イタリア 右翼統治の1年半
労働者運動の再来に全力を
フランコ・トゥリグリアット
メローニと彼女の連携勢力の政治路線は、ブリュッセルの新自由主義経済政策との全面的な連続性を擁護し、新たなEU安定協定を支持している。そしてこの協定は、秋早々の、労働者階級に対し高度に不利になろうとしている財政法を告げている。
もうひとつの決定的な要素は、ビジネスの中心性であり、ビジネスはいかなる制約にもにも従うべきではなく(資本家に自由な支配を残し)、逆にそれはさらなる減税によって支えられなければならない、というものだ。政権の主な選挙基盤であるプチブルジョアジーと中間階級に対する1年で12件の課税免除は、脱税に向けたあからさまな促しだった。
反民衆的な攻撃
全側面に広がる
上記に加え、社会のもっとも弱い層すべて(貧困層、移民、障害のある人々)に対する、経済的なまた諸基準の点双方での厳しい条件劣悪化がある。これらの方策は、お祭り騒ぎの抑圧から若い環境活動家による集団行動を犯罪とすることまで範囲が広がる、22類型の新たな犯罪規定の導入を通して実行されようとしている。その中でもっと「深刻な」方策が、大学内のパレスチナ連帯運動を粉砕するために準備されつつある。
国際的には、メローニは帝国主義のNATO連合、兵器競争、さらにペルシャ湾へのイタリア艦船の派遣を全面的に支えている。
彼女の行動にはまた、学校内部での階級的分断を引き立たせるような学校私有化の進行の継続、および反動的で修正主義的な意味における国の歴史の書き換えを目的にしたイデオロギー攻撃が伴われている。多くの学校の教育と生活にはますます多く軍隊の代表者たちが現れている。そしてわれわれは今、レイシズム、民族主義的愛国主義、またかつての植民地主義を含んで、社会内での反動的衝動の活性化を目撃中だ。
公共テレビやメディアに対する全面的な統制、および批判的なジャーナリストを沈黙させ、あげくは犯罪とするようなもくろみを伴って、諸機関と権力のあらゆるレベルでの系統的な占拠がある。
国家の権力均衡を完全に変えるような、首相に途方もない権力を今後与える制度的な反動改革として、民衆に選出された指導者に対するいわゆる民主主義のカルトが表現され、そこには、いわゆる差違のある自治という反動改革が組み合わされている。そしてこの自治は、豊かな地域をもっと豊かにし、私有部門を有利にする形で公的な医療ケアをさらに破壊することになるような自治なのだ。
レジスタンス
の成果の破壊
かれらは「市民改良主義者教」(諸権利、自由、社会的攻勢の実行を促進する)に終止符を打ちたがっている。それは、労働者運動、社会的団結と労働組合、さらに左翼の政治諸勢力によって表現され、レジスタンスの勝利を経て何年もこの国を特性づけていたものだ。労働者階級の敗北、その断片化、そして中道右派と中道左派の諸政権が遂行した緊縮政策が、支配階級の反動的な「受動的革命」とグラムシが名付けたものを確立しようともくろむ極右のために、高速道路をつくってきた。
職場での死の、紛れもない労働者の虐殺の決して途切れることのない、そして受け入れることができない連なりは、今や労働者階級を取り囲む条件を特徴づけている。そして明確に、企業の自由な搾取と不安定化の道にいかなる障害も置きたくないと思っているこの政府は、これらの殺人と闘うための、効力のある立法や十分な統制を機能させる能力も意志もほとんどもっていない。
闘争の季節
への挑戦を
政府は、それがその権力を固めなければならないとすれば、労働者運動と衝突しなければならない、と十分にわかっている(そしてそうしようと準備中だ)。労働者運動は、弱体化しているとはいえ、その労組と組織的力を維持している。これまでのところ、この直接的な衝突は先延ばしされてきた。その理由は、CISL(イタリア労働者連盟、カトリック系の同国で2番目に大きな労組連合)の全面的な従属を含む、労組指導部の消極性、および労組の無作為が今後さらに士気阻喪と労働者階級の分断を引き立たせるだろうとの政府の期待だ。
しかし、賃金と雇用をめぐる緊張はまさに現実であり、この衝突を早める可能性もある(緊縮予算法の登場も伴って)。下部諸労組は、しかしまたCGIL(イタリア労働総同盟)とUIL(イタリア労働連合)という他の2労組の指導部も、公私両部門の多くの職種に対する雇用契約更新をはじめとして、あれやこれやの方法で対抗に今挑もうとしている。先の部門の賃金はインフレではぎ取られてきたのだ。4月11日、仕事中の死に反対して国中でストライキと決起が起きた。4月12日、ステランティスと自動車産業の労働者1万人がかれらの仕事を守ろうとトリノの街頭に繰り出した。
その上で、労働者運動にとってのふたつの象徴的な闘争日、つまりファシズム敗北の記念日である4月25日、および5月1日が共に間近に迫っている。展望は、資本家階級の利益を管理するファシスト政権に対決する厳しい社会的衝突に耐えることができる、闘争の新しい季節、労働者運動の再来のそれでなければならない。(2024年4月17日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)
▼筆者は、元上院議員で、イタリアにおける第4インターナショナルの2組織のひとつであるシニストラ・アンティカピタリスタ指導部の1員。(「インターナショナルビューポイント」2024年4月18日)
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