台湾 頼清徳が総統選に勝利するも、民進党は立法院で過半数を維持できず

ヒオエ・ブライアン

 2024年台湾総統選挙に関するESSF(Europe Solidaire Sans Frontières)の記事を掲載する。今回の総統選挙の結果、民主進歩党(民進党)の頼清徳総統候補が勝利した。しかし立法院では民進党が過半数割れした。その一方で今回の総統選挙で25%を超える得票率を記録した台湾民衆党の柯文哲主席が第三勢力としての立ち位置を固めた。また民衆党は、立法院において8議席を獲得し、キャスティングボードを握った。
 2024年台湾総統選挙の結果、民主進歩党(民進党)の頼清徳総統候補が勝利した。頼候補は当初からリードしていたが、選挙全体の流れからすると、泛藍陣営(野党)がともに手を結んだ場合、民進党は敗北に直面していた可能性がある。
 報道時点では、頼氏の得票数は520万票を超えていた。対照的に、中国国民党(国民党)総統候補の侯友宜は440万票、台湾民衆党(民衆党)総統候補の柯文哲は350万票を獲得した。
 民衆党は国民党や民進党よりも大規模な集会を行った。民衆党のデモ参加者は35万人で、民進党と国民党は25万人であった。最初の1時間ほどの世論調査では、たとえ頼氏が泛藍の候補者全員に対して明確なリードを持っていたとしても、柯氏が実際に侯氏を破る可能性があった。
 当初は投票率が低いと予想されていた選挙戦は、かなり白熱したものになった。台湾鉄路公司は、投票日当日の午後1時半までに31万枚の切符が売れ、一日で最大となる76万枚の切符が売れると予想した。政治的なムードが急激に変化した原因については、いまだ不明な点が多い。
 午後8時までに、柯氏と侯氏は敗北を宣言し、頼氏は勝利演説を行った。頼氏は、台湾が他の民主主義国家とともに権威主義に対抗し、民主主義的価値の肯定を示すという演説を行った。また頼氏は、社会的進歩が継続することを強調し、蔡総統のリーダーシップに感謝の意を表した。頼氏は、他の政党の意見を取り入れ、他の政治党派の人材を招き入れることを目指すと強調し、統治への超党派的アプローチを強調した。
 そのために、中国の脅威から台湾を守りつつ、両岸の現状維持を目指すと述べた。頼氏は秩序ある条件の下での中国政府との協力を否定しなかった。頼氏は両岸の現状維持へのコミットメントを強く強調した。
 民進党は立法院で過半数を維持することはできなかったが、国民党と互角の成績を収めた。報道時点で結果が判明している73の選挙区議席のうち、民進党が36議席を獲得し、国民党が35議席を獲得した。立法院投票の36%が民進党、34%が国民党、22%が民衆党であった。
 民進党と国民党の得票率はほぼ互角で、多くの人が予想したように、民衆党が立法院のパワーバランスをコントロールする可能性がある。同時に、民衆党が国民党と互角に戦うことができなかった点も興味深い。
 国民党が民衆党と連立を組めるのか、それとも民進党に対する焦土作戦を行使するのか。
 民衆党はメッセージを発信し、この結果は台湾社会が泛藍陣営と泛緑陣営(与党)の伝統的な分裂を超えて前進することを望んでいることを示していると強調した。また民衆党は、その未来のために引き続き努力すると表明した。
 民衆党と国民党は、韓国瑜氏を立法院院長に指名すると予想されている。
 民衆党以外の小政党は今回の投票で全滅した。オバサン同盟、緑の党等は、小政党支持者が資金を得るための3%の基準をクリアできなかった。オバサン同盟や緑の党は他の小政党よりも良い結果を残したが、これは有権者が独立対統一の問題以上のものを強調する第三党に期待している可能性を示唆している。
 ひまわり運動をきっかけに台頭した多くの進歩的な若者候補は、敗北または失脚した。
 台湾の政治がこの先どうなるかは未知数である。立法院と総統府の間の動きや、民衆党がどのような役割を果たすかによって、多くのことが決定されるであろう。
 今回の選挙で、民進党が揺るぎない支持を得ていないことが明らかになった。しかし、政党票だけでなく総統選挙でも民進党が勝利したことは、台湾国民が民進党を支持し続けていることを示している。民進党が政権を維持できたのは、民進党が台湾の主権を守る政党であるとの見方が依然として強く、総統の座から追い落とせなかったからかもしれない。しかし、民進党が今後も政権を維持するには多くの課題がある。民進党は今後、泛藍陣営からの大きな挑戦に直面する可能性もある。

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