2002年新入生歓迎アピール
「テロ、戦争、貧困の21世紀」
帝国主義反対!反グローバリズム民衆運動に合流し、闘う国際主義を掲げよう!
日本共産青年同盟学生対策委員会
新入生の皆さんに訴えます
すべての新入生の皆さん! 大学という新たな環境での生活に、希望ととまどいを感じていることと思います。大学は高校までとはちがい、授業の選択もサークル活動も、学生の自由に任されるとされています。そのぶん私たち学生は、今まで以上に「自分のことは自分で決めることができる」という意識を持つ必要があります。学費一つとっても、高校では保護者に説明会が開かれていたところもありますが、大学ではそんなことはほとんどありません。ある日気づいたら、掲示板で来期からの学費が値上げになっていたり、ホームページの表記を変更しただけで告知したことにする大学すらあります。こうしたことにならないためには、私たち一人一人が日頃から「自分たちの事は自分で決める、自分たちの権利を主張する」という習慣と心構えが必要です。
大学の外に目を向ければ、成果主義の名のもとに行われる労働者の賃金カット、あるいは6パーセントに迫らんばかりの高失業率や、それにもかかわらず企業(�資本)は今までの自分たちの経営の責任はないがしろにして、末端で働く人たち(=労働者)を容赦なく切り捨てている光景が目につきます。雪印食品の事件はまだ皆さんの記憶に新しいと思います。学生の中にも親がリストラに遭い学費捻出に苦心したり、あるいは大学を辞めざるを得ないという人も出てきています。
しかしながら、こうした中でも現在の小泉自民党政府は「構造改革」「改革なくして成長なし」のスローガンのもとにリストラを奨励し、さらには医療・福祉の公的支出のカット、そして私たち学生にもっとも身近な問題として、育英会奨学金制度の廃止、国立大学の独立行政法人化を推し進めています。「民間の活力を導入する」という理由で医療・福祉、そして教育の場にも、すべて新自由主義的競争原理を導入しようとしているのです。
育英会奨学金廃止に関して石原行革担当大臣は「日本は成熟社会であるから奨学金は必要ない」とまったく根拠のない主張をしています。高失業率、リストラ自殺者まででているような社会のどこが「成熟」しているというのでしょうか? その真のねらいを「奨学金は民間の銀行の有利子の融資で十分」という発言のなかに明瞭に見ることができるのではないでしょうか? つまりは、「収入の少ない人々にも高等教育の機会を保障する」奨学金という制度にさえ銀行資本を参入させ、それによって日本の資本主義的な経済制度を延命させようとしているのではないでしょうか? しかし、そういう経済制度の「延命」によって利益を得たり幸福を感じることができるのは、決して私たちではありません。私たちではない誰か、すなわち企業や株式を保有し、市場への投機によって莫大な利益を得ている人たち、そしてそういう人々と密接な利害関係を持つ一部の政治権力者たち以外の何者でもありません。
世界中で拡大する貧富の差
今まで私たちが当然の権利として(決して十分なものではありませんでしたが)持っていたものをすべて破壊し、それに変わるものとして無秩序な市場競争原理を隅から隅まで貫徹しよう、という新自由主義的経済政策は、もちろん日本だけのものではありません。隣国の韓国、インドネシアやタイなどの東南アジア諸国、メキシコやアルゼンチンなどの南米大陸諸国などでは、アメリカ企業や投資家による短期的金融取引、IMF(国際通貨基金)、WTO(世界貿易機関)などを中心とした構造調整の強要(融資と引き替えに公益法人の解体、労働市場の規制緩和、外国資本導入に関する規制の撤廃など)によって社会保障制度は崩壊し、貧富の差はますます拡大しています。そしてアメリカやEU諸国などの「先進国」内部においても、社会保障制度の切り捨てや労働市場の規制緩和は進んでいるのです。
アフガン無差別空爆と資本主義経済の危機
昨年9月にアメリカで起きたテロ事件を口実としたアメリカのアフガニスタンへの軍事侵攻も、この新自由主義的経済と無縁ではありません。カスピ海の豊富な地下資源の輸送ルート確保という動機からも、アフガニスタンの「政治的安定」はアメリカにとって重要なことだったのです。だからこそ、東京で行われたアフガン復興会議に、アメリカ政府代表団と供に多数の石油メジャー関係者が随行していたのです。自国の利益のために、アフガニスタンに爆弾を、しかも最新鋭の爆弾やミサイルを実験的に降らせて、テロとは全く無関係な多数の人々を虐殺しています。「平和なアフガンを作る」などと欺まん的な言葉を弄しながら、実際行っていることと言えば結局、こうした資本主義国の飽くなき利潤追求でしかないのです。
また、アメリカは「テロとの戦争」を叫び、北朝鮮やイラク、イランなど7カ国を「悪の枢軸」と規定し、核の先制使用もほのめかしています。アメリカの今年度の軍事予算は、前年度より約15%増、総額約3790億ドルという冷戦時代以来の空前の伸び率を示しており、アメリカの景気も「戦勝気分」に浮かされた個人消費にも助けられて一時的回復を見せています。
しかし、巨大エネルギー企業であるエンロンの倒産など、アメリカの実態経済は回復しているわけではなく、景気を維持するためには必然的に更なる戦争を追求しなければならないでしょう。そして同盟国である日本も自衛隊を戦える軍隊にすること、国旗と国歌の強制による国民総動員態勢の強化によって、前記の構造改革とセットで自身の資本主義的な経済制度を延命しようとしていると言えるでしょう。
新たな国際主義の闘いに向けて
私たちの生活や人権の破壊によって、そして侵略戦争という行為によって生かされ続ける「資本主義」という経済・政治体制を、そしてそれを推し進めようとする者たちを、私たち日本共産青年同盟は、怒りをもって告発していきたいと思います。日本共産青年同盟は新入生の皆さんに私たちと共に考え、共に闘うよう強く訴えます。世界では今、反グローバリズム運動とよばれる反資本主義運動が若者を中心に盛り上がっています。99年のアメリカ・シアトルでのWTO総会への10万人の抗議行動に始まり、それに続いてスイス、スウェーデンなどで連続的に繰り広げられ、昨年のイタリア・ジェノバでのG8サミットには、世界各国から20万人もの人々が集まり「おまえたちは8人、われわれは60億人」を合言葉に、大規模な抗議行動を繰り広げたのです。抗議に参加した人々は資本主義に対抗する新たな国際的な会議を昨年と今年の二回、ブラジルのポルトアレグレで開催し、人々が予算の編成に直接関われる仕組みや、自然エネルギーの活用による資源分配の民主化など新しい社会の形を作り始めています。
しかし、日本においてはこういった資本主義的経済体制に対して抗議し、それに代わる新しい社会の建設を求める声がごく少数です。これまで社会変革の主体を自認してきた「左翼」陣営自体に内包される欠陥、すなわち意見の対立をテロという暴力(内ゲバ)によって乗り越えようとする体質が広範な人々の社会運動、政治運動からの離反を招いたこともその一因と言えるでしょう。
私たち、日本共産青年同盟は結成以来こういった内ゲバ主義への批判(もちろん私たち自身への点検も含めて)を常に行ってきましたし、これからも行っていかなければ、日本での新たな社会変革の運動のスタートはないと考えています。
ともにスクラムを組んでいこう
新入生の皆さん、一歩ずつ戦いを進めていきましょう。自分たちの身近な問題からはじめて、同時にそれを資本主義体制や、反戦・平和の問題、人権の問題としてとらえることを忘れずに行動していこうではありませんか。
世界の闘う人たちとも連携、連帯していきましょう。今の新たな生活への期待と高揚感を私たちの世界の新しい方向へも向けて行こうではありませんか!日本共産青年同盟と共に戦い、創っていきましょう!
獲得すべき未来は私たちのものです。
THE YOUTH FRONT(青年戦線)
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