排外主義と参政党

コラム「架橋」

 「日本人ファースト」を党是にするネオナチともいうべき極右政党参政党が、今回の参議院選挙で大躍進を遂げたのは耳目に新しい。
 「日本の国益を守る」という大言壮語のもと「天皇を中心とした国家形成、教育勅語や旧日本帝国憲法の復活」などを掲げる一方、反ワクチンやオーガニック、減税など耳障りよい主張、政策を並べたて従来の保守層に加え、若者の支持を受け、今回の参院選においては14議席を獲得。立憲民主党に続く野党(?)第2党の座を手にした。
 これはまさにアメリカのトランプ大統領が主張する「アメリカファースト」とまったく同列であり、ヨーロッパ諸国で台頭する極右勢力と軌を同じくする外国人排斥そのものである。
 特にクルド人排斥の急先鋒である埼玉県川口市では、埼玉選挙区で参政党の新人大津力氏が得票数約4万200票をとり、当選こそできなかったものの、初当選を果たした国民民主党新人江原久美子氏の約3万8000票を上回った。これは、来年行われる川口市長選の前哨戦ともいわれる出来事である。
 川口市のクルド人住民と日本人との文化的な相違はあるものの、「川口からクルド人を追い出せ」という主張は、かつて第二次世界大戦前夜からドイツの敗戦まで続いたユダヤ人をはじめとする非アーリア人種の残虐な虐殺と排斥と同類であると言わざるを得ない。トランプ政権の不法移民や好まざる多国籍民衆の排外主義「アメリカファースト」も同様である。
 現在も、在日朝鮮人や中国人など日本に帰化しない外国人から税金は徴収するものの参政権は与えられず、低賃金と過酷な労働や貧困と差別に苛まされている。これが「日本人ファースト」の真実であり、反グローバリズムそのものだと思えてならない。
 笑ってしまうが自民党がまともに見えてしまうのはボクだけであろうか。参政党は、日本共産党以外とは連立もあり得ると公言している。まさに野合の主導権を握ったような発言だ。
 YouTubeやSNSの欺瞞を通じて、支持者を拡大、伸長したと言われるが、候補者が参政党の憲法草案や綱領を知らずに踊らされていることに一刻も早く気づいてほしいものだ。
 参政党支持者は、陰謀論ともいえる反ワクチンなどの付け足しの政策から早く目を覚まして欲しい。これらの主張は、参政党支持者を欺いた虚構であるからだ。     (雨)