スイス 女性たちの歴史的勝利
政府の温暖化策が断罪された
マリエレ・ブドリ
4月9日、欧州人権法廷大法廷が、スイスは高齢女性の人権を侵犯していると裁定する歴史的な判決を下した。この国が地球温暖化と闘う必要な方策を取っていない、が理由だ。
これは大きな第一撃で、欧州評議会の他の46ヵ国に今後ひとつの先例を定める判決だ。高齢女性の1グループは8年間、法的な戦闘に取りかかってきた。彼女たちは彼女たちの告発を支える証拠に基づいて、一層懸念を呼ぶ熱波を前に彼女たちの健康と幸福に気を配ることができていない、また2015年のパリ協定による2030年に向けた目標を達成するための歩みを進めることができていない、としてスイスを告発した。彼女たちは、スイスに気候の脅威を真剣に考えさせるために、この独創的な方向を選択した。
戦闘の始まり
は2016年
スイス中で2500人を数えるこれらの高齢女性たちは、そのまさに最初から環境活動家だった。そしてすでに1970年代、MLF(物質・科学実験施設)との関係でフェミニストだった。彼女たちは、闘うことが意味していたことをわかっている。2016年、彼女たちはまず彼女たちの請願を連邦評議会に提出した。しかし連邦環境局はこの請願は承服しがたいと明言した。2017年、彼女たちは連邦行政裁判所に転じたが、この機関も彼女たちの求めを拒絶した。次に2019年に連邦最高裁に向かったがこの法廷も彼女たちの上訴を拒絶した。
2020年彼女たちは、グリーンピース(スイスおよび国際的な)と弁護士の傑出した国際チームに支援され、この案件を欧州人権法廷に持っていった。彼女たちの案件には優先性が与えられた。そして2023年3月、エネ・プル・ル・クリマ(気候のための高齢女性)がストラスブールの大法廷で審理された。それは極めて印象深い審理だった(私は、集団行動に加え、個人の原告としてそこにいた)。そしてそこでは17人の判事が、エネの弁護士によって押し出された議論、およびスイス政府の(むしろ弱い)弁論を注意深く傾聴した。判決は1年後、2024年4月9日に下された。
大きな希望の源
一方右翼は激怒
そして、それはエネにとってのめざましい勝利だった。判決は満場一致だった。その一方、確かに根拠がもっと十分でなかった似たような2件を認めがたいと裁定した。スイスの女性の勝利はしたがって、ひとつの先例を確定し、大きな希望を起こさせている。
他方、この裁定は連邦議会内で右翼の怒りをかき立てた。スイスの最右翼政党であるユニヨ・デモクラティク・デュ・サーントゥルは、スイスの起源に言及した。つまり、1291年に相互支援の連携に判を押した3人の農民がかれらの問題に対する外国の干渉に反対した、という話だ。この政党は8世紀近く後になって、怒鳴り声を上げ、スイスが欧州評議会から離脱するよう今訴えている。弁護士で緑の全国評議員でもあるラファエル・マハイムは彼の敵対者から侮辱と脅迫を受けた。
司法連邦事務局はこの判決に注目しているが、有効な方策が今後どのようにまたいつとられるのかは、われわれにはわからない。300ページにのぼる判決文がまず詳細に分析されなければならない以上、弁護士も当面ひとつの見解を示す段階にはいない。この上首尾にエネルギーを得たエネは、闘いを継続中だ。(2024年4月18日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)
▼筆者はスイスのソリダリティSの活動家。(「インターナショナルビューポイント」2024年4月22日)
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