ウクライナからパレスチナへ

占領は紛れもない犯罪だ

世界は抑圧への鋭敏さが今こそ必要だ

ソツイアルニイ・ルフ(社会運動)

イスラエルの犯罪は明白だ

 ガザ回廊での戦争は2ヵ月以上進行してきた。
 ソツイアルニイ・ルフは、中東における公正な平和を支持する。そしてそれは、パレスチナ人に対する構造化された抑圧、および市民に対する体系的な暴力の廃絶を必要とする。われわれは、10月7日の攻撃への対応として極右のネタニエフ政権が発動した鉄剣作戦、およびその進展の中で犯されている戦争犯罪を糾弾する。
 ガザ回廊におけるイスラエル軍の諸行為は、その約半分が子どもであるその住民全体に対する懲罰にほかならない。イスラエルは、ガザ回廊への全面的な包囲攻撃を加えてきた。そしてその地は、2007年以来違法なイスラエル・エジプトによる封鎖下に置かれ、200万人以上のガザ市民に対する水、電力、食糧、また医薬品の供給を妨げられ、「世界最大の天井のない監獄」に変えられてきた。
 諸々の国際組織が提供するさまざまなデータによれば、この作戦の僅かな週のうちに、7800人の子どもを含む1万8000人にのぼる市民が殺害され、さらに5万人が負傷した。そして、ガザ回廊の200万人近くの人口のうち85%が家から逃げるよう無理強いされた。死者の中には200人以上の医療労働者、また100人以上の国連職員がいる。国連は、ガザ人口の少なくとも半数は飢餓に陥らされた、と確証している。チェチェン・イチケリアでロシア人が行い、イラクで米国人が行ったような、「テロとの戦争」を口実にした人道的破局の強制、また市民に対する強力な軍事機構のテロを正当化することは受け容れられないと思われる。
 ガザ回廊におけるイスラエルの次の作戦は、紛争の効力ある解決とは正反対だ。そのような政策は、英国の植民地政策により強化されたアラブの諸隣国との衝突後にイスラエル国家がパレスチナ人数十万人をかれらの土地から追い出して以来、何十年間も続いてきた。その追い出し後、数百万人のかれらの子孫は逃げるのを宿命づけられた(ナクバ――アラビア語で「破局」――として知られたできごと)。
 イスラエル当局はいくつにもなる国連決議を無視し続けている。その最新のものは、国連総会でメンバー国193中120票で10月27日に採択され、停戦を求めた。国連と人権諸組織からの報告は繰り返し、イスラエルが実行しているパレスチナ人の隔離を南アのアパルトヘイト体制と並べてきた。
 その多くが戦闘的な宗教的固執者であるイスラエルの入植者は、イスラエル当局の黙認の下にパレスチナ住民に対する植民地化政策と暴力を継続している。そしてイスラエル当局は日々、パレスチナの男と女、また子どもに対する侮辱的で恣意的な拘留と殺害を実行しているのだ!! 今年のできごと以前ですら、イスラエルの人権組織のベゼレムによる計算によれば、2000年以来イスラエルはパレスチナ人の男と女1万人以上を殺害していた。
 それ以上に通例は、イスラエル側における比例を外れた暴力であり、イスラエルはそれを使ってもっぱら平和的な抗議行動に対してさえ応じている。たとえば、ガザを封鎖している壁へのパレスチナ人〔帰還大行進〕への抑圧の中で、イスラエル治安部隊は41人の未成年者を含む195人のパレスチナ人を殺害した(2018年3月以後のたった1年で)(国連人道問題調整事務所――OCHA――からのデータ)。
 西岸で殺害されたパレスチナ人の数の点では、2023年は、国連が記録を取り続けてきた全期間の中である種記録的な1年になった(そしてこれは、いかなるハマスの基地もないパレスチナのこの部分で、イスラエルの治安部隊が百人以上を殺害した10月現在のことだ)。僅かに「深い懸念」というコミュニティとしての世界の無関心な反応が、紛争を解決する平和な方法に対する当地住民のさらなる絶望に導いた。そしてそれこそが、原理主義勢力が今利用しているものなのだ。

イスラエルこそ暴力激化進めた
 パレスチナ人を公然と非人間化し、かれらの虐殺とジェノサイドを求めている反動派と宗教的固執者でも満たされた現在のネタニエフ政権は、その前任政権よりもさらに先に進んでいる。イスラエル自身がかつて、最初のインティファーダ当時のパレスチナ人内部の主に世俗的で非暴力的な反占領抵抗を、より右翼的で暴力的かつ原理主義的な諸派で強引に取って代わらせる点で無視できない役割を演じた。ネタニエフと彼の部下たちは、反動派とハマス起源の宗教的固執派を励ました、と認めた。その理由は、それがパレスチナ自治政府を弱体化し、パレスチナ人が抱える条件に追加的な仲違いを持ち込み、かれらのための主権国家建設という見通しを故意に妨害する、というものだった。
 この情け容赦ない政策は、エジプトのまたイスラエルも加えた情報機関の、現職と退役した軍事要員が、封鎖と入植政策の結果としてのあり得るエスカレーションについて警告した後でも変わらなかった。こうして、イスラエル海軍と秘密機関のシャバク(イスラエル総保安庁)元トップだったアミ・アヤロンは、「パレスチナ人がわれわれがかれらの家を破壊していると知れば、怖れ、挫折感、憎悪が増大する。これらが人々をテロ組織へと押しやっている理由だ」と警告した。
 ネタニエフは他の保守派同様、民主的自由への攻撃、また治安機関のさらなる増強を正当化するために、「脅威に対する防衛」のレトリックを変わることなく利用した。しかしそれらのことも、ハマスのガザからの攻撃を防ぐことはなく、代わりにそれらは、西岸のパレスチナ人に恐怖を与えることに夢中になっていた。結局のところ全く終わらない暴力のスパイラルは、過激な保守派・民族主義勢力を除く誰に対してもこれまで安全を高めることなく、また今後もそうだろう。
 そのような空気はすでに、イスラエル史上でもっとも右翼的なクネセトと政府に導いている。そして現在の戦争は、ネタニエフ内閣に対しある種の気ままさを提供することになり、それに対し2023年のほとんどで大規模な抗議行動が継続した(特徴として、エスカレーション前夜に行われたひとつの世論調査が示したことは、ガザ住民の過半はハマス運動を信用していないことだ。そしてハマス運動は、ファタハとの内戦を経ての15年以上昔に権威主義的な1党政府をここに確立した)。

米支配階級と極右の虐殺容認

 同時に、イスラエルの主な後援国――米国――の指導的両党の主流は、イスラエル政府のほぼあらゆる行動に対する無条件の軍事支援と外交的支援を提供する点で即時に準備万端であることを誇示した。ここでは、ウクライナへの武器供与に関する躊躇との対照性、およびウクライナから援助を奪うことを代償にネタニエフ政権の民族浄化と冒険的行動に資金を提供しようとする米国支配階級のもっとも反動的な諸部分――共和党右翼――の切望両者が目立っている。この点でトランプは、西側の数多い他の極右勢力と似ている。それらはその隊列内に多くの反ユダヤ主義者を、パレスチナとウクライナの住民を責任を問われることなく殺しているイスラエルとロシアの部隊双方の能力を同時に擁護しているような勢力を抱えているのだ。
 それ以上のこととして、ワシントンそれ自身が、トランプ政権以来その排他的な首都としてイスラエルのエルサレム浸食を支えて、緊張の現在における高まりに力を貸した。今米国は、たとえば人道回廊準備というブラジルの提案や、12月8日の最新停戦決議に関し、国連安全保障理事会で拒否権行使を主導し続けている。ちなみに後者は、同理事会メンバー15ヵ国中13票で支持された。ロシアのウクライナ侵略の場合と同様、これはあらためて、国連常任理事国メンバーからその拒否権を奪わなければならないことを示している。その権限は、大虐殺を止める国際社会の能力を麻痺させているのだ。
 ウクライナに対するロシアの全面侵攻は、国際的緊張と免責の空気を強め、コミュニティ全体を生き延びの瀬戸際に置くような一連の対立エスカレーションに可能性を与えてきた。たとえばそれはすでに、今年9月のアリエフ体制による攻撃的行動の結果として、ナゴルノ・カラバフのアルメニア住民に起きた。中東における衝突の現在の事態には同類の性格があり、世界の残りにおける不穏な諸傾向に帰結した。そこでは特に、反ユダヤ主義とイスラム嫌悪の高潮がある(プーチンのロシアが支配する北コーカサスにおけるようなユダヤ人ポグロム未遂、バーモント州での学生を例としたパレスチナ人への攻撃、パレスチナ人少年のシカゴでの殺人、あるいはエジプトでの警察によるユダヤ人旅行者と現地ガイドへの銃撃にいたるような)。

パレスチナ連帯ウクライナこそ
 残念なことに、ウクライナ当局の対応もまた、極度の偏向と一方的取り組みを露わにしている。つまり、イスラエルでの市民攻撃を正しくも糾弾し死者に敬意を表しつつ、それは同時にパレスチナで殺された市民を無視する方を好んでいるのだ。ウクライナの国連外交は一貫して、ほとんどすべての事案で、パレスチナの地に対する違法な占領とイスラエルによる他の侵犯を糾弾してきたという事実がありながら、しかもイスラエル当局はロシアの占領に関し曖昧な立場をとり、従うべき最新の先例を提供しているにもかかわらず、ということなのだ。代わりに、パレスチナ人の全員を幼児から高齢者まで「テロリスト」と言明し、パレスチナ人を悪魔視する恥知らずなレトリックがウクライナのメディアにはびこっている。
 確かに人は、パレスチナ人の自称「友人」にとって、それがカタール、トルコ、イラン、サウジアラビア、あるいはロシア(それは、ハマスおよびネタニエフ政府両者と全く親密な関係を維持している)といった権威主義的当局を例とするハマスの周知の後援者や連携相手であろうが、パレスチナの人々の悲劇は単に取引材料にすぎない、ということに気づかなければならない。しかしパレスチナ人を国内の情報空間で「テヘランやクレムリンの代理人」に落とし込めることは、ウクライナに対するロシアの侵攻に関する「代理人」との正当化と同じほど無知で非道な戯画なのだ。
 代わりに、パレスチナ民衆の苦しみが理解されなければならないのはウクライナにおいてだ。そこでもまた、核兵器を所有し軍事力における圧倒的優位が続いている一国家による占領が、国連の諸決議と国際法をあっさりと無視し、抵抗と主体性の権利を否認しているのだ。
 われわれが今経験中の悲劇は、世界のあらゆる隅々における似たような人間の経験に対し、われわれの鋭敏さを鋭くさせなければならない。ウェブサイト誌の「スピルネ」のプラットホームに投稿されたウクライナのパレスチナ人民との連帯公開状は、公式筋の声に代わるそうした声をはっきり示した。そしてそれは、自己決定と占領に対する抵抗の普遍的な権利を確認している。
 かれらがかれらの戦争で勝利するならば「あなたはどれほど心細いか、われわれの孤独感はどれほどのものだろうか?」、アラブの作家であるヒバ・カマル・アブ・ナダは彼女の詩の中でこう問いかけた。そして、「あなたの土地がオークションに売り出され、世界が自由市場である場合……、われわれのために仲裁しようとする者が誰もいない場合、これは無知の時代だ」と。
 この32歳になる詩人は今年イスラエルの空爆による数千人という市民の犠牲者のひとりになった。世界の義務は、抑圧された人々を、特に肉体的根絶の脅威に直面している時、ひとりにしないことだ。頭上を飛ぶ爆弾やミサイルを甘受するな。ウクライナであろうがパレスチナであろうが。
 したがって「社会運動」は即時停戦、およびこの地域への人道援助通過を求め、また公正かつ長続きする平和への正統な切望という点でパレスチナ民衆へのその支援をも表明する。(2024年1月31日、「社会運動」より)

▼ソツイアルニイ・ルフ(ウクライナ社会運動)は2015年に創立された。(「インターナショナルビューポイント」2024年2月19日)   

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