各国の権力者が全戦線でクルド抑圧を激化

ミレイレ・クート

 トルコ国境に近い、クルドにはバスルとして知られるイラク北西部のクルド地域では、戦争がこの数年猛威をふるい続けてきたが、この数ヵ月それは激しさを強めてきた。
 KDP(クルディスタン民主党)のペルシュメルガに支援されたトルコの部隊が今、この地域でのPKK(クルディスタン労働者党)の存在を消し去ろうとの期待の下に、PKKの武装部隊であるHPG(人民防衛軍)との戦闘を続けている。バグダードの政府はトルコからの圧力の下に、議会にも諮ることなくイラク内のPKKを非合法化したばかりだ。クルドの諸部隊を排除しようとのこのもくろみにおける主な利害関係は、イラクのクルディスタンの油田からトルコにつながるパイプラインだ。このパイプラインが先の地域を横切るために、それはもはや機能せず、原油は道路で輸送されなければならないのだ。そしてそれは明らかに費用を高めている。

シリアとイラン
でも猛烈な抑圧


 シリア北部の事実上の自治地域であるロジャバの西クルディスタンは、恒常的な攻撃下にある。それは、主にインフラを狙った空爆、またそれだけではなく、ドローンが狙いを定めるSDF(シリア民主軍)の将校や女性運動の指導者の暗殺という形によるものだ。デリク地域では油井に対する恒常的な攻撃がある。そしてデイル・エゾル地域は、バシャル・アル・アサドに雇われたイラン人民兵とダエシュの両者からの攻撃下にある。アサドは彼の経済の死活を握るこの資源を支配下に置くことを夢見、ダエシュは、バグスの攻略までその最後の拠点だったこの地域で今も活動している。
 北部自治連合と東シリアもまた、ダエシュの復活との闘いを迫られている。ダエシュは、もっとも近いところではラッカで、数え切れない自動車爆弾攻撃を実行している。
 イランのクルディスタン地域であるロジュヒラト(東クルディスタンを意味する、イラン北部の非公式名称:訳者)では、ジナ・アミニの死に続いた暴動以後抑圧が猛烈なものになっている。クルド人活動家は投獄され、次々に絞首刑になってきた。

クルドに対する
民族主義的圧力


 トルコのクルディスタンであるバクルでは、3月31日に地方選が行われた。そしてそれをエルドアンは、特に彼が彼の「宝」と呼ぶイスタンブールでひとつの民族問題にしてきた。
 ちなみにこの宝を彼は、民族主義かつケマル主義のCHP(共和主義人民党)のエクレム・イマモールの選出という形で2019年に失っていた。当時幅広い極左基盤を伴ったクルド政党のHDP(人民民主党)は、「AKP(公正発展党)以外の誰でも」キャンペーンの一部として、イマモール選出を助けるために候補者を出さなかった。
 その時以来、HPD(非合法化の脅しを受けてDEM〈人民の平等と民主主義の党〉になった)内部の違いが、DEMとして候補者は出すがしかしアンカラでのようにしばしば象徴的にという形で、その立場を幾分変えた。
 DEMはアンカラで、ディヤクバクルの市長だった非常に人気のあるギュルタン・キサナクを立候補させた。しかしその彼は、PKKとのつながりを言いがかりに、政府により職務から外され、17年間の刑期で投獄されていた。残念だが、イスタンブールやアンカラやイズミルの大都市における野党の勝利は、民族主義者の圧力が今後消え去ることを意味するわけではない。
 フランス政府は、トルコの拷問機関に渡されるべくフランスから送還されたフィラツ・コルクマズのような、若いクルド人活動家たちを今国外追放しているが、それは、われわれの大事なクルド人の共闘者が関わる全戦線に対する攻撃を背景にしているのだ。そしてそのかれらは、ダエシュが中でもバタクランを攻撃していた時、そしてかれらがラッカを引き受け、多くの人的犠牲を払うことでダエシュを単独で止めていた時、まさに大切な人々だった。(2024年4月4日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)

▼筆者はフランスNPAメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2024年4月8日) 

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