気候危機との闘い

コラム「架橋」

 「暑さ寒さも彼岸まで」とは良く言ったものだ。彼岸を過ぎて、ようやく少し酷暑が和らいだ。それにしても、今年の夏の気温は異常だった。6月初めて40℃を超え、海水温が熱帯と同じ。コメの三分の一で実が入っていない 、新米の値段は下がらず、5キロ5000円代、野菜や果物の被害も大きい。
 異常気象は日本だけではない。フィンランドや北極圏で気温が30℃を超えた。スペインでは45℃にもなり、2万4000人が死亡した。スウェーデンでの山火事、パキスタンや上海から北京で大洪水が起きた。
 そんな中で、トランプは「石炭や石油を掘って、掘って掘りまくれ」と温室ガス削減政策と真逆な政策をぶち上げている。そして、トランプは5月に、パリ協定からの離脱を宣言した。パリ協定は法的拘束力のある国際的な合意文書。パリ協定は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1・5℃に抑えることなどを目標とし、温室効果ガスの人為的な排出と吸収の均衡(カーボンニュートラル)などを目指すことを規定している。気候危機は資本主義のあり様によって作られている。
 そしてこんな所にも影響している。厚生労働省は10月3日、今シーズンのインフルエンザが全国的に流行り出したと発表した。昨年より1カ月程度早く、過去20年間で2番目の早さだ。
 海外ですでにインフルエンザが流行しており、国際的な人の往来を通じて日本に持ち込まれた可能性がある。コロナ禍でのマスクや手洗いなどの感染対策が緩んだことで、ここ数年インフルエンザにかからず免疫を持たない子どもたちが増えている。今年は残暑が長引き、屋内で冷房を使用する時間が増えた。ウイルスが生き残りやすく、のどや鼻の粘膜も乾燥して感染しやすい状態をつくる。
 そして、10月から電気・ガスへの政府の補助金が打ち切られ、3000項目にも渡る商品の相次ぐ値上げが発表された。生活破壊がさらに追い打ちをかける。黙ってはいられないぞ。    (滝)