米国 労働者運動とイスラエル―ガザ戦争

ダン・ラボッツ

 米国労働運動はイスラエル―ガザ戦争にどう対処するかという論議の的となっている問題に今取り組んでいる。米国最大の労組連合であるAFL―CIO指導部は、イスラエルを支持し戦闘の人道的休止を求めただけのバイデン大統領と民主党と歩を並べているが、いくつかの地方労組は停戦を支持して登場し、イスラエルに対する資金供与に反対し、イスラエルのアパルトヘイト状態を非難している。
 10月11日、AFL―CIOはハマスとそのテロを糾弾する声明を出した。しかしそれは、ガザに対するイスラエルの攻撃には言及せず、それは「ガザとこの地域中に今影響を広げている人道的危機の出現に関する」懸念を表したが、その後には何の声明も出していない。それは最終的に、「無実の市民の流血を終わらせ、イスラエルとパレスチナ間の公正で長続きする平和を促進するために、現在の紛争への迅速な解決」を訴えた。
 AFL―CIO指導部はその傘下労組に、外交政策の問題にはAFL―CIO指導部だけに発言権があることを理由に、イスラエル・パレスチナ問題に関し立場を示すことは許されない、と思い起こさせている。
 そうであっても、一定数の支部労組、特に教員労組は、停戦を支持する決議を採択してきた。10月25日の「ミネアポリス教員連合(MFT)イスラエル・パレスチナ決議」は、この戦争に関連したさまざまな問題にふれる強力な立場を決定した。つまり「MFTは、イスラエルとパレスチナ占領地における無実の命が亡くなったことを悼む。われわれは、イスラエル人であろうがパレスチナ人であろうが、すべての市民に対する暴力を拒否する。したがってわれわれは、ガザへの人道援助を可能にするための、また紛争の水準を低めるための即時停戦を訴える。われわれはまた米国人として、イスラエルの系統的占領とアパルトヘイトを支持してわれわれの政府が果たしている役割をも糾弾する。イスラエルのそれらの政策こそが、パレスチナ・イスラエル紛争の根源になっているのだ」と。MFTはさらに、国家の反「ボイコット・投資引き上げ・制裁」立法を無効化することをも訴えて声をあげた。
 これに応えてミネアポリスユダヤ人コミュニティ関連評議会は、MFTの決議は「反ユダヤ主義」と糾弾する800人が署名した手紙を当地の学校理事会に送付した。この地区の何人かのユダヤ人保護者も、かれらの子どもたちを危険にさらすことになる反ユダヤ主義を鼓舞するとして、MFTを糾弾した。
 教員の一労組であるオークランド教育協会(OKA)は、パレスチナ人との連帯を訴え、「イスラエルのジェノサイドとアパルトヘイト」を糾弾した決議を採択した。それは次いで、労組は「パレスチナ人の解放を曖昧さなく支持して立ち上がる」とする声明をソーシャルメディアに投稿した。その決議は、OKAはパレスチナ人の解放について教えるために教室で使用する教員向けの教育資料を配付するだろう、と述べていた。
 これに対応し、米国ユダヤ人委員会オークランド支部、反中傷同盟、ユダヤ人コミュニティ関連評議会は、反ユダヤ主義でありハマスのテロを鼓舞しているとしてこの労組を責め、イスラエル―パレスチナに関するOEAの立場を糾弾した。この労組はその後、以下のような声明を出して、その立場をやわらげることで応じた。そしてその声明は、「われわれは労組活動家として、イスラエルとパレスチナ双方の市民からの連帯を求める訴えによって心を動かされている。われわれは、われわれが民主的プロセスの中で取りかかっているように、わが労組内部での対話に専心中だ。わが労組は曖昧さなく反ユダヤ主義とイスラム排撃を糾弾する。われわれはハマスが拘束している人質の解放を訴える。われわれは失われた命を悼む。そして高まる一方の停戦の訴えにわれわれの声を加える」というものだった。
 いくつかの支部労組は、単なる言葉以上に進んでいる。労働者の教育センターであるレイバーノーツは、パレスチナ支援をめぐる組織化のやり方に関し、数人の支部役員と数百人の下部活動家を巻き込む討論を組織した。参加者は、決議の採択、集会やデモの共同後援、軍用品船積み手配の拒否、さらに軍事補給品船積みに巻き込まれる労働者内部での対業務行動の組織化を討論した。(2023年11月26日)(「インターナショナルビューポイント」11月27日) 

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