イタリア パンデミックから社会的危機へ
フランコ・トゥリグリアット
三週間のロックダウンを経て、イタリアの医療危機はむしろ一層劇的な様相を見せ続けている。これまでのところ、感染限定を示す説得力ある兆候はまったくない。それは今や(三月二九日現在)、八万人の人々を感染させ、一万人を超える人々の命を奪った。少なくともこれらが公式の数字だ。Nextstrainのような国際的な科学界を含むあらゆる側に、もっとはるかに高い数字という仮説がある。いずれにしろ、全国の医療システム全体はもはや、罹患者全員に十分なケアを保証することがまったくできず、他のサービス続行を維持することも一層そうだ。一〇〇万件にのぼる「通常の」手術が先延ばしされた。
「飢餓問題」がすでに現実化
一連の方策――不必要な生産の停止といった――がとられたのが遅かった、ということは明白なだけではなく、今日であってさえも、多くの不可欠ではない事業が生産を続け、労働者の命を危険にさらし、感染の広がりを助けている。ロンバルディアだけでも、一万二三〇〇の企業――閉鎖されるべき――が同州知事に、生産続行を可能とするよう求めてきた(これは、指令によって実行されるために規定されている一つの条件)。つまり、知事が停止命令を出さなければその続行が可能になるのだ。
適切な装備あるいは個人的保護具(PPE)がないまま惨状に向かうことを強いられているごみ収集労働者の条件は、今も劇的なままであり、彼らは、六〇〇〇人以上の感染、数十人の死亡という形で高い犠牲を払っている。しかし他の労働者、不可欠なサービスに雇用されている者たちもまた、極めて困難な状況の中にいる。たとえばスーパーマーケットの労働者も、さらにふさわしいPPEのない、また職場の感染防止を可能にすると思われるどのような系統だった分離も欠いている労働者だ。
閉鎖事業所の労働者が厳しい賃金減少に会うならば、彼らは失業手当からしか便宜を受け取れない以上、非公式経済の中で働いている――あるいは働いていた――労働者すべて、および今いかなる所得も奪われている者たちは、完全に悲惨な状態にある。人口の一三%が雇用者を抱えず家族だけで暮らしている南部について、われわれは今、四〇〇万人がまさに今飢えの危険にあると話しているのだ。それはまさに、フードバンクからの支援要請が激発中、というほどのものになっている。
みすぼらしい町に詰め込まれ、一二時間から一四時間の労働に対し日に二、三ユーロしか得ていなかった、季節性の果実と野菜の摘み取り、収穫には欠かせないものになっていた数十万人の移民については言わずもがなだ。われわれは彼らの正規化を要求しているが、今にいたるまでそれは効果を上げていない。
政府は「飢餓問題」対処のために一連の方策を実施に移している最中だ。つまりわれわれは、一〇〇〇万人向けの緊急所得について告げられている。しかし当座準備中の方策は、笑うべきものであり、特に反乱回避に向けた警察と軍隊の配備に関係している。
犠牲のツケ回し上層の画策激化
次いで頂点にいる者たちだ。まず、この危機全体に対しその犠牲を労働者に負わせようとの、経営者とコンフインダストリア(いわばイタリア経団連:訳者)の戦争があり、EU内のさまざまな資本主義間における戦争がある。後者は、その政治的代表者を通じて、これまででは信じ難い言葉の紛争に引き金を引くことになった戦争だ。
イタリアは全EU諸国による共同行動を提案中だ。つまりイタリアは、この危機は一国的性格のものではなく外国性の要素を起源とし、これまでの使用に適さなくなった金融諸制度を脇に置き、新しいそれを定める、そうした統一的対応を必要とする流行病の発生、という立場をとっている。それは一つの債券(「欧州コロナ債券」)発行を提案している。つまり、それに対し全国家が責任を負わなければならないこの新たな債務の共同負担だ。
オランダとドイツはこの提案を断固として拒絶し、逆に、欧州安定メカニズム(ESM)を構成するツールの使用を考えている。それはすなわち、まさしく血と涙の有名なメモランダ(ギリシャを見よ)の受け入れを条件にした、困難にある諸国に対する有名な資金貸し付けの供与だ。
明白であることは、これらの略奪者各々が他の不幸をどうすれば利用できるかを考えている、ということだ。その上、イタリア政府によって提案された解決策でさえも、資本主義システムにおける債務の論理の中に留まっている。その程度は、民主党(イタリア共産党の後継政党で現与党:訳者)の一指導者が次のように提案したほどに達している。そしてその提案とは、新債券に出資を約束する者たち――もちろん資本家――に議事堂と政府庁舎を担保に入れるというものなのだ(なぜナポリやベニスでないのか)!
逆にわれわれは、この危機に立ち向かうためには、財政赤字政策に資金を手当てする非常時通貨が必要、と繰り返し続ける。(二〇二〇年三月三〇日)
▼筆者は元上院議員であり、イタリアの第四インターナショナル二組織の一つである、シニストラ・アンティカピタリスタ(反資本主義左翼)の指導部の一員。同組織はシニストラ・クリティカ(批判的左翼)の分裂を起源にしている。(「IV」二〇二〇年四月号)
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