クーデター共謀者は収監したが

かけはし 第2661号 2021年4月12日

ボリビア MASには早くも多くの試練

パトリック・ギロウダト

 共和国大統領としてのルイス・アルセの地滑り的勝利から5カ月、「臨時」政府大統領だったジアニネ・アネスは、2021年3月14日、「2019年11月のクーデターという一連の流れにおける、テロリズム、扇動、陰謀」という罪状で逮捕され、刑務所に拘留された。彼女と共に刑務所に送られたのは、元司法相のアルバロ・コイムブレとエネルギー相のロドリゴ・グズマンだ。
 司法相に予想される判決は30年の投獄刑だが、その理由は、クーデター組織化に関する先の罪状に加えて、クーデター後の最初の数週間に抑圧部隊が責任を問われることなくしでかした、センカタとサカバの虐殺の犠牲者に対する正義を求める要求もあるからだ。

MAS内部で
論争が進展中


この法的な断固とした態度には、「穏健な社会主義」と新大統領によって明確化された一定の政治的再方向付けが伴われた。彼の就任早々に実行された主な社会的方策は、この国の最貧困層400万人を対象とした新たな飢餓対処商品券の公表だった。同時に、コヴィッド19パンデミックが悪化させた経済危機を背景に、下層土の抽出が停止されることはないだろう。逆に、リチウム抽出は大規模に再開され、その中で、石油部門への投資は依然としてボリビアの発展モデルで要石としてとどまっている。
ルイス・アルセは、勝利の夜の最初の演説で、国民和解の政策をはっきりと明らかにした。しかしそれは決してよい兆候ではない。これを第1に示すものは、彼は公的支出におけるいかなる即座の削減も行うつもりはないが、同時に緊縮諸方策の実行も今後迫られることをわきまえている、と確かに説明したことだ。
また、「過去の過ちを繰り返したくない」とルイス・アルセが言明する時、それはまさに単純な方程式ではない。それは主に、MAS(社会主義運動)内論争、エボ・モラレスの大統領期の下では封殺されていた論争、の出現に対応している。しかしながら、後者の亡命以来、また彼のオーラにもかかわらず、反アネス政権闘争は、新しいMASの人物たちによって率いられてきた。この諸個人たちに関わる問題に加えて、この一年を通じて二重の論争が本当に始まった。第1は、MAS内における社会運動の位置に関してであり、それは内部民主主義の問題を提起する。さらに政治路線に関してだ。モラレスは亡命から戻りMASの指導部を引き継いだ。しかしものごとは彼にとって変化した。

民衆は誰にも
白紙委任せず


今年3月7日に準国政選(知事、自治体市長、出先や地方の権力機関の選挙に与えられた名称)が行われたのは、こうした脈絡の中のことだった。内部対立の兆候として、MAS候補者の指名が時として問題含みとなった。
アネス政権時に多民族立法会議議長だったMAS上院議員であり、クーデターの幕間期に登場したMASの新人たちの1人であるエバ・コパが、MASの地方活動家の支持を受けてエルアルトの市長候補になった。モラレスはこの立候補を拒絶したのだが、それはMASの戦闘的活動家の中に憤激を巻き起こした。党から排除されたエバ・コパは、異なった名称の下に立候補することを迫られた。しかし彼女は、得票率68・7%をもって第1回投票で選出され、MAS候補者の得票率は18%に落ちた。ポトシ、サンタクルス、コチャバンバなどの候補者指名でも、エボ・モラレス指導部に挑戦する似たような動きがあった。
こうして、2015年の前回の同様な選挙では、MASは9人の知事のうち6人を勝ち取ったのだが、今年3月7日の第1回投票日夜、MASが勝ち取ったのは3つの出先機関でしかなく、4月11日の決選投票でも、3つの他の職務では、特に有利な位置にいるわけではない。ボリビアの経済的中核地域であるサンタクルスの出先機関における、極右候補者、ルイス・フェルナンド・カマチョの非常な高得票にも注目する価値がある。彼は、得票率55・6%で知事に選出されたのだ。
そのような脈絡の中で、抑圧にもかかわらずアネス政権と対決して決起することができてきたボリビアの民衆は、彼らが誰に対しても白紙委任を与えていない、ということを示している。アレスが選出されたとしてもそれは、彼がアネス政権の政策を拒絶したからだった。
それゆえMASは、多くの試練を前にしなければならない。そしてコヴィッド19下の社会的かつ公衆衛生の危機を伴う中で、ボリビアをより一層世界市場に従わせる刷新と開放政策に住民が満足させられる、などということは不確かだ。何と言ってもその世界市場の政治的代表者たちは、特にEU、米国、そして米州機構(OAS)は、いかなる良心のとがめもなく、2019年のクーデターを支持したのだ。(2021年3月15日)

▼筆者は人類学者で労組活動家。(「インターナショナルビューポイント」二〇二一年3月号) 

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