2009年アピール
麻生自公政権打倒!福祉削減・解雇・リストラに抗するスクラムを
日本共産青年同盟
カジノ資本主義は瓦解へ
新自由主義は破綻した。それはサブプライムローン関連証券とともに破裂した。破裂 の衝撃は金融帝国主義の中心地アメリカ合衆国から全世界に波及し、資本主義における資本の運動の帰結のひとつである利子生み資本の妖怪と、「金融工学」という名の現代の錬金術によって分厚く施されたメッキとともに、「貯蓄から投資へ」を煽ってきた小泉・竹中の構造改革路線の仮面は完全に剥がれ落ちた。
今回の危機の到来は2007年頃から囁かれていた。2008年3月、米証券大手5位のベア・スターンズが大手商業銀行のJPモルガン・チェースに救済合併されるという衝撃が世界を駆け抜けた。9月には証券大手4位のリーマンブラザーズが破綻し、保険最大手のAIGグループの破綻を食いとめるために米政府が救済することを発表した。これを機に世界中で暴れまわった投機マネーが市場を逆流した。信用を創出するはずの金融機関の信用は失墜し、金融商品の安全性を保証してきた保険商品それ自身が世界経済を破綻に陥れる危険性を持つなど、資本主義とともに発展してきた信用経済は、カジノ資本主義のなかで量から質への変化を遂げ、危機はいまだ収まる様子を見せてはいない。
G8による宣戦布告
2008年7月8日、北海道洞爺湖畔で発表されたG8北海道洞爺湖サミット首脳宣言で「我々は、我々の経済の長期的強靭性及び将来の世界の経済成長に関し、引き続き肯定的である。我々の経済成長は緩やかになったものの、新興市場国は依然力強く成長している」と自信に満ち満ちたG8首脳たちは、危機の大洪水が吹き荒れる10月15日に緊急の声明を発表した。そこでは「開放経済と適切に規制された市場が経済成長、雇用及び繁栄に不可欠であることを再確認」し、「内向きにならないこと及び過去数十年にわたり世界的な生活水準を大きく浮揚させ何百万もの人々を貧困から救い出してきた貿易と投資の自由化を促進する努力の継続の重要性を強調する」ことで、金融危機を引き起こした新自由主義政策への反省とその根本的転換を拒否し、危機打開の解決策の一つとして「WTO交渉が成功裡に妥結することをもたらすための努力を強化する決意である」と宣戦布告をした。
アメリカ政府は、最大7000億ドルの公的資金注入枠を含む金融安定化法を、労働者民衆の反対を押し切って議会で通過させた。それは、略奪的なサブプライムローンの支払いができなくなり、住宅から追い出されるアメリカの労働者階級を救済するのではなく、詐欺商品と錬金術とカジノで大損した大手金融機関を救済するものである。
日本政府は、「日本の金融システムは健全である」とする一方で、渡りに船とばかりに10兆円枠の公的資金注入を含む金融機能強化法の改正案を議会に提出した。欧米の金融機関に比べて日本の金融機関がサブプライム関連商品での損失が軽微で済んだのは、90年代はじめの土地バブル破綻にともなう公的資金注入によって、国際業務の展開に制限が課されていたからである。麻生首相は「90年代の金融危機を乗り切った日本の経験を世界に伝える」などと吹聴しているが、破綻後の処理=青年の未来を奪う公的資金注入や金融緩和政策のアドバイスではなく、「バブルは必ず破綻する」と伝えるほうがよっぽど有効である。「カジノなんかで遊んじゃ駄目だよ」とアドバイスするのではなく、「カジノでスっても大丈夫さ、金を貸してくれるところを紹介するからさ」と言っているようなものである。金融資本に注入される公的資金とは言うまでもなく、将来の世代への負担であり、労働者民衆からの収奪によって補われることを想定しているものである。カジノを救済するための公的資金注入は資本による階級闘争である。
1ミリたりとも妥協するな
新自由主義が吹聴してきた「小さな政府」は、未曾有の危機の中で「大きな政府」に取って代わりつつある。それは新自由主義路線の破綻の現れである一方、「国家」が依然として階級支配の道具であることを明らかにした。帝国主義諸国による莫大な公的資金注入や中央銀行による大胆な金融緩和によって危機の一時的な緩和は見られるかもしれない。だが今回の金融危機は、1970年代初めごろから現在まで持続している世界的な利潤率の低下傾向の中で起こったことから、危機は長期化すると見ていいだろう。金融経済の危機が実体経済にまで波及している。世界的な景気後退を招いたのだ。ここでも資本は階級闘争の先制攻撃を発動している。
2000億ドルもの公的資金注入を受ける米金融サービス大手シティグループは約5万人の人員削減計画を明らかにした。トヨタをはじめとする自動車業界は景気後退の予測から減産をおこない、一万人規模で非正規を中心に雇用削減を行う。日本IBMは1000人規模の正社員削減を検討している。金融危機と景気後退を理由とした大リストラと資本の再編が行われつつある。労働運動は、金融機関・資本救済のためのリストラという資本の側の論理に一ミリたりとも妥協してはならない。いまこそ大胆に不安定雇用の一掃、大幅な時短と最低賃金の引き上げ、不均等待遇の是正を要求し、経営責任を追及しよう。リストラされるべきは経営陣なのだ。資本の引き起こした危機は資本に責任を取らせなければならない。
未来をとりもどすために
帝国主義は8カ国では危機の克服ができないことを認め、新興国を含む20カ国による「金融・世界経済に関する首脳会合」(G20)を11月15日にワシントンで開催した。ブラジル、中国、インドなど経済成長目覚しい新興国の大国からは、今回の金融危機の最大の被害者は「途上国」である、G8は意味がない、などの厳しい意見が出された。しかし合意された宣言では、「現下の状況をもたらした背後にある主な要素は、一貫性と十分な調整の欠けたマクロ経済政策と不十分な構造改革などであり、これらが世界的マクロ経済上の持続不可能な結果を導いた。こうした状況が、過剰を助長し、究極的には深刻な市場の混乱をもたらした」として、さらなる構造改革が必要であることを訴えている。
また「金融市場の改革のための共通原則」として、「規制当局は、その措置が市場の規律を支え、 規制逃れを含む他国への潜在的な悪影響を回避し、市場における競争、ダイナミズム、 技術革新を支援することを確保しなければならない」と謳っている。そしてG8首脳宣言と同じく、WTOドーハ開発ラウンドの年内合意を明言した。G8諸国内での矛盾と新興国を巻き込んだ世界経済再編の兆しのなかで、金融危機に立ち向かう新興国や「南」の諸国の労働者運動との連帯が重要になるだろう。 資本主義は何度目かの危機を迎えている。だがあらゆる支配体制は自ら次の体制に席を譲ることはない。資本主義は打倒されなければならない。階級的力関係は、労働者にとって圧倒的に不利である。しかしいま闘わずして青年の未来が切り開けるだろうか。「一〇〇年に一度の危機」と言われる今回の金融危機において、過去の青年たちから闘いの経験を引き継ぐことができた現代の青年は、未来の青年たちにその歴史的使命を引き継ぐことができるはずだ。
今回の金融危機を導いた資本の運動法則、1917年のロシア革命から始まり1990年代にワンサイクルを終えた階級闘争の経験、「もう一つの世界」をもとめる国際連帯に根ざした新しい社会運動と階級闘争など、背負うべきものは多い。現代の青年は、世界中で資本の鞭と銃剣に斃れてきた幾世代もの働き耕す名もなき人びとが夢見続けてきた「戦争も搾取も抑圧も差別もないもう一つの世界」への扉を切り開くのだ。
不当解雇・リストラ攻撃NO
安倍、福田の政権投げ出しに続いて就任した麻生首相は、小泉政権から続いた構造改革路線 を「修正」せざるをえなかった。世界的な金融危機の直撃、小泉路線が生み出した格差社会に対する民衆の反撃の拡大を恐れたからだ。 しかし「追加経済対策」(10月30日)は、定額給付金、高速道路料金の大幅値下げ、住宅ローン減税、地方支援の臨時交付金創設などを打ち出したが、それは自公政権の延命、選挙対策のためのバラマキでしかない。これ以上の麻生・自公政権の延命策動を許してはならない。もたざるものの民衆のための政策を貫徹する政権をつくりだしていこう。
歴史的な金融危機が実体経済に影響し、ストレートに労働者へのリストラや賃下げへと攻撃を強めている。必然的に親の「経済苦」が子どもたちにも深刻な影響を広げている。たとえば、親の保険料滞納で子どもの「無保険」状態が発生し、病院にいけなくなっている子どもが増えているのだ。学費を払えず、中途退学が続出している。
新卒の就職内定者の内定取り消しが相次いでいる。カネは金融資本にではなく、貧しい者のために使え! バラ撒きの2兆円はそもそも民衆のカネだ。切り下げた社会保障費の回復・充実に使うべきだ。銀行に金をつぎ込むな!
すでに資本は、自動車産業をはじめ全産業の労働者へのリストラ・不当解雇攻撃を押し進めている。派遣・パート労働者への賃下げ、雇い止め解雇は、まさに人権問題として待ったなしの課題としてある。麻生政権は、派遣法を改悪をねらっている。労働政策審議会は、多くの批判を無視し、日雇い派遣禁止の基準が甘く、登録型派遣を全面的に認めるなどブルジョアジーにとって都合のいい答申を提示した。派遣法の改悪を阻止し、労働者のための抜本的改正を実現するために共同闘争を前進させていこう。
資本・軍事のグローバル化に反対
深刻な経済危機だといいながら、麻生政権は軍事費には膨大な金をつぎこんでいる。一発8億円もする地対空誘導ミサイルPAC3の実弾発射訓練に30億円以上も使った。「米軍再編」計画、辺野古への米軍基地建設、横須賀への原子力空母強行配備関連に膨大なカネを投入してきた。08年「思いやり予算」は、2083億円の支出を強行しようとしている。
これだけではない。侵略戦争を美化し集団的自衛権行使を主張する論文で田母神前航空幕僚長が罷免されたが、懲戒免職とならず6000万円もの退職金を与えた。この問題は一人を罷免すればすむものではなく、自衛隊という軍隊に極右排外主義が根を張り、温存してきたことの現れだ。戦争屋とナショナリズムの拡大を糾弾していこう。アフガニスタンでの「対テロ戦争」を支援するための海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続する特措法案(洋上給油新法)に反対していこう。
青年労働者・学生のみなさん!
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