ドイツ 度を超すイスラエル支持
欺瞞的「ドイツの存在理由」
ヤコブ・シェーファー
イスラエル支持
罪のつぐない?
ドイツ政府は休戦の求めを支持してさえいない。世界のどんな政府も、数々のイスラエル政府の政策をそれほどまで全面的に支持しているわけではない。しかしながらその政府は、極右かつレイシストであるかもしれないのだ。
人は、この姿勢はナチスドイツが犯したホロコーストという関係の中では逃れられない義務、と考えるかもしれない。しかしながら、より綿密に探れば、それはユダヤ人に対し何の助けにもなっていないことが分かる。「賠償」としての総額35億ドイツマルクのうち、ホロコーストから直接的、間接的に被害を受けた人びとに向かった(ユダヤ人請求会議を介して)のは、5億マルクでしかない。残りすべてはイスラエルのアパルトヘイト国家を支援することに費やされた(その3分の1はドイツからの商品、特に兵器類に費やされた)。しかし何よりも、1952年の協定は、第二次世界大戦後に西側世界に入るための、ドイツの入場券だった。
ユダヤ人の安全
にはつながらず
ドイツ政府がイスラエルに与えた政治的支持にはまた、植民地主義システムを助長する作用もある。そしてそれは、西岸での入植政策とこの16年間のガザ回廊封鎖の継続と強化という結果になってきた。最終的にこれは、イスラエル―パレスチナ間の、また地域の緊張を永続化させている。
それはイスラエルの民衆の安全保障を改善する点では何の効果もない。そしてこれは、10月7日の攻撃まで見えていなかった。最終的に、広大にはるかに上回っているそのような軍事力を相手に10月7日のような行動に乗り出すためには、怒りと絶望はどれほどまで大きいことが必要なのだろうか?
何十年にもわたるパレスチナの住民に対する抑圧は、市民を殺害し人質に取ることを正当化するものではない。しかしそれは、アパルトヘイト国家との、また西岸とガザ回廊での社会的かつ軍事的な抑圧との平和はあり得ない、ということを見せつけている。
無条件的支持は
国内抑圧に転化
数多くの他の国以上に、ドイツには反ユダヤ主義が広まっている。これを理由に世界の世論から責められないために、また「西側の価値のコミュニティ」内へのその定着を保持するために、ドイツ政府――加えてすべての主要メディアと他の「オピニオン・リーダー」――は、自らをイスラエル政府の確固とした支持者として位置づけている。後者の虐殺的行動がどのようなものであれ問題にせず、あたかも各々のイスラエル政府が、どこで暮らそうが全ユダヤ人の排他的な代表者であるかのようにだ。
あらゆるイスラエル政府に対する無条件の、また無批判的な支持というこの姿勢は、ドイツ政府によって「ドイツの存在理由」と描かれている。そしてこの姿勢には、イスラエル政府を批判する組織や個人すべてに対する重い抑圧が伴われている。政府とメディアは、原理的にイスラエル批判と反ユダヤ主義を等しいものとしている。これが特に、全般的なレイシズムと組になって、アラブ世界出身の人びとに作用している。かれらは迫害され、デモで決まって逮捕され、犯罪視されている。全体としての表現の自由は、イスラエルの問題に関してだけではなく掘り崩されている。
これがドイツでのパレスチナとの連帯を、他の西側諸国におけるよりももっと難しくしている。しかしそれは依然として、国際主義者の連帯の欠かせない任務であり続けている。(2023年11月8日、「ランティカピタリスト」)
▼筆者は、第4インターナショナルドイツ支部のISO(国際社会主義者組織)の活動家で、戦闘的労組ネットワーク(VKG)運営委員会の委員として活動してきた退職鉄鋼労働者。『ディー・インテルナティオナーレ』誌編集者でもある。(「インターナショナルビューポイント」2023年11月9日)
THE YOUTH FRONT(青年戦線)
・購読料 1部400円+郵送料
・申込先 新時代社 東京都渋谷区初台1-50-4-103
TEL 03-3372-9401/FAX 03-3372-9402
振替口座 00290─6─64430 青年戦線代と明記してください。