8・27「入管庁による子どもと、親の送還を今すぐやめてください」
「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」NO
【東京】8月27日、一般社団法人反貧困ネットワーク、仮放免高校生奨学金プロジェクトは、参議院議員会館講堂で「子どもの権利は私たちに なぜ適用されないのですか? 入管庁による子どもと、親の送還を今すぐやめてください」緊急院内集会が行われ、265人が参加した。
出入国在留管理庁は、5月23日、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を発表した。プランは、日本に滞在している「不法滞在者」は「ルールを守らない外国人」「国民の安全・安心に大きな不安を与えている」と決めつけ、管理・監視を強化し、退去強制が確定した外国人の排除によって「不法滞在者ゼロ」を目指すとしている。
移住連が「ゼロプラン」批判声明
このようなプランに対して「NPО法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」声明(6月19日)は、「管理・監視や排除ではなく、これからの多民族・多文化共生社会をめざして」を掲げ、「日本において適正な保護がなされないために在留資格を得られない外国人が多数いるという実態に反している。その結果、ゼロプランは、難民認定手続及び退去強制手続に関する憲法上及び国際人権法上の重大な問題を解消しないまま、正当に保護されるべき外国人までをも排除しかねない施策だ……安易に外国人を国民の不安と結びつけ、国民と外国人を対峙・対立させ、分断するという統治手法です」と批判している。
そのうえで「今ここにある移民社会という現実を直視して、旧植民地出身者も含めて、移民/移民ルーツの人びとと共につくる多民族・多文化共生社会の実現に向けて、外国人人権基本法や包括的差別禁止法、移民基本法の制定などの移民政策に取り組むことを、今あらためて強く求めます」と主張している。
主催者は、「7月23日、仮放免状態で難民申請中のクルドの家族全員が突然、強制送還されました。家族の中には日本生まれの子どもも含まれていました。親が入管に収容されると同時に、留守番していた子どものところに入管職員が現れ、拘束・連行し、送還しました。長男によると、トルコの空港に着いた直後に父は警察に逮捕されました。このような事案は、子どもの権利条約で規定される各種の権利を侵害する深刻な事案です。……約7万人にのぼる非正規滞在者の中でも強制送還を拒否する『送還忌避者』約3千人を今後5年半で半減させるとの目標を掲げています。以降、急速に無理やり家族含む強制送還がすすめられています。私たちの現場には『不法滞在』とされている仮放免者から、強制送還を迫る具体的圧力を受けているなど悲痛な声が連続して届いています。……『親と引き離されない権利』『国外に連れさられない権利』『難民の子どもが守られ支援を受けられる権利』『教育を受ける権利』といった、子どもの権利条約が規定する各種の権利を侵害するものです。……難民の迅速かつ適正な保護の実現に向けた、排除ではなく権利保護の見地から方策を策定するよう求めます」と訴えている。
不誠実な各省庁
先に「子どもたちを強制送還しないでください」を求めるオンライン署名2万1710人分を出入国在留管理庁に提出した。
省庁交渉(入管庁、文科省、子ども家庭庁)が行われた。事前にラサール石井参院議員(社民党)、石垣のりこ参院議員(立憲民主党)によって「『国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン』に基づく強制送還の実態に関する質問主意書」を内閣に提出していたが、「『手続きの公正性』は確保されている」「違反するものではない」「お答えすることは困難」などと居直った。
このような省庁の態度に対して、仮放免中の子どもと家族の強制送還が急速に拡大している状況にクルド人、アフリカ、中南米のルーツの小学生、高校生、大学生ら約10人が次々と抗議、毎日が不安と恐怖で暮らしている日々を訴えた。だが参加した省庁担当は、「法令にのっとって対処している」「お答えできない」などと不誠実な対応を繰り返した。
続いて①「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」公表以降の強制送還の現状 ② 「危機に立たされるクルド難民」 について報告された。
ただちに収容・強制送還の停止を
仮放免高校生奨学金プロジェクトは、「子どもたちは、日本で学校教育を受け、すでに日本語が母語です。友だちの多くは日本人です。かれらが、『国民の安全・安心』を脅かしているのでしょうか。友だちや教師が、『速やかな送還』を『強く求めて』いるのでしょうか。日本で生きるために積み重ねてきた子どもたちの努力を打ち砕き、希望を奪い、失意のどん底に突き落とす必要があるのでしょうか」。
「『国民の安全・安心』を名目に、国民でないことを理由に、ひとりの子どもの人生を、国家が台無しにして構わないはずがありません。私たちは、子どもとその家族の収容・強制送還をただちに停止し、子どもたちが安全に学び、未来を築ける環境保障を日本政府に対して強く求めます」と訴えた。
(Y)
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