熱い熱い、何しろ熱い

コラム「架橋」

 ほんの少しの梅雨が明けると真夏がやってきた。今年も去年より気温が上がり、北海道で40℃を超えたというではないか。昨年の能登半島地震やトカラ列島での群発地震そして集中豪雨と地球温暖化の影響は日本のみならず地球の各地で起きている。
 仲間との朝のあいさつは「今日も36℃超えか暑いね。湿度がすごいから」など、「熱さ」についてのやり取りだ。私の清掃の仕事は30℃を超えるビルの中で、あっという間に全身が汗でずぶ濡れになってしまう。熱中症がどこか別世界の話ではなく、自分自身がなってもおかしくない。対策と言っても水分を補給するくらいだ。
 そんな時ニュースで、「炎天下の建設現場では年間千人もの人が熱中症で亡くなるという。国はようやく6月から企業に対して熱中症対策を義務付けた」というのだから対策の遅さに驚いた。
 ネットニュースで「安住紳一郎アナ、東京の暑さに『私が都知事なら高層マンションを解体』。高層ビルと猛暑には関係がある?」(8月6日)というのを見た。
 中高層の建物が増えると、地上近くの風が弱まり、熱の拡散や換気力を低下させる。放射冷却が弱まるほか、風通しが悪くなって地表面に熱がこもりやすくなる。いわゆる「ヒートアイランド現象」だ。
 東京湾からの海風には気温を下げる効果がある。しかし、湾岸にはタワーマンションや高層オフィスビルがあるため、冷却効果のある海風が都心部に入りにくくなっている。湾岸地域のビル群をなくせば、気温が下がるだろうというわけだ。
 それだけではなく、緑地や水面の減少、アスファルトやコンクリートで舗装された地面や建物の屋根面は夏の日中に表面温度が50~60℃まで達し、大気を加熱したり、夜間の気温低下を妨げる。建物の高さ制限や街路樹や公園、公開空地の緑化などが重要だ。
 東京の2005年最高気温は29・1℃、2025年には33・2℃まで高く、全国平均の2倍になっている。新宿、渋谷、日本橋、大手町と高層ビルが次々と建てられている。ビル高層群が東京の「名所」として宣伝され、何も疑問を持たないが実はこれが「命取り」になるかもしれないのだ。   (滝)