シオニストの植民地戦争とその共犯者
世界が目撃する人道に対する犯罪
ジルベール・アシュカル
ジェノサイド戦争が明白な真実
真実は、ガザに対する現在の攻撃が、国際法の分類におけるふたつの人道に対する犯罪、大量殺害と「民族浄化」を含むもっとも鮮明な形態におけるジェノサイド戦争、ということだ。これらの犯罪は、1949年以後今日まででシオニストの武装部隊が犯したあらゆることを質的に超えている。そして、ナクバの時に起きたことに比較できる。今の犯罪は殺人、破壊、追い出しの激しさの点で後者を超えてさえいる。
われわれは時として、「アルアクサの洪水」作戦(昨年10月7日にハマスが敢行したイスラエル攻撃にハマスが名付けた作戦名:訳者)以来イスラエル国家がやり続けていたことの影響をやわらげようと願う者たちから次のように聞いている。つまり、イスラエルはとにかく日々犯罪を犯し周期的な戦争にとりかかり続けていた、だからガザに対するイスラエルの新しい襲撃は、先の古い永続的なパターンの継続以外の何ものでもない、と。もちろん、犯罪と攻撃が戦争と「民族浄化」を基礎にした入植・植民国家としてのシオニスト国家にとって二本の基本的支柱、ということも本当だ。
そうであっても、ガザに対する現在の攻撃を軽視することは、またナクバ以来今日までパレスチナ民衆が味わってきた以前のあらゆる悲劇とは質的に区別できることを否認することは、次のような誤った推論に収斂する。それは、シオニストとその支持者たちが広めようとしている推論であり、ガザから出てくる死者数は宣伝目的で誇張されていると偽って主張するものだ。
真実は最初に述べたことであり、1947~1949年のナクバは、パレスチナの地を奪取し、そこで「民族浄化」を実行する目的の戦争だった、ということだ。そしてそれによって、占領された領域の住民の圧倒的多数が難民に変えられ、またその中で、当時パレスチナのアラブ人住民のおよそ130万人のうち、1万千人以上と見積もられた人々が殺害された、ということだ。
すさまじい破壊
が今も進行中だ
ガザに対する現在の攻撃に関する限り、これまでのところそれは、7週間にもならない中で、ガザ回廊の住民およそ240万人のうち全く最低でも約1万5千人の死を引き起こした。そしてそれと共に、回廊北部からその南部に追い立てられた者たちの半分以上が、極右シオニスト諸部分が願っているようにパレスチナ外への追い出し準備として、あるいは最低でもイスラエル軍監視下の強制収容所として役立つと思われる難民キャンプとして、エジプト国境に集められている。そしてこれらは、ガザ回廊の北部を標的にしたシオニストの攻撃の第1局面がつくり出した結果にすぎず、そこには死傷者数を大きく悪化させると思われる南部を焦点とする第2局面が続くはずだ。
こうしたことが今、1945年の日本に対する原爆投下以後世界の戦争で見られたあらゆることを超える常軌を逸した殺害と破壊を通して起きている。問題は、今起き続けていることの恐ろしさを、米政府がその攻撃に直接共謀しているにもかかわらず、ニューヨークタイムスが曝露してしまうほどの点に達した。これは、「イスラエルの弾幕下でガザの文民は歴史的な率で殺害され続けている」との見出しの下の、11月25日に掲載されたローレン・リーサビーの記事だった。この記事の筆者は、問題は現在の休戦まで1万5千回に達した爆撃ペースにだけではなく、その質にも関係している、と説明した。その質に言及した理由は、イスラエルが、第二次世界大戦や朝鮮戦争やベトナム戦争以来ほとんど使われたことがない2000ポンド(900㎏)爆弾を広範囲にわたって使い続けてきたからだ。
その記事は、米軍将校何人かの以下のような言明を引用している。いわく、彼らは現世紀でそのような威力の兵器をほとんどまったく使ったことはない、 また対ISIS戦争時シリアのラッカやイラクのモスルのような人口密集都市域に落とすには大きすぎるがゆえに、500ポンド爆弾さえ使用を回避した、と。2016年10月に始まり9ヵ月続いたモスルの戦闘の中では、ISISの犠牲者か米主導国際連合の犠牲者かのどちらかで約1万人が殺害されたが、それは、7週間に満たないガザでのイスラエルの作戦によって殺害された者の数の3分の2だ。
暴力のひどさは
予想可能だった
それらの数をもっとと言えるほど危険で恐ろしくしているものは、ガザにおけるシオニストのジェノサイド機構の犠牲になった者たちの約70%が女性と子供であり、それがあらゆる現代戦では比較できない巨大な比率になっているということだ。ニューヨークタイムスの記事は、過去7週間の中でガザにおけるイスラエルの爆弾の弾幕下で死亡した子どもの数は、2022年2月に始まったウクライナ戦争を含めて、さまざまな世界の舞台で今起きているあらゆる戦争で昨年殺害された子どもの数を超えている、と述べている。
11月13日にワシントンポストに掲載されたもうひとつの記事は、その常軌を逸した爆撃の最初のひと月でガザでイスラエルが殺害した子どもの数は、イエメンとイラクにおける戦争で殺された子供の数を超え、シリアでの10年にわたる戦争の中で殺された子どもの数の3分の1に達した、と述べた。同紙は、ひと月にガザで殺された子供の数4125人を、以下の1ヵ月の戦闘で殺された子供の平均数、イラク(19人)。イエメン(41人)、アフガニスタン(56人)、シリア(100人)と比較した。何の秘密でもないが、特に子供の殺害は、標的とされた人々を全滅させる意志を表現するものとして、ジェノサイドの目立つ特徴なのだ。
これらのデータのすべては、「アルアクサの洪水」作戦以後にガザの民衆に対しイスラエルが仕掛けたジェノサイド戦争の大きな比重を見せつけている。これは驚きではない。権力内へのシオニスト極右の存在と組になった、イスラエルのユダヤ人内部に生み出された報復の極端な渇望が、そうした常軌を逸した暴力を全く予測できるものにしていたからだ。
多方面に広がる
自覚的な共犯者
問題はこの予想が容易だったということであり、それゆえ、イスラエルの「自衛」権と言われるもの(これまでにイスラエルが殺害した人々の数は「アルアクサの洪水」の結果としてイスラエルが失った数の10倍をすでに超えている)を口実にして、シオニストの猛襲に西側諸政権が与えた支持の重大さは本当に計り知れない。その支持は、イスラエルの猛襲を支援してイスラエルと地中海東部に米国、ドイツ、さらに他の国が軍事的補給品を送ったことに加えて、停戦の要求を拒否することまで進んだ支持なのだ。
これは、前世紀半ば以後では、これらの諸政権があからさまにジェノサイド的戦争を支えた初めてのことだ。もっと深刻とも言えることは、アラブ諸国政権の共謀だ。それらはこれまでのところ、石油の武器化を控えてきたが、それは、その武器化がパレスチナ民衆を助けることができるそれらが所持している最強の圧力手段になることに対するそれらの自覚にも関わらず行われていることなのだ。その理由は、西側諸国が石油価格の上昇への回帰を恐れていることだ。そしてその怖れは、経済的理由だけではなく、主として、これがウクライナでの戦争に資金を投入する点で、これに関しロシアが今諸困難に直面している時に、ロシアの利益に役立つと思われるからでもある。(2032年11月29日、11月28日に「アルクッヅ・アルアラビ」に掲載されたアラビア語の初出から英訳)(「インターナショナルビューポイント」2023年12月6日)
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