インドネシア女性は屈服しない

ピンク・パワー、ピンク・レジスタンス

                                              2025年9月3日

自由な女性たち(ペレンプアン・マハーディカ)

 インドネシア女性連合(API)による大規模なデモが、ジャカルタにあるインドネシア国会(DPR)議事堂前広場を埋め尽くす中にはピンク色があふれている。「抗議は権利だ」と書かれたTシャツや、スカーフ、さまざまなピンクのアクセサリーが新たな抵抗の象徴となってきた。

抗議は権利だ!

 このシンボルは実体験から生まれた。過去のデモで、ピンクのヘッドスカーフをまとった一人の母親が警察の弾圧を直面する最前線に立って、退くことを拒んだ。その勇気が後にAPIによって抵抗の政治的シンボルとして採用され、今や「ピンク・パワー」として知られるようになった。

 運動の起源

 APIのナビラは、ピンクパワーが最初にアナ母さんによって火が付けられ、そのあと女性運動の象徴として認知されたと説明する。「ピンクパワーは女性自身の経験から生まれた。日常生活そのものが闘争の過程であり、その中で国家暴力に抵抗する女性の強さが認められているのだ」。
 Konde.co(注:インドネシアのフェミニスト・メディアで、女性の権利やジェンダー平等に焦点を当てている)のジャーナリスト、ルヴィアナ・アリアンティにとって、ピンクパワーは単なる象徴ではなく、女性の抵抗の再生を表現するものである。「ピンク・パワーとは女性運動であり、DPRの前に陣取るAPIそのものなのである。一方、人々は、国会の中で『ボス』が警備員や警察、兵士のような犬に守られていると感じている。この運動は、女性がそうした柵を突破する方法となっている。人民の国会を取り戻す手段なのだ。なぜなら真の『ボス』は人民だからである」。

女性を政治勢力として取り戻す

 独立系ジャーナリスト、ファディヤの考えでは、ピンク・パワーには独自の政治的価値がある。「体制批判は通常、黒や赤といった男性的な色彩で視覚化される。しかしピンクは女性の色だ。そしてまさにそのことが注目を浴びている。ピンク・パワーは、長らく無力だと見なされてきた女性の象徴をとりもどし、それを政治的強さへと変容させているのだ」。

国家暴力の詩

 デモでは国家暴力の実態を描いた詩も朗読された。
 「警察インドネシア国軍]は国家暴力の顔となっている……」

権威主義に反対する民主化闘争

 一方、自由な女性たち(ペレンプアン・マハーディカ)のアフィファは次のように強調した。「ピンク・パワーは、現在の政権下で強まる軍国主義と権威主義に対する女性の抵抗の文脈で生まれる。ピンクは女性運動が屈服しないという象徴だ。ピンクを掲げることで、抑圧から真の民主主義は決して生まれないと想起させるのだ」。
 ピンクは単なる色ではない。抵抗が女性によるものであり、思いやりにあふれながらも、なおラディカルであり得るという宣言だ。ピンク・パワーは断言する。あらゆる象徴と経験を持つ女性こそが、国家暴力との闘いの中心にいるのだと」。

[注]ペレンプアン・マハーディカは、あらゆる形態の暴力、差別、抑圧的な文化、貧困からの女性の解放のために闘うインドネシアの女性団体である。

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社