ドイツ 広がる交通ストライキ

伝統的労使協調に変化?

ヤコブ・シェーファー

実質賃金低落に
闘う意志と自信
 ドイツ労組指導部の資本主義システムへの深い統合が理由で、本当のところ賃金紛争には全く頑強さがない。労組官僚は社会的パートナーシップの路線を採用しているのだ。これが、特にパンデミック以後、またインフレ高騰以後はもっと、実質賃金の相当な低落(2023年にそれは、平均で4%から6%だった)が起きてきた理由だ。
 しかしながらこの数ヵ月、注目すべき変化があった。そしてこれは、労働力市場が被雇用者に有利になっていることが理由だ。多くの部門で、熟練労働力の不足がある。これが、労働者に自信と闘う意志をより高めている。こうしてこの数ヵ月、下部組合員の圧力の下で、労働条件がますます重要問題になってきた。かれらは今、シフト労働へのもっと高いボーナス、有給休暇、そして何よりももっと短い労働時間を、しかしもちろんもっと高い賃金をも求めている。その一例が空港従業員(ルフトハンザグループの安全確保スタッフと地上スタッフ)によるストライキの中であったことだ。

最重要な闘いが
都市交通に出現
 こうした流れにおけるもっとも重要な闘いは、現在都市交通で起きている。2月26日から3月2日の週の間、労働者は主要都市70以上で1日か2日都市交通を麻痺させた。この行動の特別な相貌は、4年前、フライデー・フォー・フーチャー(FfF)組織が「ヴィール・ファーレン・ツザメン(われわれは共に進む)」連合を形成するためにサービス労組のヴェルディと力を合わせた、ということだ。
 今回、高度に効果的な共同デモが主なストライキ行動日の3月1日に実現した。これは、一労組と気候保護運動の部分が共に行動したドイツで初めてのことだ。これは何よりも、先の連合が以下のように強調したことで可能だった。つまり「われわれは、社会の保護と気候の防衛を理由に、交通における転換点を、つまり公共交通の大々的拡張を必要としている。その達成のために、われわれにはもっと多くの運転士が必要だ。この骨の折れる仕事(仕事は厳しく、賃金も低すぎる)をやりたがっている人が少なすぎるために、バス運転士の不足がすでに起きている。われわれはその仕事をもっと魅力的にする必要があり、それは、賃金の完全な埋め合わせに基づく労働時間短縮を意味する」と。
 通常起きることとは異なり、今回報道はふたつの理由からストライキ参加者を攻撃しなかった。つまり、公衆が公共交通被雇用者の高い労働負荷を理解していること、また公共交通を発展させる必要をも理解していることだ。
 周知のようにこれはまだ、満足のいく協定に導いてはいない(労組官僚は、要求の過半を押し通すために、今得られた勢いを利用しそうにはない)。しかし被雇用者は、決起の成功とかれらが新たに見出した自信に支えられ、そのうちいつか静まるということはないだろう。

列車運転士労組
妨害の中闘争中
 列車運転士の団交は、似たような要員不足を背景に4ヵ月間続いてきた。しかしそこには鍵を握る違いがひとつある。つまり、列車運転士労組(GDL)が主要なDGB(ドイツ労働総同盟)の加盟労組ではないということだ。そしてそのはるかにもっと戦闘的な立脚点を理由に、この組合は競合労組のEVG労組(DGB傘下労組、鉄道関連労働者を組織)と政府両者からの砲火の下にある。GDLはDGBからの支援を全く受けていない。逆に、主要な労組はGDLの屈服を要求した。
 最近4週間にわたって密室で行われた交渉の中で、鉄道会社は主要要求を、つまり労働時間の週38時間から同35時間への短縮を満たすことができなかった。したがって、2、3日の間に鉄道でのさらなるストライキが起き、数日間鉄道交通を停止にする、と予想される。(2024年3月4日)
▼筆者は、第4インターナショナルドイツ支部のISO(国際主義社会主義者組織)の活動家で、退職鉄鋼労働者。また戦闘的労組ネットワーク(VKG)の運営委員を務めてきた。(「インターナショナルビューポイント」2024年3月5日)

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