米国 市民68%はガザでの停戦を要求

米国社会の動揺

停戦とイスラエル支援の停止へ
抗議運動の声、諸制度揺るがす

ダン・ラボッツ

ガザへの攻撃が米国社会に亀裂

 子どもを含んで1200人にのぼる多くの市民を殺害した10月7日のハマスの凶悪な攻撃を受けて、イスラエルは食糧、水、エネルギーを遮断してガザの包囲を開始し、仮借のない爆撃を解き放ち、そのほぼ半分が子どもである1万人以上、読者が以下を読むまでには疑いなくさらに数百人、を殺害したガザ侵略を実行した。事実上完全に破壊された市街全体、荒れ果てた病院、そして瓦礫の中をかれらの死んだ赤ん坊や子どもを抱え歩く男や女の光景は、米国人を含め世界中の何百万人という人びとをぞっとさせている。
 米議会同様イスラエルを強力に支えてきたジョー・バイデン大統領は、停戦に反対し、短期の人道的な休止のみを求めてきた。これは、また進歩派上院議員のバーニー・サンダースの立場だ。
 しかしながら米国ではこの数週間、停戦と米国のイスラエル支援の停止を求める数万人を巻き込む、何十もの抗議デモが起きてきた。ほとんどがユダヤ人とパレスチナ人のグループによって組織されたこれらの停戦を求める抗議行動は、しばしば市民的不服従、都市主要街頭の封鎖、政府庁舎や鉄道駅舎、あるいは大学の諸施設の占拠を伴っている。私自身、国中の千人以上同様、これらの巨大で多民族的かつ宗教的に多様な抗議行動のひとつで逮捕された。
 政治家と報道はこの抗議行動を反ユダヤ主義で親ハマスのテロリズム支持者だ――多くが進歩的なユダヤ人によって、時として大幅にその人々から構成されて組織されている以上、明らかに間違った主張――と責めてきた。そうであっても、イスラエルの継続的な人道に反する犯罪とわれわれの抗議の組み合わせは、次第に政治的空気を変えてきた。最新のロイター/イプソス(イプソスはフランスの多国籍市場調査企業:訳者)の世論調査は、回答者の68%が「イスラエルは停戦を呼びかけ交渉しようとしなければならない」と感じている、と見出した。民主党員の80%以上は停戦支持だ。親停戦運動の活動家たちが、米国社会に分岐を持ち込み、政府と政治、大学、教会、さらに中でも出版業界に影響を及ぼしてきた。

動揺はバイデン政権頂点にも


 バイデン大統領の政権内の亀裂に基づいて頂点から始めよう。11月半ば、40の政府機関の職員500人以上が大統領に書簡を送り、ガザでの戦争における彼の支持に抗議した(注1)。この書簡は、ハマスをその攻撃の点で強く非難した後、以下のように印す。―われわれはバイデン大統領に、急ぎ停戦を求めるよう訴える。そして、イスラエル人の人質と恣意的に拘留されているパレスチナ人の即時解放を保証することにより、現在の対立の脱エスカレーションを求めること、水、燃料、電力、また他の基本的なサービスの回復とガザ回廊への十分な人道援助の通過を求めること、を訴える―と。
 この書簡に署名した者たちのほとんどは、国家安全保障会議からFBIと司法省までの者たちだった。
 バーニー・サンダースは11月18日に、「イスラエルにはハマスを追い詰める権利があるが、ネタニエフの右翼過激派政府にはパレスチナ民衆に対するほとんど全面的な戦争に打って出る権利はない。それは道義的に受け入れがたく、国際法に違反している」と言明する声明を出した。彼はイスラエルへの米国の支援に対する条件として、「無差別爆撃の停止、追い立てられたガザ人のかれらの家への帰還権、長期的なガザの封鎖と再占領拒否、西岸における入植者の暴力の停止と入植拡大の凍結、そして戦後における二国家解決に向けた幅広い和平の話し合いに対する約束」を求めた。しかし彼は、停戦を求める運動の呼びかけには加わらなかった。
 下院議員のアレクサンドラ・オカシオ・コルテスと下院議員の他のメンバー20人は、大統領に書簡を送り、ガザに暮らす100万人の子どもを保護することを目的に、そこでの双方の停戦を支持するよう彼に訴えた。それは「われわれは、ガザで激しくなっている戦争、特に子どもに対する重大な冒とく……に関する深い懸念を表すためにあなたに書いている」と述べていた。
 約1週間前、14人の上院議員のグループはそこまで進んでいなかった。しかし、非戦闘員市民保護における失敗と紛争の潜在的なエスカレーションに関する懸念を理由に、ガザにおける敵対の短期的停止を訴えた。下院議員と上院議員の31人は今停戦を支持している。

民主党員、学生、宗教指導者

 バーニー・サンダースに票を投じた民主党全国大会代議員約300人は、停戦を支持するよう促すために彼に書簡を送った(注3)。そして、エリザベス・ウォーレンのキャンペーンスタッフ約250人も同じことを行っている。
 2020年のサンダース派代議員で「平和を求めるユダヤ人の声」ロスアンジェルス支部の共同創設メンバーであるマーシー・ウィノグラドは「サンダース上院議員の声は、ユダヤ人の議会メンバーとして、イスラエルの世界を震撼させた国際法違反を終わりにすることを求める点で、特に説得力をもつだろう……」と言明した。
 国中の大学は、停戦要求抗議によって特に異議を突き付けられてきた。いくつかの大学は、「パレスチナに正義を求める学生」を活動停止にするか組織を禁じた。また他の組織はそれらの企画を取り消された(注4)。1例を挙げれば、ニューヨークのコロンビア大学で学生はそれに応えて、パレスチナ人グループに対する検閲を終わりにすることを求めて声を上げ、約250人の教授もキャンパス内での自由な論争と討論を求めて学生に加わった(注5)。
 教会もまた巻き込まれた。さまざまな黒人教会が停戦を求めて声明を出した。ひとりの黒人宗教指導者でカリフォルニア州の牧師かつ反銃器活動家、ミカエル・マックブライドは「われわれはアフリカ系米国人の信仰の伝統にいる、黒人教会の預言者の伝統にいる信仰指導者だ。そしてわれわれは、国家関係者が定めた苦痛と苦しみをよく知る者たちだ」と語った(注6)。クウェーカー教徒、ユニタリアン派、長老教会派、米国聖公会、ルター派、メソジスト教徒、さらにバプティスト派や他の宗派のグループも以下のように書いた。
―われわれはバイデン大統領、あなたとあなたの政府に、即時の停戦、脱エスカレーション、そして関係者すべてによる自制を支持するよう訴える。われわれは同じ要求を下院に行った。この戦争に迅速な終わりをもたらすために双方による、また多数が関与するものを含め、あらゆる努力が払われなければならない―と。

抗議の声は出版界にも波及


 最後に、「全国図書賞」(米国でもっとも権威のある文学賞のひとつ:訳者)式典で、今年の最終選考に残った人びとが、以下のような声明を出した。
 すなわちそこには「われわれは最終選好者の代表として、進行中のガザ爆撃に反対し、パレスチナの市民、特に子どもの急を要する人道的必要に取り組むための人道的休戦を求める。われわれは、あらゆる当事者の人間的尊厳を受け容れ、さらなる流血はこの地域での長続きする平和を確保する上では何の役にもたたないことをわきまえた上で、反ユダヤ主義と反パレスチナの感情、またイスラム嫌悪に等しく反対する」と印されている。
 バイデンと議会は無視しているが、これが今日の米国内の支配的な感情だ(注9)。われわれは停戦を欲し、その達成まで抗議を続けるだろう。(2023年11月20日)

(注1)ニューヨークタイムス2023年11月14日「米国職員500人以上がバイデン大統領のイスラエル政策に抗議する書簡に署名」。
(注2)AURN同11月3日「民主党上院議員、停戦を訴える」。
(注3)インターセプト同11月3日「バーニー支持の民主党全国大会代議員300人以上がガザでの停戦を求めるよう上院議員に圧力」。
(注4)ネーション同10月19日「パレスチナ人の抗議に対するコロンビア大学の二重基準」。
(注5)アイウィットネスニュース同11月16日「停戦を求めた学生グループを活動停止にした大学の決定に関し、コロンビア大学で数百人が抗議」。
(注6)ワシントンポスト同11月10日「黒人教会指導者たちがガザでの停戦を訴える」。
(注7)エピスコパルニュース同11月13日「ガザでの停戦を訴えるバイデンへの書簡で、統括的司祭がキリスト教指導者たちに加わる」。
(注8)ハブ同11月16日「『全国図書賞』最終選考者が停戦を求めた画期がここに」、およびニューヨークタイムス同11月14日「イスラエル―ハマス戦争、『全国図書賞』式典で混乱の種をまく」。
(注9)ロイター/イプソスの世論調査で回答者の約68%が、イスラエルは停戦を呼びかけ、交渉しようとしなければならないとする声明に同意、と語った。(「インターナショナルビューポイント」2023年11月20日) 

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