英国 2024総選挙への声明
闘争と抵抗堅持し保守党打倒へ
アンティキャピタリスト・レジスタンス(ACR)
以下の声明は、リシ・スナク首相が英国総選挙を7月4日と公表した5月22日に出された。
1.社会主義者としてわれわれははっきりしている。つまり保守党は、大手ビジネスとわが社会内のもっとも反動的な考えをもつ者たちの利益を代表する階級的な敵ということだ。NHS創設者としてナイ・ベヴァン(アナイリン・ベヴァン、戦後の時期の著名な労働党左派指導者:訳者)はかつて「かれらはやくざ者よりもっと低劣だ。かれらは何百万という人々を半飢餓に運命づけた」と語った。保守党にとってのいかなる大敗北も、緊縮の14年、悪質なレイシズム、そして生活費に対するどこ吹く風のような無視で疲れ果てた何百万人という他の労働者と共に、われわれが祝うものだ。これこそが、保守党を蹴り出せ、闘争を堅持せよ、そして抵抗を組織せよ、と躊躇なく言う理由だ。
2.「闘争の堅持を」によってわれわれが言いたいことは何か? 新労働党政府の下でも、われわれの闘いで休んだり、手を緩めたりする暇は全くない、ということだ。腰を落ち着けるためにその政府を待つことは、われわれにはその余裕などない贅沢だ。われわれは今、以前の保守党政権からの進歩的な移行をうるさく要求しているのだ。それははっきりしている。諸労組は、労働党政府を活動を緩める理由にせず、それが抜本的な変革に向けたいわば触媒になることを要求しなければならない。
3.この選挙は、「リストア・ネイチャー・ナウ」に合流する6月22日のロンドン抗議行動をむしろさらに重要なものにしている。われわれは、圧力を保持する必要がある。このデモは、あらゆる政治家と市民社会に、環境は何らかの個別課題ではなく、この地球上の生命の基盤そのものに関わっているのだから、環境が中心的な戦闘であるという、高々と鳴り響く呼びかけにならなければならないだろう。
われわれは、選挙期間中であってもわれわれの運動を築き上げるために闘わなければならない。まさに政治の戦闘は、未来のために闘うための行動に入る大衆的諸勢力を通して勝ち取られるだろう。
4.労働党の諸政策は、保守党の政策と意味のあるものとしてはほとんど違いがない。しかし、大衆的労組運動内のその基礎、およびそれらの労働者階級諸組織へのその統合は、独特な強みになっている。これは、われわれが保守党政府下でもっていたものよりも権力へのもっと広い道を利用して、社会主義的な課題設定を唱えるためのひとつの機会を意味している。
諸労組は、生活費危機に取り組む賃金と労働条件に関する諸政策を推し進めるために、この影響力を行使しなければならない。労働党は、あらゆる反労組法を廃止し、勤労民衆のための「権利法」を制定しなければならない。
それは、わがコミュニティと暮らしを荒廃させてきた緊縮の10年を逆転させる闘いを意味する。ロンドン大学は、2010年から2020年までの政府による緊縮政策が理由で約14万8千人が死亡した、と見積もっているのだ。
5.即刻取り組まれる必要がある明白な政策がいくつかある。すなわち、ルアンダ法(移民をルアンダに強制送還させる法:訳者)廃棄、難民に対する戦争と移民手入れを終わりにすること、カス勧告(ジェンダー・アイデンティティ・サービスに関する勧告:訳者)の廃棄、住宅家賃統制の即刻実施、公共住宅購入権の廃棄、公共住宅の大規模拡大、より高い賃金とより良好な社会保障を通してフードバンクという荒廃状態を終わらせること、子ども手当ふたり分という上限の撤廃、だ。
労働党政府は、ガザでの即時停戦を訴え、イスラエルへの兵器売却や他の戦略的な支援を停止しなければならない。
6.われわれは、選挙の後も選挙という全体構図の中でも被抑圧民衆と連帯する。その選挙はわれわれの予想では、「文化戦争」の特色を顕著に示し、われわれは諸々の攻撃の高まりも予想している。
その対象は、難民(移民手入れとルワンダ追放政策によって)、障害を持つ人々(社会的給付への諸攻撃によって)、ジプシー、ロマ、トラヴェラーズ(かれらの暮らし方に対する法的攻撃によって)、トランスの人々(医療の自主性に対する攻撃と高まるヘイト犯罪に直面している)、ムスリム(ガザで進行中のジェノサイドに見合ったイスラム排撃によって)、さらに恐るべき植民地主義の暴力と対決して自身の民族的解放を求めて戦闘中のウクライナ人とパレスチナ人だ。
7.ふたつの保守党の気候政策が、そこに温室効果ガス排出を削減する十分な政策があるとの十分な証拠を示せていないとして、法廷によって不法と裁定された。労働党政府は、気候問題に優先性を与え、北海での原油と天然ガス抽出を止め、無料で利用可能な公共交通と再生可能エネルギーに基づく低カーボン経済に急速度で移行しなければならない。抗議する民主的な権利に対する保守党の攻撃もまた、最高裁で不法と言明されている。
8.全面的な肉体的自主性(女性、障害をもつ人々、トランスの人々、また全員にとっての)を伴った共同管理を基礎とした、NHSへの緊急資金注入とその抜本的改革は、その基本骨格として保証されなければならない。
9.われわれは選挙後、あらゆる極右の再起を警戒し、それに対決する組織化を準備しなければならない。それらの多くは、動員を開始するために、特に若い男たちがますます露わにしている反動的な社会的憤激を利用してそうするために、労働党の「覚醒」政府に今待機中だ。労働党政府の生ぬるい方策であっても、より良い未来への希望をどのような意味でも抹殺しようとまで決意したこれらの怒り高ぶったファシストには、決起の十分すぎる理由なのだ。
われわれは、保守党の右側における「リフォームUK」(元ブレグジット党:訳者)の成長を見ることができる。それは、資本主義の苦い苦痛が、無視できない数の人々を反動政治の腕の中に今追い込んでいるという証拠であり、そしてそこでかれらは、難民敵視のレイシズムヘイトを世界に意味を与える唯一の方法と見ているのだ。
10.ACRは反資本主義組織として、議会へのどんな選挙も人々が闘ういかなる基本的な問題も解決できない、とはっきり認識している。議会は資本主義の下で中立ではなく、資本の力でくるまれている。
資本主義下の民主主義は、限られ歪められている。それは、政治の領域にのみ限定され、われわれがわれわれの生命力のほとんどを働いて費やすもっと広い経済にはおよんでいない。またそれは、富と伝統によって歪められ、メディア、広告、また富裕層が後援する諸政党助力に流れ込むマネーで圧倒されている。
われわれは、社会のもっと急進的な型――参加型の民主主義、職場の支配、さらに私的な利潤ではなく人間の必要を基礎にした社会主義的経済をわれわれが保持する型――のために、成長とビジネスを名目にわれわれの環境を台無しにせず、地球の限界内に合わせた社会のために、公然と闘う。それは、何十億人の悲惨と欠乏からなる世界ではなく、抜本的な豊かさと公的な富からなる世界だ。これが、未来の世界に関するわれわれのビジョンだ。それこそ、われわれがそのための闘いに献身しているものだ。(2024年5月22日)(「インターナショナルビューポイント」2024年5月27日)
The KAKEHASHI
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