「長野市のMウェーブ」
コラム「架橋」
今年のスピードスケートの大会が始まった。私は競技より先に興味を持ったのは、スピードスケートのメッカ長野市のMウェーブ(長野市オリンピック記念アリーナ)をのぞいた時だ。今から13年前、暑い日の午後長野市に山から下ってきた。道路を歩いていると建物の中から歓声が聞こえてきた。中をのぞくとスケートを履いた少年・少女が建物の中でスピード競技を行っていた。要所要所で大人がストップウォッチ様なものでタイムを計っているのが、私にも分かった。
それがMウェーブであることを知ったのは、この時であった。競技に参加しない人たちは、三カ所に固まって、腹筋運動などの練習をしながら競技を見ていた。
しかし、スケートをはいて走っている少年・少女は、普通グランドを走っている選手走に見えた。これが最初に私がスピードスケートにはまった瞬間である。
私にもスケートで滑った(走った)思い出が二三ある。最も覚えているのが、正月元旦の初詣に、ゴム長に鉄だけのスケートをはいて出掛けたことである。正月元旦はトラックなどで道路が削られておらず、多くの人が歩くのである程度固くなっていた。
その道を滑って神社に行くのであるが、このことを知っていたのは私だけではなく、仲間みんなが知っていたから、神社に昔の悪童がみんな集まった。帰りはその連中全員で道路上一杯に広がりながらスケートで滑って帰った。知っている限り、この正月元旦の行動はその後10年以上続いた。
家に戻ると今度は銭湯に出掛けた。自分がちょっとの仕事もしないで、早朝から風呂に入るのは、その頃は「満足」であった。そして、いい正月の初めであった。この風呂屋のせがれが先日、私の所を訪ねてきたのだ。理由は入院している長男に会いに来たのだそうだ。彼が帰ったあと、スピードスケートの大会の記事を見て思い出したのだ。Mウェーブはその一回だけ、正月の旅行に渋温泉の帰りにのぞいただけだ。
私の長野県行きは中央線がほとんどだ。長野県は山が多いが、北岳、南アルプスの沿線に沿って連続するのは中央線だけだ。このルートには八ヶ岳や新潟県の方面の山や白馬山も入るので、中央線だけで充分である。
(武)

