イタリア 労災死が日に平均3人イタリア
経済再開が安全軽視に油注ぐ
エレーヌ・マッラ
ことの真相隠す
データと呼び名
イタリアでは、INAIL(国立労災保険研究所)、および「仕事の安全監視所」により提供された業務上の死に関わる事故に関するデータが悲劇的な光景を描いている。実際、月平均66人から30日当たり71人、週当たり17人の死への上昇として、2023年1月から同5月までで358人の死が記録された。
職場で起きた死を示すためにイタリアで使用される「白い死」との表現は、誤解を招く。それが狙っているのは、資本主義につきもののこれらの悲劇的な事故を脱政治化し、個人化することなのだ。事例の過半には、実際に罪を負うべき者たちがいる。そしてはっきりと特定可能な原因がある。つまり、利潤を求める競争、労働の速度、さらにぎょっとするような労働条件だ。
数字と統計の冷たさは、多くの場合重労働という実態を押し隠している。これは、1週間の激しい苦痛の後ブレスシアで亡くなったジアフランコ・コルソの事例だった。8月30日、50歳になる下水路作業労働者は、地下9メートルもの縦穴で動けなくなったことに気づいた。コルソは、ガスの存在が理由で気分が悪くなった同僚を助けるために、上げ蓋を通って降りていたのだ。しかし、彼が有毒な臭気を、特に硫化水素の廃棄物を吸い込んだ時、次には彼が気分が悪くなった。
最大の被害者は
若年層と外国人
上記監視所から現れているもうひとつの懸念される事実は、最若年層(15歳から24歳)内における職業上の死だ。この比率は25歳から34歳層との比較で100%上昇した。全体で見れば、業務上の致死的な事故から最も被害を受けている年齢層は、依然55歳唐から64歳の層だ(総数271人中の101人)。
2023年の1月から5月までで業務上で命を失った女性の数は16人だった。他方、仕事への往き帰り途中に11人が命を亡くした。この状況は、また外国人労働者の場合も非常に悪い。かれらの場合、致命的な事故の危険はイタリア人のほぼ2倍になっている。
ユーロスタット(EUの統計機関)のデータによれば、雇用者数対比の事故数が最大であるのはキプロスであり、被雇用者10万人当たり3・39という形で、それにブルガリアとイタリアが続いている。一方フランスの比率は2・541だ。
新型コロナパンデミック後の再組織化の進展と業務関連死におけるこの高まりの間のあり得る相関については、高まる一方の疑問がある。経済危機を背景とした生産活動の再開は、事故に関するこの新しいスパイラルの底にある原因として十分な可能性がある。
不公正とさげす
みに声が上がる
ジョルジャ・メローニのネオファシスト政府は、「ボーナス」でこの危機を解決できると考えている。国家は、経済的ボーナスとさまざまな拠出としてすでに2700億ユーロを支払い済みだ。これは、問題を解決することによってではなく、この最も熱い時期に大衆の自己組織化を妨げることによって社会的緊張を麻痺させるために、この政府がどのように試みているかを示すものだ。個人的な1回限りの支払いであるボーナスは、集団としての権利ではなく、自らひとつの階級を築き上げるあらゆる可能性を妨げ破壊するために配分されている。
断片的かつ同質的ではないとしても、この不公正とさげすみの波に、少ないながらいくつかの声が今立ち向かっている。ナポリでは、これまで市民所得を受けてきた人びとが、さまざまな委員会に自らを組織した。国家は今、電子プラットホームに登録し、訓練過程を受けることを条件に、12ヵ月間だけかれらに月額350ユーロ(市民所得以下)の助成金を提供している。われわれは、南イタリアの失業者によるこの運動の展開を追わなければならない。彼らの政治化は賃金労働者の闘争に刺激を与える可能性があるのだ。(「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)
▼筆者は「ランティカピタリスト」寄稿者。(「インターナショナルビューポイント」2023年9月19日)
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