スペイン オルタナティブの構築へ

路線を変えよ 間違いを繰り返すな!

2019年8月1日 アンティカピタリスタス

 スペイン総選挙で第一党になったものの過半数獲得に失敗した社会労働党(PSOE)は、その後連立政権を含めて政府形成に挑んできたが、現時点では党代表のサンチェスの首相就任に対する信任投票可決に成功していない。このまま信任されない場合やり直し選挙も避けられらない。この事態を受けて、ウニダス・ポデモスの中で活動してきたスペインの同志たちが、同党の入閣追求からの路線転換を求める声明を公表した。以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

議会かけひきの
破綻から教訓を


ペドロ・サンチェス(社会労働党書記長)の首相就任は失敗した。そしてそれと共に、社会諸政策の保証人として、との想定の下に入閣するためにその資産すべてを投入したポデモスの戦術も破綻した。
PSOE(社会労働党)は二重のゲームに挑んできた。つまり、一つは、資本および一九七八年体制の利益のための「合理的な」統治の安定装置として自らを差し出すことで右翼をなだめることだが、その一方で同時にPSOEは、その左翼を騙し、従属させ、無害化し、社会的多数の利益とは相いれない一つの構想に左翼を統合しようと試みてきた。
サンチェスは、議会での信任投票の詐欺師として実績を積んできた。そしてウニダス・ポデモスは、商売人的駆け引きによって入閣しようとの彼らのもくろみで非常に重大な間違いを犯した。つまりあらゆる忍従も、社会自由主義の強欲さには不十分だったのだ。
打ち固められたと想定されていた社会的成果と文化的成果であったものとの関係で、三つの攻撃的で脅威を呼ぶ右翼勢力のグループによって示された強さ、さらに街頭と投票所で民衆運動の前進がないこと、これらを前提に、左翼の側の民衆は相当数、理解できることだが次のように考えた。つまり、PSOE―ウニダス・ポデモス連立政権が彼らの怖れを解消するかもしれない、との考えだ。
しかしそれはその方向にはならなかった。また、そうなる可能性もなかっただろう。したがってわれわれは、悲しむべき議会の見せ物と戦術的破綻を受けて、差し迫った次の段階で偽りの幻想を生み出さないために(そして罠に落ちないために)、起きたことを十分に考え、そこから教訓を引きださなければならない。

基本課題の
再確認必要


連立政権という議論は、あらためて取り上げられるべき三つの課題を無視してきた。第一は、社会的多数の利益を守るための現時点における基本的な要求を確立することだ。第二は、社会党(PSOEのこと:訳者)の本性について、すなわち左翼からの要求と強力な圧力がない場合にそこから期待できることについて、明確であること。そして最後の点だが、左翼の従属を避けるために、PSOEと左翼間に位置する選挙に関わる諸勢力と社会的諸勢力の相互関係を吟味することだ。
今回の左翼の目的は三重だ。
1)右翼の統治を妨げること。これは、PSOEが無責任で余計な信任投票の意志を示していることを前に、望ましくはない秋のやり直し選挙(スペインの政治制度では、首相が信任を得ることができない場合、再選挙の実施が必要になる:訳者)実施が視野に入ってる中では避けることができない課題だ。
2)労働者階級と民衆諸層にとっての改善を即座に達成すること。
3)エコ・ソーシャリズムかつフェミニズムの見通しを描き出し、その中で各々の戦術も描き出すこと。あるいは同じことだが、公正で民主的なまた平等主義的かつ持続可能な社会の構想を提供すること。

われわれの提案
20の緊急方策


このすべては、単なる政権戦術には欠けている一つの戦略を必要とする、
それらが民衆の疲労状況と現存諸勢力の相互関係の逆転に必須であるがゆえに、先延ばしにできない即事的要求の見地からは、以下の二〇の民主的、社会的、環境の緊急方策に光を当てる価値がある。

1.カップル内外のあるいは元パートナーからの男誇示主義的暴力と闘うために、適切な法的、文化的な枠組みを確立し、あらゆる経済的資源を動員すること。
2.産業、交通、農業、またサービスにおける温室効果ガス排出を阻止するために、国際協定を待つことなしに、一方的な諸方策を直ちに進めること。
3.カタルーニャ民衆の民主的な熱望に対する抑圧政策を止めること。
4.カタルーニャ社会多数が要求する拘束的国民投票を可能にすること。
5.われわれの諸々の自由に深刻な危険を提起する言論圧迫法を無効にすること、および外国人拘留センターのような移民の権利を脅かすすべての仕組みに終止符を打つこと。
6.諸機構内からフランコ主義を掘り出し、その犯罪と犯人を審査にかけること。
7.社会的諸権利および労働組合の諸権利を掘り崩す二つの雇用改革を無効にすること。
8.公教育と公立学校を推進し、半私立学校への国家助成を終わりにすること。
9.公立大学教育への支出と投資を引き上げること。
10.研究支援に優先性を与えること。
11.諸年金を保護し、拠出のある年金と無拠出年金を平等に扱うこと。
12.最低賃金の即時引き上げ。
13.一二〇〇ユーロ以下の俸給、失業手当、年金しか受け取らない人が、確実に一人もいないようにすること。
14.緊縮方策を通じて失った所得水準の回復のため、公共サービス被雇用者の俸給引き上げ、および、公共サービス確保のために大量の公的必需品調達の推進。15.職の不安定化とそれを保護する契約モデルを終わりにすること。
16.女性と男性間の同一賃金を確実にする上で必要な方策の導入。その上で、職務配置と昇進の仕組みにおける、協定の類型に関する同じ言い回しを使った詐欺行為を見つけ、罰する立法を通して、実のある平等に対する脅威を回避すること。
17.議会の行動と労組の行動の組み合わせを出発点として、全体的賃金引き上げの道筋を確立すること。
18.家賃を規制し、PAH(担保付き住宅ローン被害者プラットホーム)の提案を承認すること。
19.利益を上げている会社でのレイオフの禁止。
20.社会的支出と公共投資に優先性を与えるために、憲法一三五条の修正。

PSOE統制へ
自立的存在守れ


このすべては合理的、実行可能、そして必要な課題設定だ。そしてそれは、高所得、大資産、さらに大企業と銀行の利益に対する真剣な課税引き上げという進歩的な財政改革を通して、その中で財政赤字に関するブリュッセルの義務づけを無視して、政府に財政手段を与えることを意味する。
PSOEの指導者たちは傲慢にも、左翼を恫喝した。そしてキャンペーンでは有権者に、その後届けることができなかったものごとを約束した。九月であれその後であれ、新たな選挙の呼びかけがある場合、左翼は、あらゆる犠牲を払っても社会党と政府を形成するという努力で限定された、古い破綻した戦術を繰り返してはならない。
PSOEが率いる政府に入ることは、民衆的変革を求める切望から肝心なものを抜き取ることがこの党が本当に行うこと、ということを示してきた政党に、身動きできないほど縛り付けられることだ。PSOEは今日、その政府の行動について戦略的方向を決定する両側面である、一九七八年の君主制政治体制、およびEUの反社会的諸条約、を保証する一つになっている。左翼は、政府の行動を条件付ける能力に基づいてそれ自身の道を描き出すために、また未来に向けたそれ自身のオルタナティブを推し進めるために、政治的独立性を必要としている。
破綻した戦術を強調し続けること、閣僚の配分という手段による政府形成に関する合意に合わされた精神を続けることは、社会的多数にとっての、そしてもちろん政治的左翼それ自身にとっての破綻し有害な戦略における二度目を招くと思われる。
PSOEが、それ自身のものではない政府にとどまることの義務的条件によって沈黙と妥協を強いられている存在ではない左翼の一時的容認に基づいて、少数という形で統治にあたりたいのであれば、彼らは変化を求める勢力の票を、後者の要求に応じることで勝ち取らなければならない。これこそが、われわれの立場が、サンチェス政権を認め、そして野党へと転じ、立法行為と政府の行動を票で条件付け、社会を組織し動員し、社会自由主義へのオルタナティブを辛抱強く提起する、というそれらと引き換えに、われわれが上記の要求に基づいて提案する一つの綱領的な就任協定を左翼の立場から交渉すること、というものであった、そして今もそうである理由だ。

▼アンティカピタリスタスはスペインにおける第四インターナショナルの支部。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年八月号)

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