煽る
アンドレアス・サルツェキス
去年の4倍も
灰じんに帰し
ギリシャはこの夏恐ろしい火災を経験した。それらは少なくとも20人の難民、羊飼い、ふたりのパイロットを含んで、26人の命を奪い、森林や作物を破壊し、数百匹の動物、数百軒の家屋、いくつかの事業所、また軍の兵舎まで燃やした。
7月、火災がロドス島(混乱の中で追い立てられた2万人の観光客を伴って島の15分の1)を破壊した。それらはさらに、アッティカ、コルフ、エヴィアにも被害を及ぼした。8月には、ヴォロス郊外とアテネ郊外が燃え、アテネの3つの山のひとつであるパルネスがその森林部分を失い、市街を息苦しくした。
全体でおよそ1600平方キロメートルが、ひとつの大きな破局を伴って灰燼に帰した。トルコと国境を接する北東部のエヴロスでは、800平方キロメートル以上が、村々や作物(オリーブの樹木)、そして豊かな動物相を抱えるダディアの保護林を破壊し、今も燃えている。
2022年には今年の28件と対照的に66件の火災が記録されたが、2022年の火災は、今年破壊された領域の4分の1「しか」燃やさなかった。
ミツォタキスの
無作為と無能力
首相(ミツォタキス)は春、国は火災に完全に準備ができている……、と主張した。しかしながら、火災が勃発すると、われわれが見たのは、消防隊に与えられた資材の不足(4000の埋められていない職務、それゆえこの夏ボランティアが果たした大きな役割)、装備の摩滅と綻び、あるいは欠落、何よりも住民追い出しを基礎とした政策だった。そしてその住民たちは、数え切れない場合に、そうすることを拒絶し、火災からかれらの村を救うための闘いを組織した。
何よりも、森林火災を防ぐ点でのギリシャの右翼の無能力は、強く異議を唱えられている。消防隊の部分における人的、物的資源の見地からだけではなく、専門家がそれを求めて声を上げている中で、公的森林事務所の再組織化に対する拒絶の点でも。そしてこの組織は、1998年以来取り上げられてきたが、それまで組織的な森林火災防止の任務をもっていたのだ! ミツォタキスは、森林保全に関する専門家のまさに特定された諸提案を前に、宿命論者を気取っている。報道界からの復唱を得て、それは気候のせいだ、と夏中歌い続けてきたのだ。
原因は移民だと
レイシスト突出
7月に戻れば、閣僚のヴォリディス(ファシスト軍事独裁の若者部隊の前指導者)がふたつの小細工を付け加えた。つまり、火災は不注意な住民によって、しかしまた移民によっても(トルコの工作員を忘れることなく!)起点がつくられた可能性があると。
トルコとの国境であるエヴロス川に関する限り、われわれは、今や政府内のナンバー2である彼を当てにできる。何しろ国境の壁は今後も建てられ続けるだろう……。そして、この数週間われわれが非常な大音量で聞いてきたものは、先の胸の悪くなるような音楽であり、それは他の閣僚によってもまねされ、またファシストグループによって実践に移された。このファシストたちの動きは、6月の議会選における、厳しい過激派同士の競合の中でのかれらの成功によって鼓舞されていた。
2020年にトルコとの国境で難民に敵対する武装行動に出たネルズは、その時以来自然保護地域の中に不法に小屋を、さらに大規模家屋まで設置し、難民の少なくとも20人がダディアの森で焼死しているのを発見されたまさにその中で、森に火をつけたとかれらに罪を着せて、難民を殴打し逮捕することで、保安官の役割を演じた。ファシストの議員たちは、難民たちは法的な審査のあと解放されたという事実を隠すためにレイシストのレトリックを使って、これらの準軍事組織の形成を励ました。
惨事便乗資本主
義隠しの狙いも
この陰謀論は、読者が、7月はじめから8月末までのギリシャ、トルコ、南部バルカンでの火災の噴出を示す地図を注視すれば、一瞬たりとも成り立たない。つまりそれらはどこでも同じような密度をもち、そしてもちろん、難民がいるかいないかとは何の関係もないのだ!
そんなたわごとは脇に置いて、専門家は、ダディアの森林における火災はおそらく落雷によって起こされた、とはっきり指摘してきた。しかしそれも、ミツォタキスが今週の議会で再度火災に対する難民の責任について漠然と駄弁をろうするのを止めることにはならなかった。
確認が必要であれば、次のことは確認したい。つまりミツォタキスはできれば明日にも彼のボスたちに、さまざまな事業や風車を設立するために、勝手気ままな開発のために、焼けた地域を提供するつもりだということだ。そして、ミツォタキスの政策の中心要素であるレイシズムは、人びとにそれを忘れさせる方法にもなっている。
また乱開発はギリシャでは、頂上への道路建設のために山の傾斜を破壊することを含めて、通常は現地住民との相談なしに、環境への何らかの懸念どころかもっとはるかにボスたちの利益のために、実行されている。ミツォタキスは同じ方向で、彼のボスたちに森林の「管理」を任せることをすでに計画中だ。
この悲劇的な状況の中、8月末に最初の決起が起きた。ふたつの別々のデモが、環境に対する本物の犯罪を糾弾し、防止に向けた財源を要求し、ファシストの民兵とこの政権の反難民レイシズムを責めるために数百人を結集した。(アテネ、2023年9月3日)
▼筆者はギリシャの第4インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2023年9月7日)
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