米 国 多方面へのスト拡大
階級闘争が戻っている
ダン・ラボッツ
この1年は、喫茶店から鉄道、作家や俳優からトラック運転手や自動車労働者まで、多様な産業でストライキの脅し、ストライキ、ストライキ解決の注目すべき数を経験することになった。当面、2万5千人の自動車労働者と15万人の俳優がストライキ中だ。
時間が必要な
勢いの高まり
われわれはここで俳優のストライキに注目するが、そうする前にわれわれは、労働運動では勢いの高まりが徐々に進むことについて思い出さなければならない。スターバックスの労働者は組織化を行いストライキを打ち、今日現在、ほぼ9千人の労働者を抱える354店舗で組織化を終えた。しかしそのどこでも契約を勝ち取っていない。2022年4月、ニューヨークシティでアマゾン労働者は労組結成に票を投じた。しかしこれまでのところそれも契約を得ていない。そしてかれらは、他のアマゾン施設では労組代表権投票で敗北した。
鉄道労働者は2022年遅くにストライキを計画した。しかし12月、バイデン大統領と下院は、ストライキを阻止するために鉄道労働法を利用し、ひとつの契約を強要、労組はそれを後で受け容れた。チムスターはUPS(米国最大の宅配会社:訳者)でのストライキを計画した。しかしかれらは7月、多くの成果がある協定に達したのだが、指導部がストライキを行わないと決定したために、数多いパートタイム労働者に関しては多くを改善することができなかった。
作家と俳優たち
技術革新に対峙
次いで、あらゆる種類の労働者2百万人以上を雇用するひとつの産業を閉鎖させた作家と俳優が登場した。作家たちは5月にストライキに入り、7月俳優たちがピケットラインでかれらに合流した。これは、60年以上の中では初めての産業規模の閉鎖だ。かれらは、米国で最も強大な企業のいくつかでストライキを行った。雇用主の「動画・テレビ制作者連合」は、パラマウント、ソニー、ユニヴァーザル、ディズニー、ワーナーブラザーズのような大手動画スタジオ、主要なテレビネットワーク(ABC、CBS、FOX、そしてNBCを含む)、ネットフリックス、アップルTV+、アマゾンといった動画配信サービス、またいくつかのケーブル企業を代表する。
両労組は、新型コロナパンデミックの中で脅威的成長を見せた動画配信サービスの台頭による産業内の変化に対応していた。かれらはまた、作家と俳優両者を脅かした人工知能(AI)の急速な発展をも懸念している。
このすべてがもっと大きな決意に導いた。約1万1000人のフィルム、テレビ、ニュース、ラジオ、オンラインの作家は、148日間のストライキを経て大きな勝利を勝ち取った。オンラインで、また映画館で新しい企画を見せたくてたまらない産業に対し、労働者たちは職の保証とより高い報酬を勝ち取った。かれらはまた、チャットGPTによって置き換えられることはないとの保証も勝ち取った。しかし、5月に業務を放棄した約15万人のテレビと映画の俳優は、今もストライキ中だ。
俳優の中のひとつの大きな心配は、「デジタルの生き写し」で置き換えられるということだ。スタジオは俳優に、彼がさまざまな表現をしたり、さまざまなポーズをとったりするのに応じて、数百台のカメラが彼の映像を記録する写真撮影ブースである「オルブ」に入るよう求めることができる。写真が一旦撮られれば、「サイエンティフィック・アメリカン」(1845年創刊の世界最古の一般向け科学誌、査読はないが権威は高い:訳者)が説明するように、「映像効果(VFX)アーティストがそのモデルを2次元から3次元に移す」。次いで3―D映像が、ひとりの俳優、あるいはアニメーションによって動かされた「骨格」に貼り付けられ、適切な背景の中に置かれる。スタジオは、依然としてかわいい顔が欲しいとしても、どんな俳優も必要としないかもしれない。
社会内の潮の
変化映し出す
ストライキ中の俳優たちは、作家の解決から一定の励みになるものを受け取った。しかしそれは極めて長期のストライキだった。何人かの作家たちは、何人かのストライキ中の病院労働者のように、ピケットラインでかれらと共に行進し続けてきた。そして、俳優たちと自動車労働者たちは、HBO(ホーム・ボックス・オフィス、衛星テレビおよびケーブルテレビ放送局:訳者)とマンハッタンのアマゾン本社前でピケを張った。両労組にとってそれは困難な闘いになるだろう。階級闘争が戻っている。そしてこれまでのところ結果は入り混じったものとなっているが、これらの労働者の行動は、米国社会内の潮の変化を表している。(2023年10月1日)(「インターナショナルビューポイント」2023年10月4日)
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